2015年04月23日
ブログ 南京の中医学に触れてみて(4)〜経方医学の黄煌教授
最近の中国の中医学で、とくに若い先生方を中心に人気を得てきているのが経方医学です。そのなかでも、精力的に出版物を出版され、日本留学経験をお持ちなのが南京中医薬大学の黄煌教授です。日本でもお馴染みの先生ですね。
経方医学というと、その定義はいろいろありますが、基本的に「傷寒雑病論」の処方を中心に扱うのですが、方証相対(相応)などのやり方で方剤を組み立てていきます。ただ、黄煌先生のやり方には、厳密な理論に基づいた加減もあります。さらに、薬証の考え方により、陰陽五行や臓腑弁証にとらわれることなく、患者の症状から直接的に証の根拠を捉え、それにふさわしい薬(方)を導き出していきます。その背景には体質の考え方も強く出て来ます。
ただ、実際には方証相対の考え方そのものに対する、現代中医学からの誤解もあります。つまり、方証の証は「症」にかたまったものではなく、むしろもう少し範囲の広いものであるという点。そして臨機応変に対応出来る柔軟性を実はもっているのだという点です。そのためには、方のそれぞれの生薬についての知識をもう一度確認することが必要です。
なぜ経方処方の人気が高まってきたか。それは、現代中医学が抱える、あまりにも抽象化しすぎた理論に対するある種の挑戦でもあると思います。さらに、経方はそもそもは中医学の原点とも呼ばれる「傷寒論」「金匱要略」が起源ですし、これらの本を中医学に携わるものなら誰でも否定することはできないという力強いバックボーンがあります。
なによりも、臨床で経方を使うことで、治療効果を高めることができて、医案を書くときにも比較的理路整然とした論理体系があるというのも特徴だと思います。
中医学そのものは、各家学説と呼ばれるように、さまざまな専門家の理論を集結させたものです。そうしたものを自由に応用できるかどうかの柔軟性が、今後求められていくと思います。
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