2014年06月27日

6月27日から久しぶりの東京滞在でした・日本東洋医学学会学術総会へも

 日本東洋医学学会の学術総会に参加するため、6月27日から上海を飛び出し、東京にやってきました。

 曇り空で若干雨模様だった上海で、東京の晴天と青空を期待しましたが、さすがに梅雨時。如何にして大雨を防ぐかという問題のほうが大変でした。

 上海浦東ー成田便は今日も満席。1日13便も飛んでいるのですが、利用者は好調なんですね。羽田が1日4便飛んでいますから、1日17便も上海ー東京の飛行機があるのです。この数字を見るだけでも、日中間の関係が如何に親密になっているか分かりますよね。圧倒的に多い中国人の団体観光客。日本人ツアー客はすっかり姿を消していますが、でもビジネスマンはとても多い。政治家の皆さんはこういった現実を見た上で政策を考えて欲しいと思うわけです。

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 さて、今回の第65回日本東洋医学学会学術総会は、会場は有楽町にある東京国際フォーラム。とにかくでかい会場でした。それぞれのテーマで会場も分かれているので会場内を行ったり来たりするのも大変。でも慣れたころには学会は終わってしまいます。(^_^)

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 日本漢方を代表する学会として、日本東洋医学学会の果たしている役割はとても大きいのですが、その分含まれる範囲も大きく、臨床家の一人として参考になることも多いです。ただ、今回のテーマが「アートの復権・人間的な医学・医療を求めて」となんとも壮大で、とくに「アート」に関してはどう捉えるべきなのか、少し考えてしまいました。

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 それはともかく、午前中に上海を出発したらお昼過ぎには東京で活動ができる。この便利さはいいですね。開会式や伝統医学臨床セミナーにも間に合いました。スカイライナーの貢献も大きいです。

★6月27日に勉強した内容

 1.診療のこつ 松田邦夫先生

   「漢方の勉強は難しいとよくいわれるけど、まずは定石を覚え、その後定石にとらわれない治療をこころがけたい。」まさしくその通りで、中医学もまた然り。大塚敬節先生の例を挙げながら、とてもいいおはなしでした。中医学の場合、教科書という定石があり、それを我々は大学のころから一生懸命勉強してきたわけです。ただ、私が思うに、日本漢方も漢方薬を使う前に、まず運動・食事などの生活習慣の見直しにも力を入れるべきだと思います。これこそが漢方の特色をもっともよく発揮できる分野だからです。本に書くだけでなく、医者も含めて実践すべきです。

 2.「診療のコツ」ここがポイント 二宮 文乃先生

 アトピー性皮膚炎など皮膚疾患に対する考え方について。日本漢方の肝気のとらえ方と、中医学とは若干違うのですが、そのあたりの区別や、皮膚疾患を皮膚経脈障害ととらえて治療する方法など。ただ、原則として身体の全体を捉えることは、皮膚疾患といえども同じだです。

 3.再び甘麦大棗湯について 中川 良隆先生

 この処方は、私もよく使いますし、またとても使いやすい処方でもあります。原文にある「象如神霊所作、数欠伸」に注目され、いろいろな経験をご紹介くださいました。

 4.アートも立派なEBMだった

 日本では漢方が使われて久しいけど、漢方薬そのものの売り上げは医薬品全体のたった1.4%しか占めていないのだそうです。これにはびっくり。それだけ新薬の値段が高いと言うことなのでしょうか。「脈診による血圧測定」という発想は興味深かったですが、中医学的な立場から行くと、まったく違った概念なので正直ちょっと困惑しましたが、話を最後まで聞いたら納得しました。

 つまり、臨床経験やカンから得られたものも立派なEBMであろうという結論はある意味そうあってほしいとも思いました。そうなければ、伝統医学の科学的裾野はなかなか広がらないからです。一つの考え方として参考になるかもしれません。

 夜は新宿でホリスティック医療で様々な本も出版されている大塚晃志郎先生と食事。結構外国人にも人気な「ほうとう」のお店があるんですね。先生との久しぶりの再会に話は尽きませんでした。

 最近東京にいくことがあまりなかったので、今回は連日多くの先生方と会う予定で、とても楽しみです。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール

 
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2014年06月26日

中医臨床 2014年6月号 連載「中医文化を活かした街づくり」

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 連載「未病を治す智恵」の第19回目。今回は上海市北西部に位置する、小籠包でお馴染みの嘉定区南翔についての紹介を書いてみました。

  嘉定区では、まちづくりの一環として、中医学を取り入れようと動き出しています。そのきっかけとなる動きが、南翔で始まったのですが果たして・・・・。

  上海観光ではなかなか南翔まで行くことはないと思いますが、今や地下鉄11号線も開通し、交通アクセスが格段に良くなりました。ここの小籠包は一度は食べておきたいですね。その小籠包が並んでいる通りの近くに「中医文化街」が形成されています。

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2014年06月23日

千葉県松戸でのミニ講演会予定(6月)

 6月末は東洋医学学会学術総会で東京に勉強しに行きますが、毎回東京出張時の恒例となっているミニ講演会を今回も実施することになりました。今回は中医学と婦人科をテーマにお話しようと思っています。といっても一般向けですので、このブログにも紹介することにしました。難しい話をするつもりはありません。

 上海で生活してると、中国の女性達の健康に対する様々な智恵を見ることができます。今回はすぐに実践できることを色々紹介したいと思っています。小さな会場ですが、いつも地元の方を中心に多くの方がいらしてくださいます。

テーマ「女性のための中医学漢方講座」
時間:6月30日(月曜日)13:30〜14:30 
お問い合わせ:045-394-2211(タカハシクリニック)
       047-710-0990(カムクリニック)
住所:松戸市幸田2-73-1(幸田第二公園前)
   最寄り駅:千代田線 北小金駅
   カムクリニック小会議室
参加費:無料
HP:http://www.cam-clinic.com/

 皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

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2014年06月11日

マスクと生薬と偏頭痛

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 中医薬(もしくは漢方薬)を使って偏頭痛の治療をするのはかなり効果的であるのは以前にもご紹介したとおりです。西洋医学の痛み止めを飲む前に、ぜひ中医学や漢方医学を試して頂きたいと思うわけです。良質な生薬であれば、一定の効果があることは間違いないと思っています。(「良質な」がポイントです。ここに私はこだわっています。)

 ところで、浙江省長興県といえば、上海から天目山や安吉などに行くときによく通る街ですが、ここの中医院が興味深いマスクを開発して中国で特許を取得しています。

 中医学では偏頭痛の原因を風邪によるものと、体内の五臓六腑の虚によるものと考えますが、この病院の研究グループでは活血化瘀の生薬をできるだけ細かい粉にしてそれを袋につめてマスクにして当てる方法を考え出しました。生薬として使うのは、頭痛の内服薬としてお馴染みの川芎・白芷・当帰・細辛・氷片など。この生薬の混合粉は使用直前までビニル袋に保管し、使うときに取り出してマスクの中に挟み出します。そうすると、生薬の有効成分が発散し、鼻粘膜から吸収され、偏頭痛治療するというもの。確かに、鼻粘膜から吸収した方が嗅神経回路をうまく活用して脳の痛みに作用できるかもしれません。使用する生薬の量も内服と比較して減らすことができる可能性も十分にあります。

 研究グループによると、偏頭痛の患者100例を対象にした研究では、内服とマスク法の比較で、マスクを使ったグループのほうが痛み止めの効果やQOLの改善に関して有効であったということです。

 中医学では、生理学的な側面も考えて、如何に直接的に患部に薬効を届けることができるか研究されています。私は、今後の中医学の発展に関して、とても興味深い取り組みだと思います。

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posted by 藤田 康介 at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力

数字でみる2013年の中国の中医学

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(上海で有名な西洋医学の総合病院、華山医院)

 毎年公表されますが、中国の厚生労働省にあたる国家衛生計生委員会が発表した2013年度の統計で、中国での医療における、中医学の役割がどの程度なのか、数字からいろいろ知ることができます。ここでいう中医系医療機関には、中医・中西医結合・民族医学も含みます。

 2013年末現在、中国全国にある医療機関の数は97.4万箇所あり、このうち入院施設をもつ病院は2.4万箇所になります。また、この97.4万箇所のうち、入院施設をもつ中医病院は3590箇所、中医門診部(クリニック)は38328箇所になっています。意外と少ないと感じるかも知れませんが、実際は西洋医学の病院にも中医科があるため、これはこの数字に反映されていないようです。

 ベッド数でみると、西洋医学も含めた総ベッド数は618.2万床ですが、このうち中医系病院のベッド数は68.7万床になります。前年比8.8万床の増加ということです。

 ちなみに、2013年度の中国全国での医療機関における診察数はのべ73.1億人、このうち中医系医療機関はのべ8.1億人診察しているようです。内訳は、中医医院がのべ4.9億人、中医門診部(クリニック)がのべ1.2億人、その他の医療機関の中医科がのべ2.0億人ということです。

 入院患者では、2013年で全医療機関ではのべ1.92億人ですが、このうち中医系病院では2276万人となっていて、前年比12.6%の増加とか。

 中医学の医師の数では、2013年は39.8万人で約40万人いることになり前年比3万人の増加に(このなかには、医師だけでなく助理も含みます)中医薬剤師(士)の数は11万人だそうです。

 ここから分かるように、やはり中国でも圧倒的に西洋医学のほうが数では優勢のようですが、その特徴をいろいろ活かすように努力はしているように思えます。

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posted by 藤田 康介 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2014年06月06日

上海世紀公園では馬鞭草が見ごろ(中医薬に使われます)

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 紫色で、群生しているととてもきれいな花である馬鞭草(クマツヅラ)が上海世紀公園で咲いています。

 朝、公園内を走っているとホンワカとした紫色で、目が癒される気持ちになりますね。

 中医学の生薬として使われるのは、馬鞭草の根から上の部分です。泌尿器や婦人科系でよく使われます。
 主な効能は活血散瘀・清熱解毒・利水消腫となっています。瘀血系の生理痛・関節痛・子宮筋腫などでも使いますし、手足の浮腫や腹水の治療でも使います。また、解毒作用があるのが特徴で、咽の痛みや湿熱系の下痢、歯茎の痛みなどでも処方されます。外用・内服両方で使える生薬でもあります。

 ただし、活血作用があるので妊婦さんには使わないようにといわれています。最近では、黄色ブドウ球菌やジフテリア菌を抑える働きや、マラリア原虫に対しても効果があるようです。

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 外からみるだけでは、とっても優しそうな美しいお花ですが、内に秘めた力はとても大きいのです。

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posted by 藤田 康介 at 17:27| Comment(1) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2014年06月04日

7月1日より中国で食品に明礬使用禁止

 2012年10月に書いた記事ですが、「最近、いくつか食に関して気になるニュースが出ていました。一つは、中央人民広播電台が報道したもので、中国の子供のアルミニウム摂取量がWHOの安全基準(1週間に体重1キロあたり2mg)を越えており、その割合が調査対象の子供たちの30%を越えているというもの。調査は、中国国家食品安全風険評価中心が行っていて、加工食品中に含まれるアルミニウムについては、11品目の6000種類に及ぶサンプルが対象となりました。一般的に、小麦を使った食品にアルミニウムがおおく含まれているといわれていますが、研究チームでは米・麦・トウモロコシなどを原料とした多孔質なスナック菓子(膨化食品)が原因ではないかとしています。

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 興味深いのは、中国でも北方エリアと南方エリアとでは、アルミニウムの摂取量が違うという点です。北方の方が、南方よりも多く、平均摂取量の差は4.6倍にもなっています。また、年齢別では平均摂取量で4〜6歳が最高で、北方の方では、安全量の2.6倍も摂取していることが分かりました。基本的に、北方エリアでは小麦系が主食ですから、関係があるのかもしれません。そのため、中国衛生部では、アルミニウムを含む食品添加物13種類に対して、専門家の調査を依頼しているとのことです。中華料理の朝食に欠かせない油条ですが、これも膨らますためにアルミニウム化合物を使うことがあり、注意が必要な食品の一つです。(現在では、安全な油条も売られていますが、そもそも油条はカロリーが相当高いので、要注意な食品です。)」

というのがありました。

 ここでのアルミニウム摂取量とは、明礬(ミョウバン)のことを指していました。明礬といえば、日本でもお馴染みの食品添加物で、実は中医学・漢方医学でも昔から外用薬を中心に使われることもありました。日本でも、大分県の別府温泉に明礬温泉があるぐらいですからね。近年では、腋臭など体臭の治療でも使われることがあります。


 その明礬ですが、以前から中華料理の朝食に欠かせない「油条」をカリカリに膨らませるために、饅頭をふわふわに仕上げるために使われていました。そのほか、スナック菓子やパンケーキ、菓子パンなどにも含まれていて、日本でも2013年6月にアルミ添加物、使用基準を設け規制へ 菓子やパンに使用がニュースになっていました。

 そして、中国政府もついに規制をだしました。2014年7月1日より明礬の使用を禁止にするということです。中国の衛生当局が出した禁止令なので、上海だけでなく全国が対象です。

 そもそも中国の伝統食には明礬をつかう料理が多いのも確か。大人への影響はまず問題ないとされていますが、お菓子などにも多く含まれているので、子供への影響の大きさが懸念されていました。禁止する根拠として、子供のアルミニウム摂取過剰に伴う骨格や神経系への発育影響などがあるとされています。相対的に、中国の子供たちはアルミニウム摂取量が多い傾向にあることも専門家から指摘されていました。

 明礬がなくても、油条や饅頭・麻花を作ることができますが、口当たりが多少悪くなる程度です。我々も買うときには、そもそも油を使って揚げた製品は買わないようにしましょう。規制が入ったとしても、それが浸透するのには時間がかかりますし、完全に規制してしまうのはもはや不可能な状況だからです。

 意外な食品にも明礬が使われています。義母から教えてもらったのですが、上海料理でもよく使うクラゲ。冷菜に登場しますが、これも口触りをよくするために明礬がよく使われるそうです。だから、食べるときはしっかりとお酢に漬ける必要があります。確かに、クラゲはお酢につけると美味しいですしね。

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posted by 藤田 康介 at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える

2014年06月01日

魅惑の生薬、大和当帰

 前回、日本に一時帰国したとき、ちょうど5月21日に大和当帰を使った薬膳料理をいただく会が、奈良県五條市西吉野の山間にある王隠堂であり、私も参加してきました。

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 豊かな自然環境ののなかで栽培される生薬は、地域性がとても強いのが特徴です。我々、中国で生薬を処方するときも、茯苓なら雲南産の雲茯苓など生薬の前に地名をつける習慣があります。実は、私の故郷でもある奈良県は、歴史的にも生薬栽培で有名なエリアでもあり、そのなかでもこの奈良県五條市深谷町あたりで栽培されていたのが大和(大深)当帰と呼ばれていました。

 一般に、当帰といっても、私達が中国の中医学で使っている当帰は唐当帰といって、日本国内で生産されている北海当帰とは品種が違うものとされています。一方で、生産量は多くありませんが、奈良で栽培されている大和当帰は、北海当帰よりも品質が優れているということです。私もぜひ臨床で使ってみたいですね。

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 当帰の効能は様々で、中医学では補血・活血・止痛・潤腸がよく言われていて、生理不順や生理痛関係の疾患、便秘などに使われます。お酒を活用して修治することで、活血作用を強めることができます。韓国料理では、参鶏湯でも使われていますね。

 奈良県では、明治あたりから盛んに栽培されていて、盆地特有の昼と夜の寒暖の差や山間部の傾斜地でも栽培できるというメリットが好都合だったようです。ただ、薬として使うには手間がかかるため、出荷量が激減してしまったのが残念だったのですが、近年、奈良県が生薬栽培に力を入れているそうで、その結果生産農家も増えてきたそうです。

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 さて、そうした大和当帰の栽培にも関わっておられる王隠堂さんでは、まず奈良県での当帰栽培に関わっておられる奈良県農業研究開発センターで薬草科長も兼ねておられる浅尾浩史先生から大和当帰についてのお話を伺いました。さらに、実際に芽が出ていまに大きくなろうとしている栽培1年目の大和当帰や、2年間栽培された立派な大和当帰の根っこを見せていただきました。とても当帰のいい香りでした。

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 もちろん、中国ではまず使わない当帰の葉っぱを使ったお茶も。この葉っぱの香りも、根っこに負けていません。ティーパックもすでに出ているようでした。残念ながら当帰の根っこは医薬品になってしまうので、日本の法制度上、素人が自由に使えません。中国では普通にスーパーで売っているのですがね。

 大和当帰を色々つかった王隠堂さんのお料理も色々な工夫があって良かったです。中国の薬膳では、どうも中華料理の制限のなかに入ってしまって、「大和当帰入りスパゲティーの豆乳スープ」なんかはちょっと登場しづらい。当帰の天麩羅も美味しかったです。

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 良質の生薬を使うことは、効能にも直接的に影響してきます。日本でも漢方に携わる医療関係者がそういうこだわりの目を持つようになってこれば、きっと大和当帰の知名度ももっと上がるのではないかと密かに期待するのでした。

 奈良県人の一人として、これからも大和当帰を応援していきたいと思っています。

東和クリニックでの担当スケジュール

 
posted by 藤田 康介 at 19:31| Comment(1) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬