2015年02月21日
雲南大理州でよく見かける虫草地参
雲南省大理州洱源の郷土料理をいろいろ体験するなかで、このあたりのレストランや食堂に入ると必ず目にするのが地参と呼ばれる植物の根っこ。
白くて丸いクリクリがくっついたような不思議な形をしていますが、こちらでは虫草地参とも呼びます。略して「虫草」。一瞬冬虫夏草と名前が似ているように思いますが、まったく別のものです。
栄養価が高く、中医学でも『中華本草』に掲載されています。食感はシャキシャキした感じで、クセもなく炒め物やスープに入れても美味しかったです。大理州あたりの人たちはよく食べているようですね。
調べてみると、中医学的な性質は活血作用があるようで、利尿・通経・養血・補陽などの効能が出て来ました。産後の虚弱体質、月経痛、浮腫、虚弱体質の改善、肥満症などにも使える一方で、ミネラルが豊富なのでインポテツなどにも使われているみたいですね。いくつかの悪性腫瘍の処方にもはいっているので、瘀血をともなっておれば活用出来ます。雲南だけでなく、浙江省あたりでも栽培できているので、薬材としてだけでなく、食材として今後普及するかも知れません。実は、浙江省でも地元では虫草と呼ばれていました。
4月までの日本と中国各地への出張スケジュールが出て来ました。↓をご覧ください。
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2015年02月20日
雲南省洱源で見つけた中医学でお馴染みの宣木瓜(ボケ)
雲南省の温泉地、洱源は、温泉地としては有名ですが、温泉とセットで体験してみたいのはやはり美食。といっても豪華絢爛な料理ではなくて、素朴で現地にしかない味を探し出したいと思うわけです。
雲南料理をみたとき、宣木瓜はよく登場していて、スパイスにも欠かせない食材でした。中医学の世界でも、宣木瓜はよく使います。主な効能は舒筋活絡・化湿和胃、性質は酸温で、関節痛や筋肉の痙攣、消化不良などに使います。こむら返りの芍薬甘草湯は有名ですが、私は効果を高めるために木瓜を加えることもあります。
雲南省は海がないので当然、山のもの、淡水物ものが多い。そして、牛乳や牛肉を使ったものも沢山見かけました。そこで有名なのは牛扇。
これは牛乳もしくは羊乳から作りますが、実は牛乳のタンパク質を固めるのに宣木瓜を使うということを知りました。宣木瓜と牛乳をまぜて煮詰め、皮状としたものです。そのままで食べてもいいですが、現地では油揚げにしていました。私個人的にはアボガドを巻いて食べたら美味しかった!味はなんとなくチーズのような雰囲気もあります。
調味料としても宣木瓜もかなりいけました。
洱源の農家楽(民宿)で出て来た料理では、近くの湖でとれた新鮮な鯉に豆腐と花椒をまぜて、さらに乾燥させた宣木瓜を入れています。味は「甘酸っぱいけど酸味が強い」といった感じに仕上がり、お腹にも優しい感じがします。しかし、鯉がとても美味しかったです。
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2015年02月19日
雲南でもドクダミはれっきとした食材、仏手に香櫞に辛夷花も
雲南省での春節前後の市場は、正月用品を買う地元の人たちで市場は大賑わいでした。季節物の食材もあって、探検するのも楽しいものです。しかし、普通の自由市場なのに、日頃我々が処方箋でよく使う食材が多くてびっくりしました。
ドクダミ(魚腥草・十薬)に関してはこれまでもいろいろ取りあげていて、こちらにもいろいろ書いておりますが、雲南大理エリアでは、食材としてもよく食べられていることを知りました。
写真は、白族の食堂で見つけたドクダミ料理。前菜料理として、ドクダミとキュウリをまぶし、そこにピリ辛の調味料をつかって和え物にしていました。味はと言うと・・・、これが結構いけたりします。ドクダミは確かに臭いのですが、生で食べるとまた違った味わい方でした。
この市場では、柑橘類も豊富です。なかでも、香櫞(こうえん)は非常によく見かけました。中医学での香櫞は、疏肝・理気・和中・化痰と効能は豊富で、食欲がないとき、胃腸の調子が悪いとき、胃痛や胃のもたれなどにも使います。雲南省では咳とか痰にも使うと言っていました。
食べ方は至ってシンプルで、写真のように輪切りにして白いところを食べるだけです。
味は多少苦みがありますが、でもさっぱりとして美味しいです。ミカンのようなジューシーさは一切ありませんが。
香櫞とペアで使う生薬に仏手もありました。上海エリアでもあるのですが、こちらのはでかい!
そのほか、鼻炎や副鼻腔炎でよくつかう辛夷(こぶし)も見つけました。普通は蕾ですが、こちらではすでに開花したもので、お茶にして飲むそうです。
薄荷もありました。
中国の地方を旅行するチャンスがあったら、ぜひ地元の市場をのぞいてみてください。きっと面白い発見があると思いますよ。
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2015年02月18日
雲南大理州洱源伝統料理、豚の生皮と梅
中国の旅は、まさに食探しの旅ですよね。そして、これがまさに医薬同源と言われる根源になっているのだと思います。今回、雲南にやってきてその食文化の多様性に改めて感動し、彼らが驚くほど豊かな食生活をしていることを実感しました。百貨店のお総菜やコンビ二がなくても、全然困らない彼らの食文化は、今も頑なに継承されています。
●黒い梅干し
今回私が滞在しているエリアは、雲南でも白族が多く住んでいます。そのなかでも洱源は梅の産地として有名で、気候的に梅の飼育にも適しており、至る所で梅を加工したモノを売っていました。海抜2000メートルで栽培される梅には、害虫がつきにくく、農薬も殆ど要らないというメリットもあります。洱海梅子というブランドもあり、政府によって保護されています。梅の栽培に関しては2000年以上の歴史があるというわけですから、筋金入りですね。
洱海では彼らはいまだに梅酢を使っていました。日本でも昔はあったそうですが、少なくとも私は食べませんし、上海エリアでも滅多に見ません。しかし、このエリアには健在でした。そして、この梅酢を作るときに出て来た梅が、梅干しに加工され、もしくは中医薬や漢方薬の烏梅になります。この烏梅が「うめ」の語原になっているとも言われています。
さらに、洱源には梅と青じその組み合わせで作られる蘇裹梅もありました。そのほか、上海でもお馴染みの話梅は、まさに現代中国人の味に改良された梅干しですね。とにかく梅を使ったバリエーションは非常に豊富です。これほど伝統食の中で梅が活用されているのは、中国でも珍しいと思います。
●豚の生皮
本当の生の豚肉は、さすがに寄生虫の心配があるので食べられませんが、雲南省洱源エリアで、源泉で88℃の温度がある温泉水で洗った豚肉であれば、伝統食としてその豚の皮が食べられていたそうです。現在では、豚の皮の表面を丸焼きにした豚が市場でも売られていて、それを「生皮」として白族の人たちは食べています。豚の皮を黄色になるぐらいにまで炙ってあるわけで、このシャキシャキ感がたまりません!
そして、さらにスパイシーなタレがつきます。材料には梅酢のほかにも、山椒や生姜、香菜のほかにも、漢方薬や中医薬で使われる大麻の種(火麻仁)などをブレンドします。
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2015年02月05日
上海市でも癌発生率・死亡率トップは肺癌、男性は特に注意を!
中国で増え続けている癌について昨日は書いてみましたが、今度は上海市の実情についてみてみたいと思います。
上海市疾病予防コントロールセンターの最新の数字によると、上海市で年間に新たに発見される癌患者の数は3.6万人で、このうち男性が60%、女性が40%という比率になっています。ここでもやはり男性の方が多くなりましたね。
さらに、2011年に男女あわせて上海市で発生した癌のなかで発生率ともに死亡率ともにトップとなったのはやはり肺癌でした。喫煙率といい、生活環境の問題といい、まあ想像できる結果だと思います。新たに発生した癌の17%が肺癌と言うことです。その次が大腸癌で13%となりました。以下順番に胃癌、肝臓癌、前立腺癌となります。
一方で、女性の場合は、乳癌が17%でトップとなり、続いて大腸癌、肺癌、甲状腺癌、胃癌となります。
5年間生存率でみると、男女あわせての場合、上海市の数字は54.3%で、日本の58.6%と比較するとやや低め。ただ、10年前と比較すると25.8%も増えており、近年の上海市での高齢化問題を考えても、医療レベルの進化と関係がありそうですね。
ただ、男女で分けてみると、男性の5年間生存率は46.9%、女性は62.8%で差が大きく開きます。癌の種類別に見てみると、男性の場合、5年間生存率が最も高いのが前立腺癌で、最も低いのが膵臓癌、肺癌は20.3%、大腸癌は72.3%でした。一方で、女性の場合は甲状腺癌の5年間生存率がトップで99.8%、肺癌は22.11%、大腸癌は70.1%、乳癌は91.5%となりました。人口の高齢化の影響もあるようで、たとえば乳癌の場合、10年前は診断される年齢の平均が55.65歳だったのに、いまでは58.08歳にまであがりました。
WHOによると、癌の50%はタバコを吸わないとか、食生活に注意する、積極的な運動などで予防できるといわれています。また早期発見はとても大切で、上海市でも65歳以上を対象にした無料の健康診断や、大腸癌や婦人科検査も行われています。
大気汚染があるだけで、健康に対するリスクは高まるわけで、そのために日本に居るとき以上にできるだけ健康な生活をおくるように心がける必要があります。
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2015年02月04日
今後急増すると予測される中国の癌患者
今日の上海の大気汚染はひどかったです。PM2.5値は362㎍/㎥。再び「厳重汚染」が点灯しました。
これほど大気汚染がひどかったら、さすがの私もランニングなど外出を控えましたし、春節休みに入っている娘も外出禁止令。まったくもって厄介な季節に突入しました。
(クルマの中にて)
ちなみに窓を閉め切って、空気清浄機をつけても屋内のPM2.5値は30〜40㎍/㎥程度でした。同じ頃の東京文京区のPM2.5は11㎍/㎥でしたからね。
最近、中国で有名人が癌で亡くなるニュースが続きました。芸能界でもまた然りです。さらに、上海の医学界でも、相次いで有名な先生が若くして癌で亡くなっています。
すこし古いデータですが、報道によると2012年に中国で発生した癌患者の数は306.5万人で全世界の五分の一、死亡者数は220.5万人で、全世界の四分の一。数の規模が半端ではないですね。このままいくと2020年には癌による死者が300万人、2030年には350万人まで増えるだろうと予想されています。
北京市の腫瘤防治弁公室の担当者の話では、35歳以上に関してみると、この10年間で北京市の肺癌発病率は43%増加しているほか、2006年度の中国全国の調査でも、30年前と比較して乳癌の死亡率は96%上昇し、肺癌に関してはなんと465%も上昇、さらに癌全体の死亡者のうち、22.7%が肺癌によるものだそうです。また、中国の特徴として5年間の生存率が30%程度と低いのも挙げられます。そもそも病院に行かない人も多いので、早期発見が難しく、アメリカの60〜70%と比較しても大きく差があけられています。
大気汚染だけでなく、不健康な生活習慣、高齢化、食品の安全問題なども中国の癌発生率増加と大きく関係あるのは間違いありません。また、最近の傾向としては、癌が貧困層だけでなく富裕層へも増えてきている点です。これまで中国では癌の発生と関係のある生活環境や飲食習慣の問題は貧困層に多いとされていましたが、今後は富裕層の運動不足や栄養過多などによる問題も深刻化しています。
これから先、癌に対してどのような対策ができるか?中国では今まさに待ったなしの状態になっていると言えるでしょう。
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