2015年06月01日

中国式、中医学スキルアップのための国家試験

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 中国で医療活動をする場合、とくに私のように中国で正規の中医学教育を受け、中医学の医師ライセンスを取得した場合、ライセンス取得後のフオローのための試験がいろいろあって、去年は2年に1回の医師資格登録更新試験を受けてきました。実はこの更新試験を受けた初めての外国人受験生でした。(笑)また来年度も受けないといけませんが・・・。 

 さらに、中医学知識のスキルアップのための試験として、今年は5月23日にまるまる1日かけて中医学の「全国衛生専業技術資格試験」というのを受けてきました。実はこの試験も日本人はもちろん、外国人としては初の受験になりました。試験は中国全国で一斉に行われ、中国政府が主催する医師に関連するものでとても重要な試験の一つでもあります。

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 さて、「全国衛生専業技術資格試験」は中国人の医師であれば当然のように受けられる資格試験で、通常は大学本科卒業後、臨床経験5年後で受けられます。もし医学博士を取得しておれば、学位取得後の翌年に受験資格がもらえます。各専門分野に分かれていて、自分の専攻分野に応じて受験します。
 大学時代の同級生で私と同じ中医学の医師をしている妻は、中医内科学・鍼灸学・全科医(ホームドクター)の3つの資格を取得していますが、その他にも中医婦人科や中医外科などの資格もあります。私は今回が初ですのでまずは専門の中医内科学からチャレンジしました。

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 ところが、「全国衛生専業技術資格試験」は残念ながら今までは全ての外国人に受験資格がありませんでした。私も中国人の同級生達が資格をとっていくなかで、申し込み書を提出しても受理されず、そのため上海の衛生当局だけでなく北京へも陳情したこともあります。
 今でも医学の世界では中国籍を持っている人と持っていない人ととの間で色々な区別がつけられています。まあ、当然と言えば当然ですよね。

 中国人の競争力を高めるためにもわざわざ外国人を平等にする必要もないと言うわけです。

 とはいえ、知識のスキルアップに継続的に中医学の勉強をするのには、この試験はとてもいい訓練だと思うのですが、そうこうしているうちに2015年からついに中国の永住権を取得している外国人は受験可能になりました。中国でも声をあげればかなうモノですね。
 そもそも、中国で新しい習国家主席に代わってから、既存の中国永住権制度が随分整備され、どういうメリットがあるのか、はっきりと明記されるようになりました。その一環として、今回の受験資格があるわけです。

 とりあえずチャンスを与えてくれたことには多謝!ですね。実質、初めて中国の永住権のカードを使った受験になりました。

 さて、「全国衛生専業技術資格試験」の試験範囲は、中医基礎理論・中医診断学・中薬学・方剤学・黄帝内経・傷寒論・金匱要略・温病学・中医内科とお馴染みの中医学の内容に、西洋内科学・西洋診断学がつき、さらに心理学・倫理学・法律となります。内科学には感染症に関しての内容も含まれます。問題は択一式で、試験会場のパソコンに坐って一斉に試験を行います。

 中国の資格試験はパソコン式が多く、前後左右でも出題問題が違うため、カンニング対策にもなります。出題のデーターベースはかなり整備されているようです。

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 私は今回は上海交通大学医学院での試験でした。なんせ、一日で試験をやってしまうので結構体力的にキツかった。外国人初ということで、身分証明書のチェックではかなり不思議がられました。名簿には私だけ英語の名前が記載されていましたし。

 私も試験準備のために家族のいる橿原今井町へ戻るときも、参考書を飛行機に持ち込んで総復習しました。こういう試験は基礎知識の洗い直しにとてもいいチャンスですが、実際結構引っかけ問題もあったりするので、周到に準備しておかないといけません。

 まあこうやって、前例のないことを中国上海で色々試していくのも楽しいモノです。
 次はなにをやってみようかいろいろ企んでおります。

日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動
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