2013年06月26日

基礎疾患がH7N9型鳥インフルエンザの症状を悪化させるという報告

 今朝からTwitterのほうでも呟きましたが、上海で新たにH7N9型鳥インフルエンザの死亡症例が報告されました。
 上海市の衛生当局の発表で、4月11日に診断された56歳の上海人男性が6月26日未明に死亡しました。これで、上海市のH7N9型鳥インフルエンザによる患者数は33例で、2例が治療中、15例が退院し、16例が死亡したことになります。

 SARSの時と違って、今回のH7N9型鳥インフルエンザでは中国の各大学が海外に向けて英語で早い段階での論文を出しているように思います。そのなかで、5月10日までに上海市・浙江省・安徽省・江蘇省などで確認された111例の症例についての分析が復旦大学や浙江大学などのグループによって『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』に発表されました。原文はClinical Findings in 111 Cases of Influenza A (H7N9) Virus Infection にあります。

 さて、それによると111例の患者の年齢の中間数は61歳で、65歳以上の高齢者の占める割合が42.3%でした。また、男女比では31.1%が女性でした。一方で、重篤化してICUでの治療が必要だったのは76.6%で、27%が死亡しました。入院当初の段階で97.3%が肺炎となっており、高齢者の男性が大部分でした。


 また、少なくとの1種類の基礎疾患を持っていた患者は61.3%で、その割合が多かったことが分かります。ここでいう基礎疾患とは、内分泌失調や糖尿病などの基礎代謝障害、先天的もしくは後天的な免疫不全、悪性腫瘍など慢性消耗性疾患などを指します。


 また、死亡の原因としては、抗ウイルス治療を始めた時間が遅かった、もしくは基礎疾患との関係でARDS(急性呼吸窮迫症候群)をおこしてしまったことと関係があったようです。


 この論文では、今回猛威をふるったH7N9型鳥インフルエンザと、これまでのA(H1N1)型インフルエンザ、H5N1鳥インフルエンザとの共通点として、いずれも重度の肺炎をおこして死亡する可能性がある一方で、H7N9型は免疫力の落ちた高齢者や基礎疾患との関連が強く、後者に関しては若者・子供に多い傾向にあるとしています。


 同じインフルエンザでも、その性質に大きな違いがあるわけで、今後の研究にも注目が集まります。そういえば、中医学のバイブルでもある『傷寒論』に出てくる傷寒も、実はこうしたインフルエンザの一種ではないかという説もあるぐらいです。


posted by 藤田 康介 at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う