
学会2日目も盛りだくさん。
いくつか興味深かったのが、韓国の韓国伝統医学を使った不妊治療の思考方法。「元植韓医医院の李鐘安医院長の調経種珠湯を使った子宮発育不全型・卵巣機能欠落型 不妊症治療の臨床報告では、韓国医学での考え方を紹介されましたが、中医学との共通点も多く、また私達が日頃臨床でも実践しており、とても親近感を感じました。東京医科歯科大学の別府正志先生は、中国の婦人科の大家である夏桂成先生の月経周期調整法による中医学による不妊治療の考え方を紹介されました。この方法は、我々が現在勉強している中医学婦人科の教科書でも登場するようになっていて、とてもメジャーになりつつあります。
また、第2部のシンポジウムでは富士ニコニコクリニックの渡辺善一郎先生による成長発育中の小児疾患には中医学をということで、日本における小児科での漢方エキスの活用についてのお話。アトピー性皮膚炎を含む、アレルギー疾患の問題や高熱などの急病で漢方は積極的に活用されるべきであると思うし、実際富士東小児初期救急センターでの急病患者の大多数が軽症ウイルス感染症であるので、90%以上で漢方エキスが使われているようです。さらに、女性だけでなく、子供にも増えている小児冷え性の問題でも、中医学的な養生の考え方や生活習慣の改善が必要であるということでした。もっともだと思います。
日本語が非常に堪能な韓国嘉泉大学韓医科大学小児科の金英信教授の「子育ての韓医学」では、韓国と日本との子育てに対する概念の違いをはじめ、韓国では出産後に健康な子供に対して1歳から年に1回歳の数にあわせて鹿の角をいれた生薬を服用させるという習慣があるそうで、興味深かったです。
小児神経症の鍼灸治療を話されたのは郭中医鍼灸院の郭珍先生。私自身も、鍼灸と生薬併用で、小児の睡眠障害や恐怖・不安、チック、食欲不振、夜尿症、頭痛、腹痛などでつかっており、とても共感できるところがありました。
最後に第3部のシンポジウムでは妊娠中における漢方薬の応用について、福田病院の河上祥一先生からのお話で、とくに流産リスクが高まる発熱患者に対して、漢方エキス剤を導入することで解熱スピードをあげることなどで成果が上がってきているようです。もちろん、妊娠中の悪阻や便秘でも生薬は使われており、その応用範囲が広いことがわかります。最後は、イスクラ産業株式会社の陳 志清先生による補腎健脾による流産対策のお話。一般に、胎漏や胎動不安と呼ばれる切迫流産や、滑胎とよばれる習慣性流産では、腎虚・脾虚の問題を考えることが一般的ですが、ただ体質にあわせて少量の活血化瘀や清熱解毒も必要となることがあります。流産防止の予防のためにも、漢方薬や中医薬がもう少し使われてもいいのではないかと思いました。
質疑応答の中で、麦芽の断乳における活用法が出ていましたが、これは私もかなり経験があります。中国では早期断乳を希望するお母さんが多いので、使わないといけないというのが現状です。また、別府先生はPRL血症で使われるという話をされておられましたが、これも納得がいきます。
日本でも中医学を実践される先生方が増えてきています。そういう先生方が交流できる場として、日本中医学会の輪が今後も広がっていくことを期待します。
台風が心配されましたが、なんとか今の段階では大変なことにはならず、その足で横浜へ。我が上海中医薬大学の大先輩で、中医薬局の
桂元堂を経営されている宮原先生と会食。


横浜のとても美味しいドイツ料理のお店「
プーシェル」に連れて頂きました。ソーセージを含む肉料理はすべて自家製とかで、中には沢山の賞が掲げられていました。
台風接近のこともあり、ちょっとバタバタしましたが、いろいろお話を伺えてよかったです。
8月〜9月の日本出張予定
posted by 藤田 康介 at 16:20|
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