2013年06月16日

中国で紹介されたH7N9型鳥インフルエンザの中医症例報告(1例)

 先日、鹿児島で行われた日本東洋医学学会の車座勉強会で討論したかったのですが、時間的に厳しかったので流してしまいました。
 中国で紹介されたH7N9型鳥インフルエンザの中医学的治療を行った症例報告をこちらに記しておきます。
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第1日目 4月11日午前 
 5歳女児が北京地壇医院に来院。父母によると咳嗽8時間、発熱5時間ということ。父母が鶏の飼育・販売をしていたことを病院側は重視。
来院時体温37.3℃、軽い咳、呼吸正常、肺呼吸音正常、胸部レントゲン検査:両肺炎症。
症状が軽いのに、レントゲンが肺炎症を示していることに病院側は注意。


 4月11日午後2時 A型インフルエンザ検査簡易検査陰性。抗生物質などを投与。
 その後、容体が急変し、体温40.2℃。物理的解熱法は効果なく。肺呼吸音湿性ラ音。
 再度A型インフルエンザ簡易検査で弱陽性。サンプルをCDCに送り、タミフル投与開始。
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 第2日目 4月12日午前
 CDCの検査で、A型H1N1インフルエンザ、ウイルス性肺炎、細菌感染合併の可能性。酸素吸入・解熱・細菌ウイルス感染対策。
4月12日午後 中医薬処方開始。
体温39.8℃、高熱無汗、赤面、唇は赤。座臥不安・乾咳・口渇なし。小便淡黄、便秘2日間。舌質赤で絳・舌辺尖赤で芒刺あり。舌苔薄白黄、脈浮滑数。
弁証論治:衛気同病(毒熱は気分にあるものの、衛分の邪気も抜けきっていない。)さらに、営分へ進む可能性も。
治方:辛散透邪 解毒清熱
処方:銀翹散+白虎湯(濃煎)+青蒿



第2日目(4月12日)の15時半より服用開始。
17時半にCDCよりA型インフルエンザ(H7N9型鳥インフルエンザ)、北京で初めてのH7N9型鳥インフルエンザ患者。
ICU減圧隔離病棟に移る。

20時、CDCの専門家の回診。呼吸は正常に戻り、体温37.3℃。肺呼吸音は多少荒い程度。すでに熟睡。

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第3日目 4月13日午前7時
体温は正常。タミフルと中医薬は引き続き併用。
お昼頃に排便あり。
午後2時頃 舌質赤舌苔薄黄、脈滑細。
熱病により気陰が傷ついている可能性有り。よって銀翹散+白虎湯+青黛から、発汗作用のつよい荊芥を外し、甘寒養陰・清熱解毒の玄参・白茅根・大青葉を追加。
胸部CT再検査。病変部位辺縁の改善が見られ、H7N9型鳥インフルエンザ検査で2回とも陰性。

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第5日目 4月15日
お昼頃に普通病棟へ。
舌質軽度の赤。舌苔中央の黄・干燥。脈細滑。
玄参・大青葉など清熱解毒剤をはずし、西洋参・穀芽・麦芽を足して養陰益気・健脾益胃。
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第7日目 4月17日 退院

 温病学の理論を旨く組み合わせた症例かと思います。ガイドラインも出ていましたが、全体的に臨機応変に加減されており、しかも迅速に煎じ薬が活用されているところが印象的でした。

posted by 藤田 康介 at 07:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察