2013年10月20日

秋・冬の感冒予防のために

 上海も日に日に気温が下がってきました。先日、紹興からは早速H7N9型鳥インフルエンザ感染者のニュースが飛び込んできましたが、中医学の養生的にも、今からの感冒対策がとても重要かと思います。

IMG_7150.jpg

 まず身体を冷やさないこと。これは大抵皆さん気づいておられるのですが、そのなかでも足腰を冷やさないことが中医学ではとても大切です。昔から、中国では「寒さは足からやってくる」ということで、足が冷えると反射的に鼻・喉・気管など上気道の粘膜の血管が収縮し、繊毛の働きが弱まって、身体が菌やウイルスを除去する力が弱まるといわれています。また、高齢者はとくに身体の体温調節がうまくいかないだけでなく、下半身の脂肪そのものが少なかったりして、寒さへの対応がうまく行かないことが多いのです。そんなとき、寒さに乗じて寒邪や風邪(ふうじゃ)が身体を襲い、感冒の症状を引き起こすことになります。

 しかし、残念ながら快適な現代人の生活で、足腰の冷えに注意している人は意外と少ないのが現状です。とくに足の冷えに関しては、男性も女性もかなり無謀な人が多い。「寒さに身体を鍛える(秋凍)」というのと「寒さから身体を守る(御寒)」とはまったく異なる概念なので、とにかく誰でも薄着にしていたらいいというわけではないのです。

 中医学の養生では、食生活についての注意事項がいろいろあります。とても有名なのが、『傷寒論』に書かれている桂枝湯を服用したあとの注意事項で、生ものや味の濃い刺激物、酒類や乳製品、麺類やヌルヌルした食品を摂取しないようにと書いてあります。昔の人は、生活の中で気づいていたわけです。
 現代医学でも肉類や乳製品の過剰摂取は、体内の免疫細胞の抗ウイルス作用に不利だといわれていますし、塩の過剰摂取は唾液の分泌を抑えてしまい、口腔内の酵素の働きを弱めてしまいますし、甘い物の摂取しすぎも体内の水分を消耗して喉の渇きをひきおこし、免疫力を下げてしまうといわれています。

 また、中医学では初期の感冒として体表の栄気と体内の営気がうまく機能しない営衛不和というメカニズムがありますが、これを整えるのにはやはり睡眠がとても大切です。さらに、こうした気は人の情緒とも関係があります。気は、人の免疫力と関係がありますが、情緒が不安定だと各種免疫力が低下してしまうことはとても有名な話です。そうすると、一時的にも呼吸器の防御システムが弱まり、そのスキをついて感冒となってしまいます。

 運動もやはり大切です。中医学では気血の動きを大切にしますが、これを最大のパフオーマンスで発揮できるようにするには、やはり運動しかないと思います。それには、太陽の光も必要ですし、新鮮な空気も必要です。「時間がない」というのが運動をしない理由としてよく挙げられていますが、病気になったときにリスクと時間の浪費を考えると、早いうちに運動をするほうがメリットが大きいように思います。

 さらに、大陸的な気候の場合、冬の寒さ以外にも干燥対策も重要です。そのためには、適度な加湿が必要だといわれていますが、ただ加湿しすぎるとダニやカビの問題も出てきますので、それを防ぐためにも窓をあけて空気の入れ換えをすることがポイントになります。人が多い中国では日常的に冬でも窓を開ける習慣がありますが、日本でももっと注目されていいと思います。


posted by 藤田 康介 at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想