
奈良→東京→富山→大阪の出張を終えて、6月18日から上海で本格稼働しています。
2015年は6月20日が旧暦の5月5日、いわゆる端午の節句になります。中国では様々な年中行事が行われるのですが、ことに中医学に関しては端午の節句は非常に重要です。過去にもいろいろな記事を書いておりますので、こちらをご覧ください。
さて、この時期、気候が暑くなってきて、ジメジメとしてくる季節ですので、伝染病などが流行しやすい時期です。折しも、韓国ではMARS騒ぎですが、それ以外にも水ぼうそうや手足口病といった病気も流行し、上海でも幼稚園が学級閉鎖になったりしています。そういった関係から、昔の人はこの時期に邪気から体を守って、病気から体を予防して、健康に過ごせるように端午の節句にその願いを込めました。新暦の5月5日ではまだ初春ですから、本来の意味からはずれてしまいますよね。
中国では屈原を弔って竜舟レースや粽を食べたりするのは有名ですが、その他にも薬浴に入ったりする習慣もあります。基本的に、清熱解毒や祛暑化湿、行気活血、殺虫止痒などの効能のある薬草をつかってお風呂に入るわけですが、上海エリアには色々な処方が伝わっています。上海出身の妻も、家に伝わる処方などを実際に自宅で実践したりしていますが、この時期は汗疹や湿疹、アトピー性皮膚炎などが悪化しやすい時期でもあり、昨日の診察でも中医学の外用法をよく処方しました。ステロイド系を使わない伝統的な方法でもなかなかの効果を発揮してくれます。さすが古人の智恵ですね。
そほほか、厄除けに菖蒲・艾などを市場から買ってきて部屋に掲げたり、子供用には中医学の薬局が香袋を作ったりしますが、これらは家族の健康を願ったものが多いですね。こうした生薬は芳香性があり、殺菌力もあったりするのですが、古人はこの芳香性から厄除けをイメージしたわけです。
中国全国的には、端午の節句に薬酒を作るのが有名です。ヒ素化合物でもある雄黄を使ったお酒はヒ素の硫化鉱物なので有害で今では使いませんが、当時は雄黄を使ったお酒もこの時期飲まれていたようです。これもやはり解毒作用が考えられていました。
やはり年中行事を迎えるにあたって、旧暦は大事にしたいですね。新暦で迎える旧暦の年中行事は、季節感的にも矛盾しますからね。次にやってくる7月7日の七夕もそうです。これは盛夏の年中行事でもあり、だいたい梅雨が明けるか明けないかの時期に七夕が来るはずないのです。農耕文化が根強い中国では頑なに旧暦を守っています。
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