
お盆過ぎて、奈良県内にある2箇所のお墓参りはしないといけないと思っていたのですが、それと同時にぜひ訪れたかったの奈良県農業研究開発センター。実は、以前にある会でここの果樹・研究センター所長で薬草科長である浅尾先生と面識があり、一度ぜひ見学に来て下さいと声をかけてくださっていたので、今回の日本出張のチャンスに実現しました。

(柴胡)

(芍薬)
このセンターでは、生薬供給の最も基礎となる薬用作物供給に関する研究が行われていて、安定供給に向けての整備が行われています。すでに、柴胡、芍薬、当帰、地黄などの生薬が植えられていました。生薬栽培は、気候風土や土壌と密接な関係があり、様々なデータが集められていました。また、柴胡に関しては、刻み生薬として使えるように2年物の良質なものを栽培する方針だそうです。奈良県では柴胡が十津川村ですでに出荷されています。

(当帰)

(生地)
特に、奈良県が力を入れている大和当帰は、アゲハチョウの幼虫など虫がつきやすいため、農薬の問題がどうしても心配されます。如何にして農薬の使用量を減らすかは栽培技術の進歩と深く関係があります。こうした地道な努力がなければ、安定供給はできません。
臨床応用としては、奈良県立医科大学に大和漢方医学薬学センターが設立され、漢方医学薬学に関する教育・研究・診療が行われていきますが、漢方外来もついに本格化していくようです。こちらの動きも楽しみですね。
私からは、日頃中国で実践しているこうした生薬の消費者・患者サイドからの活用方法についていろいろ提案させていただきました。なんせ、中国に20年近くいるわけで、いかに中国人の生活に生薬が溶け込んでいて、日常的であるかということを伝え、生薬の消費を増やす必要があります。市場がなければ、こうした産業は発展出来ません。私もいろいろアイデアを提案させていただきました。基本的に、エキス剤の原料や薬膳の食材に頼っているだけではやはりダメです。
中国の場合、すでに事業を成功した富裕層が、積極的に生薬栽培に資金を投入して、健康産業へ貢献しています。日本の場合、自治体や製薬会社ぐらいしかバックボーンがなく、これではなかなか本格的な動きが出るまでに至りません。しかし、奈良県が県南部の産業復興のためにこうした取り組みを行っていることは特筆に値すると思います。
午後は大阪にでて本屋を一巡して、日本漢方の生薬学に関する興味深い本をゲット。日本の本屋はとても楽しいですね。いつまでいても飽きません。アマゾンで本を買うのもいいですが、たまには目的なしに本屋に紛れ込み、「あ!」っという本にめぐりあいたいものです。
夜は、洞の会の一部メンバーと会食。

我々が応援している奈良県天川村でのさまざまなプロジェクトについて、進捗状況をいろいろ伺いました。前回、天川村での夜鍋の会でもお会いしたのですが、ガラスアーチィストの岡本覚先生もいらっしゃいました。大阪が硝子工芸のメッカであるというのには驚きました。ガラスのもつ芸術性は改めてすごいですね!まるで生命が宿っているようです。先生の作品は、中之島にもあります。
皆さん、情熱いっぱいでかつ個性的な人生の先輩ばかりで、とても参考になりました!
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