2015年01月03日

中国での乳癌の状況

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 最近、ランセットに掲載された記事から。
 復旦大学附属腫瘤病院が2014年に発表した論文に
Breast cancer in China
というのがありました。いろいろと参考になるような内容があったので、ここでもご紹介します。

 現在、中国でもとりわけ上海や北京など大都市で乳癌患者が増えているという話は、このブログでも時々ご紹介しています。中国全体でもその傾向が出ていて、毎年中国で新たに発症している乳癌患者は全世界の12.2%、死亡者は全世界の9.6%で、その増加率は世界平均の2倍といわれています。乳癌と診断される年齢は平均45〜55歳で、これも欧米の数字と比較しても10〜15歳若い傾向にあります。

 上海と北京に限った場合、乳癌発症のピークは45〜55歳、70〜74歳と二つあることが分かってきました。とくに中国の場合、一人っ子政策の影響で、子供を産む数が少ないという特徴があります。女性が一生に生む子供の数は、上海に限ってみると2010年は0.81人に過ぎず、中国全国でも50年代前半の6.0人から2010年の1.6人にまで落ち込んでおり、子供を産む数が少ないことも乳癌リスク上昇と関係があると言われています。また、初潮の年齢が早かったり、初産の年齢が遅かったり、閉経の年齢が遅すぎたり、さらに母乳をあげる期間が極端に短すぎることにも関係あるといわれています。中国でも日本同様に閉経前の乳癌が増えていることは確かみたいです。

 中国の都市部における食生活の変化も見逃せません。食の欧米化は、上海でもちょくちょくみられる現象で、中国の伝統食といわれる米・小麦・野菜・豚肉・大豆などの食材以外に、乳製品、揚げ物などを含む西洋的な食材や過度な添加物を摂取することが増えてきています。また、クルマ社会となってきて運動するチャンスが明らかに減っており、閉経後の肥満問題も増えてきています。
 調査によれば、中国人女性の場合、BMI値が24以上の女性が乳癌にかかるリスクは、24未満と比較して4倍に増えるといいます。とくに閉経後の場合は顕著になってきているようで、肥満を如何に抑えるかが中国の乳癌予防でとても大切な要素となってきています。

 そのほか、体内もしくは体外から摂取される女性ホルモンとも関係があるといわれています。特に、更年期対策に使われることもあるホルモン療法や、ピルなどの避妊薬の服用も、その服用期間の長さによっては、乳癌リスクと関係がある可能性も指摘されています。ちなみに、更年期対策では、ぜひ漢方医学や中医学も一度活用してみてください。かなりの効果が期待できるはずです。

 また、最近では乳癌の遺伝的原因も遺伝子レベルの研究で分かってくるようになってきました。それにより発症する時期も推測できるような乳癌の種類も分かってきています。

 いずれにしろ、乳癌予防の基本的なポイントは、1.良好な生活習慣、2.アルコールの摂取を控える、3.高脂肪・高カロリーな食材の摂取を控える、4.ストレスの軽減、5.運動を欠かさない、などが挙げられます。このブログでもこれまでにいろいろ紹介してきました。(運動アルコールに関してはリンクをご覧ください。)

 乳癌の定期的な検査は早期発見のためにも重要です。25歳以降になればぜひこの問題を留意してほしいです。若くして乳癌に罹患する日本人や中国人の女性が少なくないからです。

 また、マンモグラフィーの検査は重要ですが、乳腺などに邪魔されて表示が完璧ではないということも留意しておく必要があります。年齢が若い、20代のぐらいの女性でマンモグラフィー検査を一般的に推奨されないのはそのためです。不必要な検査による被爆は避けなくてはいけません。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情