2016年03月18日

上海で黄熱病の報告、アフリカ・アンゴラからの渡航者

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 上海市の衛生当局によると、3月18日に上海で江蘇省出身の男性・46歳が黄熱病と診断されたとのこと。この男性は、3月5日にアンゴラの首都ルアンダで発熱し、3月6日に飛行機に搭乗してドバイでトランジット、3月7日夜9時に上海到着、上海入国時には発熱はなかったものの、病院で診察をうけて、上海疾病予防コントロールセンターでの検体標本の検査と、中国疾病予防コントロールセンターでの再検査で3月17日に黄熱病と確認されたようです。現在、肝機能障害がみられるものの、容体は安定しており、治療が行われています。

 黄熱病はかつて野口英世が研究した伝染病ですよね。最後、黄熱病で亡くなってしまいましたが、熱帯アフリカや中南米の風土病で、蚊によって媒介されます。中国では法定検疫伝染病に指定されています。人から人には感染しませんし、黄熱病を媒介する蚊も上海にはいませんので、あまり馴染みのない伝染病です。潜伏期間は3〜6日程度、発熱・黄疸・出血などの症状を伴い、生ワクチンはありますが、特効薬は今のところありません。感染後5〜20%で症状が出ますが、まれに重篤化してなくなることもあります。

 この報告を読んで、最近、アフリカへ仕事へ出掛ける中国人も多いことを感じました

 うちの近所でも、南アフリカで雑貨屋を経営しているとか、そんな話をよく耳にします。中国人のビジネススタイルはとてもグローバルですが、近年特にその傾向が強いように感じます。それにともない、様々な伝染病のリスクが高まりますが、これはなにも中国に限った問題ではありません。

 人間の経済活動は、地球を小さくしました。

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2016年03月14日

上海の地元小学生つれて薬草園へ

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 上海のローカル公立小学校にも社会見学のような校外学習の授業があるのですが、うちの子供の学校では学級委員をしている保護者たちと担任の先生で討論して決めます。(上海では学級委員になりたい保護者が多すぎて抽選になるのです。)

 というわけで、今回はリクエストの多かった薬草園の見学に、学級委員である妻と私、さらに担任の先生とカメラ担当の保護者と一緒に行くことになりました。もちろん、妻も私も現役の中医学の医師ですし、せっかくですので子供たちへのガイドも担当することになりました。

 こうやって子供たちと一緒に薬草園に行けるとは願ってもいないことです。

 今回お世話になっている薬草園は、日頃日常診察業務でお世話になっている上海の某生薬卸売業者の社長が保有していて、さらに一般公開前の施設を、特別にお願いして貸しきりで使わせて頂きました。感謝!

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 私設の私設ながら、敷地も十分に広くて、一般的な薬草園の他にも、温室や中医学のちょっとした博物館や標本室もあり、小学1年生の子供たちでも十分に楽しめました。

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 特に、博物館内に再現されている薬棚には興味津々でした。ここでは妻にバトンタッチしてもらって解説。

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 私もいくつか子供が興味を持ちそうな薬草を選び、触って貰えるようにして準備しました。まだまだ漢字が読めないので、ピンイン付きです。(笑)

 ミミズやサソリ、蛇、ムカデ、地鱉虫、セミの脱け殻のようにお馴染みの動物系のものや、竜骨のような化石も持っていきました。日常何気ないものが薬になることを少しでも知って貰えたのではないかと思います。ノーベル賞のきっかけとなった青蒿も持っていきましたよ。

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 広い敷地には、ロバや鹿などの動物もおり(いずれも生薬として使います)、広い原っぱには黄色い蒲公英も花咲かせていました。

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 校外学習の最後は、薬草園の原っぱで蒲公英を集めました。これも生薬で日常的に使います。

 いくら中国人といえども、小学1年生では中医学の認識というのはゼロに等しいところ。なにか少しでも子供たちの印象に残って貰えたら、私たち夫婦も嬉しいです。

 中国では、小学校の教育課程に中医学の知識を導入する試みが行われつつあります。浙江省杭州市でも導入がきまったという話も聞きました。これも自分たちの文化を知るという観点からもとても大切なことだと思います。

 私たちでもできる小さなことから、これからもいろいろチャレンジしてみたいと思っています。

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2016年03月10日

春の気温差があるときには活用したい「春捂」の考え方

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 3月7日〜9日まで、日本特有の春先の「雑用」を色々片付けるために奈良今井に戻っていました。そして3月10日に上海に戻ってくるとなんと寒いこと!3日前に上海を出発したときはそうでもなかったのに、一気に季節が逆戻りした感じですね。

 旧暦では「春三月」の真っ只中にいる今現在、中医学でもこの春先の季節は体調の変化に特に注意しないといけない時期で、体の体温調節を如何に自然に順応させるかが大切な問題です。

 中国語には「春の天気は子供の顔、1日に3回表情がかわる」という言葉もあります。朝晩の温度差も大きいですし、さらに風が強いときも多いです。大陸の気候なら尚更です。このとき、どうやって衣服の調節をしたらよいかというのが大きな問題になります。その対策が「春捂(しゅんご)」という習慣です。

 もちろん、国土の広い中国なので北方エリアと南方エリアとでは習慣が明らかに違いますが、今回は日本の関西エリアとも気候が似ている華東エリアでのお話です。

 まず「捂」という字ですが、中国語では「Wu」と発音します。押さえる、被せる、封じ込めるといった意味があります。つまり中医学でいう陽気をこの春先にしっかりと守るために、衣類などを体に被せて封じ込めるというわけです。

 中医学では「寒従脚下起(寒さは足下からやってくる)」という言葉もあります。足は体の中でも血液循環が悪いわけで、男性女性にかかわらず足の冷えを訴える患者さんが多いです。当然、中国でも伝統的に足下を温めることは一般的に認知されていて、そのため春先の衣類は「下厚上薄」というのが大原則になります。
 また、頭の保温も大切です。頭は体の陽気が集まる場所であるけど、陽気が発散しやすい場所でもあり、とくに風にあたったりすることを極端に嫌います。帽子などを被って風を防ぐことが大切とされています。

 さらに背中は「陽の中の陽」とも言われていて、背中からも寒さが侵入しやすい。背中がぞくぞくするというのは非常に良くない感覚なのです。そして、お腹の保温も忘れずに。腹部の冷えは胃腸だけでなく、婦人科疾患とも密接に関係があります。

 体を鍛えるために「寒さを我慢する」ことがいいとする考え方もありますが、あまりムリをしないように。とくに子供や高齢者は体が熱しやすくて冷めやすい。体を温めるエネルギーでもある陽気をしっかりと守ってあげることが必要なわけです。

 とはいえ、春も終わりに近づいてくると、気温が安定してくるので春捂する必要もなく、今度は適度に衣服を脱いで今度は陰気を守りましょうね、ということになります。それでも、足下は冷やさないでください。「寒従脚下起」ですからね。

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