2017年09月30日

文旦(ブンタン)の季節〜福建省では本当によく食べられる柑橘類、功能も色々

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  今年の国慶節は、福建省に行ってきました。
 上海からは高速鉄道で福州まで5時間乗り通し、そこからレンタカーをかりて、高速道路を4時間ほど飛ばし、土楼で有名な竜岸が目的地。

 10月の福建省は、上海と比較してもまだまだ暑く、最高気温が35℃を超える日もあり、びっくりしました。とにかく蒸し暑い。そんななか、よく食べられている柑橘類が、文旦(ブンタン)です。中国語では柚子と言いますが、日本の柚子とはまったく違うものです。農家の庭先によく植えられていて、実が大きいので木にぶら下がっている様子は非常に存在感があります。

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 日本でも高知県などでよく食べられているそうですが、私の地元奈良県ではあまり馴染みがありません。でも、中国の上海エリアを含む南方では、非常によく食べられていて、この季節には欠かすことができません。

 文旦の味の特徴は何と言ってもパサパサした食感。私は当初、この食感は美味しくないと思ったのですが、慣れてくると結構クセになります。オレンジなどのように汁が飛ばないので食べやすいですし、甘さもしつこくなく、サッパリした感じです。ただ、皮が分厚いので、剝くのが少し大変かもしれません。

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 文旦は、中医学の世界でもなかなかよく使われる食材です。

私はまず悪阻でしんどい妊婦さんにお勧めしたいです。中医学では伝統的に、悪阻対策の中医薬の処方がいろいろあり、実際に使ってみて効果もあるのですが、この文旦も非常に効果がある食材で、他はダメでも文旦はいけるという患者さんもおられました。実際、中国でも『日華子本草』に、少量の文旦は悪阻に良いという記載もありますので、実際に使われていたことが分かります。

 さらに二日酔いのムカつきにも使えます。基本的に、文旦には食欲を増進し、消化を高める働きがありますので、なにかと重宝な果物です。また、咳や痰にも良いとされ、慢性の痰を伴う咳に使うという中国の農家のお話は地方に行くとよく耳にします。その他、文旦の外側の黄色い皮は咳に効果的です。薄くスライスして、適量の蜂蜜に浸し、蒸すとできあがりです。無駄にするところがないですよね。

 ただし、性質は寒となっていますので、食べ過ぎには注意してください。

 とか言いつつ、思わず文旦を手にしてしまいます。上海では一個30元前後もするのですが、福建省の農家だったら一個2元で分けてくださいました。袋に詰めて、上海までお土産に持って帰りました。

 しかし、中国の南方に行くと果物の種類が豊富になりますね。バナナやパパイヤ、パッションフルーツなどもたわわに実っていて、南国に来たことを実感しました。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界

2017年09月07日

浙江省一の薬草生産地、磐安(パンアン)

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 上海のとなりの省、浙江省。

 山や川が豊富で、美しい農村の景色を楽しめるエリアです。私も、上海の雑踏に疲れたら、高速道を飛ばして浙江省の村々を訪れます。人々の暮らしを観察するのも良いですし、美味しい物を食べのもよし。そして、何よりも伝統的な中医学の姿がまだ残っているところも多いです。

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 今回は上海の自宅からクルマを運転すること約4時間半、約330キロのところにある浙江省磐安にまで行ってきました。

 結構な山奥で、それでも今は高速道路が開通しているので、行きやすくなりました。昔の国道も走りましたが、高速道路並にしっかりと整備されていました。

 磐安が有名なのは、何と言っても「中国薬材の郷」と呼ばれるぐらい中国有数の薬草の産地だから。一説によると、1,200種類ぐらい薬草が産出するとか。

 浙江省では、浙江八味と呼ばれる浙江省で収穫される良質な生薬があります。それは白朮・白芍・浙貝母・杭白菊・延胡索・玄参・筧麦冬・温鬱金の八種類を指します。

 そのなかでも時に磐安は有名で、磐安で収穫される五種類の良質な生薬を磐五味と呼び、白朮・元胡・浙貝母・玄参・白芍を指します。特に、白朮・元胡・浙貝母・玄参・天麻に関しては、全国一の生産量を誇ります。

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(浙貝母ですね。)
 例えば貝母ですが、四川省で収穫される川貝母・浙江省の浙貝母・河北省の土貝母の3種類がよく使われます。値段が一番高いのが川貝母。体積が大きいのが浙貝母・褐色しているのが土貝母。私は、上海に近いこともあり、浙貝母を使っています。味からすると、苦みは明らかに浙貝母>川貝母なので、潤す力の強い川貝母と開瀉力の強い浙貝母って覚えました。いずれも痰や咳の治療では欠かせません。
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 磐安では、街全体が生薬の生産や交易に力を入れていて、大きな生薬交易市場もありました。街全体も生薬をテーマにして整備されている感じでした。まだ工事しているとこもチラホラ。

 磐安では中国ではお馴染みの製薬工場も次々と進出しています。

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 生薬はどこで栽培しても良いわけではなく、その栽培に適した土壌・気候が決まっていて、上手くマッチした生薬のことを中国語で「地道的薬材」と呼びます。どこでどれだけ良い生薬を仕入れることができるかが、中医薬局を経営する中医薬剤師の腕の見せどころでもありますよね。

 中国の生薬栽培は全国に広がっています。
 
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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬