
紹興のように歴史のある街だと、もちろん名医も輩出していますが、街歩きでちょくちょく中医学の診療所を見かけます。代々伝わっている中医学の家系も多く、思わずのぞいてみたくなりますね。
西洋医学が本格的に普及する前は町医者としての役割はありましたし、もちろん今現在でも地元の人たちは気軽にそうした診療所に出かけます。よろず相談みたいな場所でもあったと思います。
そのうちの一軒にふらっと訪れてみました。ちょうど妻が肩こりだったので、ものは試しとどんな治療法をするのか体験してみることにしました。

ちょうど膝の痛みで来られていた常連さんがおられたので、膏薬の使い方を見せてもらいました。興味深かったのは、膏薬の貼り方。布に、直接生薬膏薬を塗りつけて、テープなども使わずにそのまま患部にぺたりと貼り付けました。固定しなくても落ちてこないのだそうです。


膏薬にはいろいろな種類があり、状態によって使い分けますが、これもまた中医学の特色の一つで、伝統ある骨傷科(整形外科)では、多種多様な膏薬が自作されています。中医学は基本的に生薬などを服用する内治法と外用薬や鍼灸を活用する外治法を療法活用するのが本来の姿で、地方に行くとこういう治療法は色々残っているのですが、伝統にうるさくなると「秘伝」になってしまうのも残念な話です。
紹興市内の倉橋直街を散策していると、これも老舗ブランドとして「中華老号」の称号を受けている中医薬局「震元堂」を見つけました。

立派な木造の家屋です。
老街と呼ばれる、古い市街地にはこういう老舗薬局が残されていることがおおいです。有名なのでは、国の文化財にもなっている
胡慶余堂中医薬局
がありますが、そこまで大きくなくても、小さな中医薬局は田舎でもよく見かけます。
伝統的な生薬棚が置くに鎮座していて、吹き抜けの待合室を中心に、両側には診察室があるというのがよくある形式で、紹興のような古い街並みに溶け込むような感じがしました。


そのほか、銭氏婦人科の看板も。浙江省の4大中医婦人科(嘉興の陳氏、寧波の宋氏、肖山の竹林寺、紹興の銭氏)の流れをくむ一派。ここに、銭氏婦人科の第22代が診療所を作ったのだそうです。
こうしてみてみると、いかに中医学が人々の日常生活に近かったかよく分かると思います。
ちなみに、震元堂のとなりはこれまた有名な紹興酒の老舗「古越竜山」のお店。

中医学では元来、紹興酒を薬として使いますし、きっといろいろ行き来があったんだろうなと想像しました。ここの紹興酒は、濃厚でかつちょっと甘みがあり、下戸の私でも飲みやすいものでした。
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