2015年04月21日
ブログ 南京の中医学に触れてみて(2)〜温病学の楊進教授
中医学で、熱病や伝染病を扱う温病学。簡単に表現すると、傷寒論では外感風寒系の疾患の治療が多いのですが、さらに発展させて外感風温系の疾患治療を考察したいのが温病学です。つまり、傷寒論の理論的基礎の上に形成された理論といっても間違いないと思います。ただ、現代医学では中医学が直接的に伝染病を扱うチャンスが減ってきていますので、むしろ湿熱系の雑病で温病を使うことが増えています。
(孟澍江教授の書)
今回は、南京中医薬大学の温病学研究室で、第5版の教科書の主任をされた孟澍江教授の流れをくむ楊進教授にお話を伺いました。
温病学といえば、ちょっと難しいというイメージを持っている方も多いのですが、じつは決してそうではなく、現代中医学では中医基礎理論にもその理論は導入されていて、かなり広範囲に運用されています。診断学でも衛気営血弁証や三焦弁証特は勉強します。特に、舌診での影響力は大きく、舌苔厚膩のような状態であれば、多かれ少なかれ温病の処方を使うことになります。
また、SARSで大変だった2003年、鳥インフルエンザや新型インフルエンザの問題でも温病の考え方は活用されましたし、最近ではエイズの治療でも検討されています。ある意味これからもとても興味深い分野かもしれません。
よく傷寒論と対立的に扱われる温病学ですが、本来は決してそうではなく、傷寒論と補完されるべき理論であると考えた方がいいと思います。むしろ、中医学の初学者にとっては、温病論を勉強することはその後の治療方法の選択肢を増やすという意味でとても重要であると思います。
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