2014年08月11日

庶民中医学の原点を探しに

 8月11日から浙江省安吉にきています。上海から280キロ程度の道のりで、今回は、内環状線から延安高架道路につなぎ、そのまま西にG50高速道路をぶっ飛ばしたら着きます。S32でもいいのですが、やっぱりG50のほうが近いですね。お昼前に出発すると、4時頃には着きました。

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 安吉は雨の日だったとはいえ、30℃前後はある蒸し暑い上海から、一気に25℃以下の世界になりました。なんか別世界です。

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(おやきを発見!)
 さて、私たちがこうやって安吉の一つの村に通い続けている理由の一つに、田舎の人たちが中医学のどうやって活用しているかを知りたかったからというのがあります。確かに、上海には沢山の生薬があり、病院でも中医学は使われているのですが、でも中医学の世界はその程度のものではないと思っています。所詮、都会の医者が使う中医学には薬材の問題からして限度があります。

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(なぞの発酵食品。とても臭いけど美味しい!)

 「薬食同源」とか言われるように、中医学はそもそも庶民が長い歴史の中で築き上げてきた経験集であるわけで、文献ばかりを読みあさるだけではないというのは皆さんご存じの通りです。フィールドワークがその原点だと思っています。そのなかでも、浙江省は長江デルタエリアでも突出した中医文化をもっているエリアでもあります。天目山(大学では薬草採取の講義もありました)を代表とする豊かな自然もあり、なによりも日本の関西エリアやさらに上海などとも気候風土が似ています。つまり、中医学的にも参考にでき、克つ即戦力にできることがいっぱい残っているのです。山々の自然も、日本の里山にすごく似ています。これが私達にとっては魅力的です。

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(白英)

 たとえば、薬草の使い方にしても、地域差が出てくるのも事実です。このエリアでは、夏になると「六月霜(劉寄奴)」を夏バテ予防にお茶として飲みますが、その以外にも前胡や白英など、農民達は日常生活のなかで山に入って採取しています。日本人にとってお馴染みの魚腥草(ドクダミ)なんかもよく使われる生薬の一つです。なんせ、半夏や胆南星なども自生していますからね。生薬資源が豊富なんです。だからこそ、庶民の生活の中に中医薬の文化が残っているのです。これが植物がそもそも生息しないエリアでは難しい。

 今回は、このエリアで中医学を先祖代々継承してきている6代目の馬先生とお会いしました。前から巷でウワサも聞いていて、一度お会いしたいと思っていたのですが、ついに実現しました。先生は自分のことを「学歴も何もない農民」といって謙遜されていますが、村人達の間では4大名医の一人と言われています。こういう人たちが、田舎でどうやって中医学を活用しているか?そして、どうやって中医学を継承してきたのか?というのは私にとってとっても興味深いテーマでもあったからです。

 この日は、延々と地元料理をつつきながら夜半過ぎまで、いろいろ熱く討論しました。しかし、医療関係者でもない地元の農民達も生薬に詳しいですよね。どこに何が自生していて、いつ頃収穫するといい、というようなことを本当によく知っている。しかも、その使い方も。下手な都会の中医師よりも博識だと思います。彼らからすると、中医薬局の生薬は干からびた薬ばかりで、新鮮な生薬を求めて山の中に入っていくのがベストだという世界なんです。

 そうか、「薬食同源」とはこういうことだったのだ!と大変勉強になりました。

 引き続き探求してきます。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール

 
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動
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