2013年06月20日

上海での男性の更年期障害の研究

 上海長海医院泌尿外科の孫教授等のグループが行っている遅発性男性性機能低下症(いわゆる男性更年期障害、LOH)の研究は、上海市の重大基礎性研究の一つにもなっており、中国で初めての中年世代を対象とした男性更年期障害の疫学調査として注目されていました。
 この研究では、上海市仁済医院・第五人民病院など各病院の協力を得て、3,000人の中高年男性を対象に血液中の総テストステロンと遊離テストステロン濃度など各種ホルモンを測定したところ、50歳以上の男性のうち発病率は11.6%ということでした。

 中国全土だと、少なく見積もっても1.5億人〜2億人の50歳以上の男性が居ることから、LOHの症状がある人は少なくありませんが、中国での研究はまだ始まったばかりです。

 一般に、男性は40歳を境にテストステロンの濃度が下がっていきます。それに伴い、性欲が減退したり、夫婦生活の回数が減ったり、疲労や肥満、気分的な落ち込みなどの症状がみられるようになります。また、場合によっては心臓病や悪性腫瘍、精神病などの発生とも関連があるとも言われていますし、肥満の場合は、テストステロンの低下がさらに早まるという研究結果もあります。

 西洋医学では筋肉注射によるホルモン補充療法などが一般的ですが、ここに中医学を介入させてみようという研究もあります。

 中国の中医学系の文献を見てみると、やはり腎から考えることが多いようです。よく使われるのは六味地黄丸とか金匱腎気丸などが有名ですが、中国で、単味生薬を使った薬理実験では、五味子や菟絲子も有効なほか、淫羊藿や蛇床子には男性ホルモン的な働きも確認されています。補腎系の生薬には視床下部ー下垂体ー性腺軸の調節作用があることが知られています。

 以上のように、女性の更年期障害には中医薬はかなり有効ですが、もちろん男性にも使うことは可能ですし、今後の研究にも期待したいところです。


posted by 藤田 康介 at 15:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情