2014年04月29日
上海で始まった新医師資格制度、「住院医師規範化培訓制度」
私が医学生をしていたときと比較して、資格制度がますます複雑になってきました。以下は西洋医師も中医学医師も同じ扱いになります。
これまでは、5年制の大学を卒業して、1年間付属病院で研修して医師国家試験の受験資格を獲得し、登録医として登録されてから医療行為をするという仕組みでした。これらは比較的古い制度の延長で、卒業した大学生をそれぞれの職場に分配するというのが原則でした。ただ、これでは卒業後の研修施設によるレベルの違いも大きく、ましてや1年程度の研修では習得できる知識も限られています。その後は、各医療機関によるトレーニングに大きく依存することになります。
私自身の場合は、大学卒業後、大学付属病院で6年間過ごしたので、そこで中医学の臨床トレーニングを受けてきました。修士課程3年終了後に医師国家試験受験資格が与えられ、合格後引き続き博士課程で3年間臨床を続けました。
そこで、3年前から上海市がはじめたのが、国の定める医師国家試験とは別に設置された「住院医師規範化培訓制度」という研修制度で、上海市内全域ではすでに実施され、ついに全国でも行われることが決まりました。特徴は、カリキュラムが上海市で統一されていて、最終的には統一試験をパスしないといけないという点です。
これまでは、卒業後の研修は病院単位で行われていましたから、明らかに制度が違います。現在、上海市内には大学附属病院を中心に50箇所の医療機関でこの制度を受け入れています。研修中は給与をもらえるので研修医として働くことになります。
指定医院での住院医師規範化培訓制度に参加しないといけないのは、5年間の医学部本科生を卒業した場合なら3年間、修士課程3年修了した場合は2年間、博士課程までの6年を修了した場合は1年間程度の研修で上海市の統一試験を受験する資格が与えられます。もし合格しなければ、続いては自費で継続研修を受けて、合格まで頑張らなくてはいけません。言い換えると、合格できなければ、医師免許を持っていても臨床医(登録医)として仕事ができないということになります。
しかし、ここ数年は制度の変化が多いですよね。今年からスタートした医師の定期考査試験もそうだし、大学卒業後にすぐに3年間研修する病院を探すのもまた大変な競争になることでしょう。医師不足が上海ですら叫ばれる中、ころころかわる制度に翻弄されるのが我ら中国での現場の臨床医ということになります。
おしらせ
2014年04月27日
上海市の医師定期考査を受験してきました
この4月は極端にブログの更新が少なくなりました。
私自身、病院を移ることになったのと、上海市の医師定期考査の準備のために忙殺されていたからです。
去る4月27日は、上海市内各地で上海市医師協会が主催する「上海市医師定期考核」(上海市医師定期考査)をうけてきました。まあ、中国で医師をするということは毎年なんらかの試験を受け続けないといけないということなので、慣れていると言えば慣れているのですが、今回に関しては第1回だったのでさすがにちょっと緊張しましたし、準備万端で臨みました。(^_^)
ちなみに、中国では大学で規定年数勉強して医師資格を取得しただけでは医療行為ができません。衛生局に医師登録をしてはじめて処方できるようになります。そのため、医師の手元には最低2冊の証明があることになり、上級医師の資格をとるためには、医師資格取得年よりも医師登録年数が重要になってくるのもそのためです。
この医師登録に関して、今までは一旦医療機関に属して登録すると更新する必要はありませんでしたが、今年から2年に1回の更新制に変わりました。また、医師が所属病院を変わった時も受験しなくてはいけないことになりました。こういう制度の変化が早いのも中国の特徴ですね。今後は、上海で医療行為をするにあたってもう一冊「上海市医師定期考核」の合格証明が必要になります。
この背景にあるのは、医師登録をしておきながら医療行為をしない医師がいるということと関係あると思います。医師登録はそう簡単にできるものではなく、必ず病院に属しているとかいろいろ条件があり、一旦医師登録から長期間外れてしまうと、再登録するために再度研修をうけないといけないことになっています。そのため、資格維持のために勤務実態がないのに医師登録が行われているというのが実際に散見されたのです。そこで、2年に1回の試験を受けることでそういう現象を減らすことは可能ではないかと思います。患者さんサイドからするといいことだと思いますが、医師サイドからするとそうでなくても業務に忙しい毎日に新しい負担が増えることになります。とはいえ、知識の整理には多少なりとも役立つかも。
さて、上海市医師定期考核ですが出題範囲は私は中医学のライセンスをもつ医師ですので、専門の中医学全般と人文(法律・心理学・道徳など)です。もちろん、西洋医と口腔系はまた別の問題になります。共通科目でもある人文に関しては新しい総合科目の試験だったので試験準備には結構困りました。人文科目が加えられた理由は、近年の社会情勢と関係があります。上海でも患者と医療関係者との関係問題が複雑になり、ときには診察室で殺傷事件が起こるようなこともあるのです。そこで、「医徳」と呼ばれる、医師として最低心がけないといけない道徳行為や法的知識を身につけさせるという目的もあると思われます。試験に出題したからといって解決するかどうかは疑問ですが、すくなくともカイゼンに役立つのでは?という判断だと思います。
基本的に、試験のためのテキストが医師協会から発行されていて、それで勉強することになります。これが結構高いんですよね。
試験は試験会場に赴き、パソコンで行います。最近、中国での試験ではこの形式が多いです。パソコンで直接答えを入力するので、昔みたいにマークシートを塗り間違えたり、名前を書き忘れたりといった心配はなくなります。ただ、今回の試験でもそうでしたがたまにシステムにバグがあるんですよね。中国らしい・・・・。
出題される問題は膨大なデーターベースが作られていて、そこから抽出される形式。学生時代も、試験を公平に保つために、データーベースから出題する形式が採られていました。こうすると、万が一試験問題が漏洩しても影響は少ない。また、一斉に試験を受けるのではなく、異なった時間帯で試験を実施できます。5択から一つを選ぶ選択式で、100問の出題でした。時間は1時間もあるので楽勝でした。
試験会場には、大学時代の同級生など珍しい顔もありました。とりあえず、今年の一つのイベントが終わりましたが、今年は5月19日から病院を移るので、また来年も受験しなくてはいけませんねえ。トホホ。
大切なおしらせ
私自身、病院を移ることになったのと、上海市の医師定期考査の準備のために忙殺されていたからです。
去る4月27日は、上海市内各地で上海市医師協会が主催する「上海市医師定期考核」(上海市医師定期考査)をうけてきました。まあ、中国で医師をするということは毎年なんらかの試験を受け続けないといけないということなので、慣れていると言えば慣れているのですが、今回に関しては第1回だったのでさすがにちょっと緊張しましたし、準備万端で臨みました。(^_^)
ちなみに、中国では大学で規定年数勉強して医師資格を取得しただけでは医療行為ができません。衛生局に医師登録をしてはじめて処方できるようになります。そのため、医師の手元には最低2冊の証明があることになり、上級医師の資格をとるためには、医師資格取得年よりも医師登録年数が重要になってくるのもそのためです。
この医師登録に関して、今までは一旦医療機関に属して登録すると更新する必要はありませんでしたが、今年から2年に1回の更新制に変わりました。また、医師が所属病院を変わった時も受験しなくてはいけないことになりました。こういう制度の変化が早いのも中国の特徴ですね。今後は、上海で医療行為をするにあたってもう一冊「上海市医師定期考核」の合格証明が必要になります。
この背景にあるのは、医師登録をしておきながら医療行為をしない医師がいるということと関係あると思います。医師登録はそう簡単にできるものではなく、必ず病院に属しているとかいろいろ条件があり、一旦医師登録から長期間外れてしまうと、再登録するために再度研修をうけないといけないことになっています。そのため、資格維持のために勤務実態がないのに医師登録が行われているというのが実際に散見されたのです。そこで、2年に1回の試験を受けることでそういう現象を減らすことは可能ではないかと思います。患者さんサイドからするといいことだと思いますが、医師サイドからするとそうでなくても業務に忙しい毎日に新しい負担が増えることになります。とはいえ、知識の整理には多少なりとも役立つかも。
さて、上海市医師定期考核ですが出題範囲は私は中医学のライセンスをもつ医師ですので、専門の中医学全般と人文(法律・心理学・道徳など)です。もちろん、西洋医と口腔系はまた別の問題になります。共通科目でもある人文に関しては新しい総合科目の試験だったので試験準備には結構困りました。人文科目が加えられた理由は、近年の社会情勢と関係があります。上海でも患者と医療関係者との関係問題が複雑になり、ときには診察室で殺傷事件が起こるようなこともあるのです。そこで、「医徳」と呼ばれる、医師として最低心がけないといけない道徳行為や法的知識を身につけさせるという目的もあると思われます。試験に出題したからといって解決するかどうかは疑問ですが、すくなくともカイゼンに役立つのでは?という判断だと思います。
基本的に、試験のためのテキストが医師協会から発行されていて、それで勉強することになります。これが結構高いんですよね。
試験は試験会場に赴き、パソコンで行います。最近、中国での試験ではこの形式が多いです。パソコンで直接答えを入力するので、昔みたいにマークシートを塗り間違えたり、名前を書き忘れたりといった心配はなくなります。ただ、今回の試験でもそうでしたがたまにシステムにバグがあるんですよね。中国らしい・・・・。
出題される問題は膨大なデーターベースが作られていて、そこから抽出される形式。学生時代も、試験を公平に保つために、データーベースから出題する形式が採られていました。こうすると、万が一試験問題が漏洩しても影響は少ない。また、一斉に試験を受けるのではなく、異なった時間帯で試験を実施できます。5択から一つを選ぶ選択式で、100問の出題でした。時間は1時間もあるので楽勝でした。
試験会場には、大学時代の同級生など珍しい顔もありました。とりあえず、今年の一つのイベントが終わりましたが、今年は5月19日から病院を移るので、また来年も受験しなくてはいけませんねえ。トホホ。
大切なおしらせ
2014年04月26日
季刊「中医臨床」第136号 使用機会増える単味エキス剤
近年、私自身も患者さんに処方する使用頻度が増えている単味エキス剤。種類も充実しているし、煎じ薬を比較して、安定した品質が使いやすいのが特徴です。また、中医薬局自体も非常に衛生的になるので、色々な意味で安心して使うことができますが、ただ生薬によっては苦みが増すことがあり、量の調節には工夫が必要です。また、多すぎる量だと、水に溶けにくくなるのも難点です。この号の連載「未病を治す智恵」では単味エキス剤について紹介しました。
日本漢方では複方処方が中心で、加減することが難しいのですが、中国では複合処方ではなく、単味処方の組み合わせが基本になります。そのため、中医師の生薬単位の知識がとても重要になります。
調剤に関しては様々な機械が開発され、これまでの手動による調剤から、外気との接触を極力避け、乾燥を保ちつつ、自動的に分包できるシステムも使っています。私も5月以降、新しい勤務先ではこのシステムを使って調剤します。間違いなく、中医薬の目に見える大きな進歩だと思います。
おしらせ
2014年04月21日
新しいスタートのお知らせ
すでに私の患者さんにも順次お知らせしていますが、きたる2014年5月18日(日)を最終として、上海鼎瀚中医クリニックを退職することになりました。約5年間にわたり勤務してきましたが、そろそろ区切りをつけて、新しい道にコマをすすめることにしました。最近、私自身も中医学で日本との交流も増え、今の勤務状態では時間的にも自由がきかなく、悩みに悩んだ末の結果です。
現在の鼎瀚クリニックは台湾系で残念ながらサービス面でもかなり不本意で、交通でも不便と指摘をうけていました。また、これまでは中国人など現地の人たちも多く診察していました。一方で、日本人の患者さんも増えてきて、そろそろ上海で生活する日本人の皆様に対しても、日本人にあった便利な環境で、本格的な診察ができないか色々模索してきました。その結果、以前からご厚意にして頂いていた東和クリニックの唐堂医院長のところでお世話になることになりました。
もちろん、甘霖での健康相談は、今は訪れる方の殆どが中国人ですが、クリニックとは別の形で今後も運営していくことになります。中医学養生関係のイベント、中医学の勉強会もこちらで行っていきます。
私自身が浦西と浦東を行き来することにより、今よりももっと便利な場所での診察になると思います。そして、中医学を一緒に学んできた妻も、鍼灸医・全科家庭医・内科医の3種類の主治医ライセンスを取得したため、これからは私達のチームに入ることになります。それぞれの特徴を活かしつつ、日々の診察に邁進していきます。
なおメールではinfo@mdfujita.jp、初診等の問い合わせ電話は13901981788(藤田)です。再診のご予約につきましては、下記をご覧ください。
今後は、夫婦共々よろしくお願い申しあげます。
==5月28日からの診察スケジュール決定!==
浦西 東和クリニック(浦西古北)
所 在 地:上海市長寧区栄華東道88号3F(華一銀行上)
診察日:木・金・日
診察時間:9:00〜19:00 日曜日は17:00まで
予約電話:021-52046123
浦東 東和クリニック(浦東日本人学校隣)
所 在 地:上海市浦東新区錦康路5号
診察日:水・土(月・火は要電話問い合わせ)
診察時間:9:00〜18:00
予約電話:021-50179407
2014年04月05日
春は肝の養生・不眠対策編
一年を通して、春は不眠を訴える患者さんが多い時期でもあります。春は肝と密接な関係があることは前回紹介しましたが、この肝の養生にとても大切なのがやはり睡眠の問題です。最近、睡眠がうまくとれないと訴える患者さんが多いのも特徴ですが、基本的に春は睡眠のバランスが取りにくい季節で、中医学では「春困」といいます。
春本番となると、気温が暖かくなってきて、身体全体の血管が拡張し、相対的に脳にいく血液量が減ってくると眠気の原因になるという説もあります。そのためには、まずは日中に運動などで身体を動かし、呼吸代謝を改善して脳への刺激を高め、血液量を増やしてあげる必要があります。
春の睡眠の特著として、『黄帝内経』の言葉を借りると、「夜臥早起、広歩於庭、被毛緩行、以使志生」というのがいいとされています。つまり、ちょっと遅めに寝て、早めに起きる、起きたら屋外を散歩して、衣類の調節に気をつけながら、悠然とするのが良いみたいです。衣類の調節はとても大切で、いきなり薄着になるのはよくないとされています。
この原則から行くと、部屋に遮光カーテンをつけて真っ暗にして寝ることはあまり望ましくありません。朝早めに起きるためには、どうしても自然な太陽の光が必要だからです。我が家は、日差しが強いときはカーテンをすることがありますが、それ以外はなるべく開けておくようにしています。1日を陰陽で考えたとき、昼間は陽で、夜は陰となりますが、その陽のなかでも朝は陽の中の陽、夕方は陽の中の陰、夜も夜更け前は陰の中の陰、さらに陰の中の陽を細かく分類できます。こうした陰陽の動きと身体の陰陽をうまく合致させることが不眠を克服するポイントにもなります。
されに、飲食が睡眠に与える影響は大きいと中医学では考えます。この時期、春の陽気を高めるような葱・棗などの温性の食材を使うのはいいのですが、冬場に欲しくなるようなピリ辛の刺激が強いものは避け、むしろ陽気を穏やかに整えることを重視するのがいいといわれています。また、肝が強くなりすぎると、脾を圧迫し、脾の気を消耗すると不眠の原因になります。そのため、春特有の緑野菜も食べたいところですね。
不眠には色々な原因が考えられます。中医学では、体質・精神・疾患・環境・薬物による5つの要素を考えますが、その中でも肝が強くなりやすいタイプ、則ち責任感が強くて、真面目な性格の人たちに多い傾向にあります。現代社会で、精神的なストレスを感じる人たちもこの肝気鬱結や肝陽上亢などの類に入ってきます。私のところへ診察を受けに来られた段階ですでに睡眠薬の服用を始めてられる方もおられますが、実は中医薬でもなかなかの成果を出せることがも多いので一度は試してみる価値はあると思います。むしろ、薬からの離脱のしやすさを考えると、中医薬や漢方薬のほうが有利なこともあります。そのほか、耳針や鍼灸を組み合わせますが、基本的には如何にして自身の生活リズムを立て直すかがポイントです。
もちろん、不眠の背景には、さまざまな基礎疾患が関わっている場合もあります。そうした原因を排除しつつ、安易に薬に走らないで問題を解決する方法を少しでも考えてみたいものですね。また、中医学でも市販の中成薬で睡眠剤をまぜたものもありますので、取り扱いには注意が必要です。これに関しては、エキス剤を使うことで対処できます。また、単味生薬で「安神」と呼ばれる、睡眠を改善する働きのあるものが色々ありますので活用していくことになります。
春本番となると、気温が暖かくなってきて、身体全体の血管が拡張し、相対的に脳にいく血液量が減ってくると眠気の原因になるという説もあります。そのためには、まずは日中に運動などで身体を動かし、呼吸代謝を改善して脳への刺激を高め、血液量を増やしてあげる必要があります。
春の睡眠の特著として、『黄帝内経』の言葉を借りると、「夜臥早起、広歩於庭、被毛緩行、以使志生」というのがいいとされています。つまり、ちょっと遅めに寝て、早めに起きる、起きたら屋外を散歩して、衣類の調節に気をつけながら、悠然とするのが良いみたいです。衣類の調節はとても大切で、いきなり薄着になるのはよくないとされています。
この原則から行くと、部屋に遮光カーテンをつけて真っ暗にして寝ることはあまり望ましくありません。朝早めに起きるためには、どうしても自然な太陽の光が必要だからです。我が家は、日差しが強いときはカーテンをすることがありますが、それ以外はなるべく開けておくようにしています。1日を陰陽で考えたとき、昼間は陽で、夜は陰となりますが、その陽のなかでも朝は陽の中の陽、夕方は陽の中の陰、夜も夜更け前は陰の中の陰、さらに陰の中の陽を細かく分類できます。こうした陰陽の動きと身体の陰陽をうまく合致させることが不眠を克服するポイントにもなります。
されに、飲食が睡眠に与える影響は大きいと中医学では考えます。この時期、春の陽気を高めるような葱・棗などの温性の食材を使うのはいいのですが、冬場に欲しくなるようなピリ辛の刺激が強いものは避け、むしろ陽気を穏やかに整えることを重視するのがいいといわれています。また、肝が強くなりすぎると、脾を圧迫し、脾の気を消耗すると不眠の原因になります。そのため、春特有の緑野菜も食べたいところですね。
不眠には色々な原因が考えられます。中医学では、体質・精神・疾患・環境・薬物による5つの要素を考えますが、その中でも肝が強くなりやすいタイプ、則ち責任感が強くて、真面目な性格の人たちに多い傾向にあります。現代社会で、精神的なストレスを感じる人たちもこの肝気鬱結や肝陽上亢などの類に入ってきます。私のところへ診察を受けに来られた段階ですでに睡眠薬の服用を始めてられる方もおられますが、実は中医薬でもなかなかの成果を出せることがも多いので一度は試してみる価値はあると思います。むしろ、薬からの離脱のしやすさを考えると、中医薬や漢方薬のほうが有利なこともあります。そのほか、耳針や鍼灸を組み合わせますが、基本的には如何にして自身の生活リズムを立て直すかがポイントです。
もちろん、不眠の背景には、さまざまな基礎疾患が関わっている場合もあります。そうした原因を排除しつつ、安易に薬に走らないで問題を解決する方法を少しでも考えてみたいものですね。また、中医学でも市販の中成薬で睡眠剤をまぜたものもありますので、取り扱いには注意が必要です。これに関しては、エキス剤を使うことで対処できます。また、単味生薬で「安神」と呼ばれる、睡眠を改善する働きのあるものが色々ありますので活用していくことになります。