
(豊かな農村風景は大切にしてほしいです)
広東省で相次いで見つかっているカドニウム汚染米について、中国の農耕地の土壌汚染の問題に注目が集まっています。広東省では、これまで2208回にわたって抜き取り検査をして、120回でカドニウムに汚染された米が見つかりました。
中国の基準では、1キロあたりの米に対してカドニウムは0.2mgを越えてはならないとしています。これはEUと同じ基準です。今回の広東省の米の検査では米1キロあたりで最高1.12mgのカドニウムが検出されました。
カドニウムの人体への影響は、イタイイタイ病であったように、骨と腎臓が問題となります。WHOでは、1週間あたりのカドニウム摂取量の上限を体重1キロあたり7mgとしていますが、仮に基準すれすれの1キロあたり0.2mgのカドニウムを摂取した場合でも、1日200グラム程度のお米の量なら安全上限は超えないことになります。ただ、中国人の一般的な食卓のように、山盛りのご飯を食べた場合なら、基準超えのリスクは高まります。中国でも専門家が指摘していますが、お米を選ぶときはなるべく違ったエリアのお米を買うようにして、さらにお米類を食べ過ぎないことも大事です。
今回、広東省で見つかったカドニウム汚染米の産地に、湖南省のものが少なくありませんでした。中国湖南省は中国最大の米の産地です。2012年の米の産出量は2631万トンで、中国全国の12.9%を占めています。一方で、湖南省は有色金属の採掘でも有名で、鉱工業と農業が共存しているエリアでもあります。そのため、土壌汚染の問題は避けて通れません。
また、カドニウム汚染問題で最近問題となっているのが広東省でよく食べられている牡蠣です。こちらは、魚類1キロあたり0.1mg/kgといった中国の基準があるのですが、貝に関してはまだないのが現実で、広州市の検査でも、魚類の基準値を大幅に超える2.0mg/kgといった数字が発表されていました。とくに、貝類は魚と比べると生物的に排泄できるシステムが弱いため、体内に重金属が蓄積されやすい特徴があります。そういえば、私も中国に来てから貝を食べることが明らかに減りました。
こうしたリスクを減らすには、やはり原材料がよく分からない食材は使わない、バランスよく食べて、食べ過ぎない、魚などの内臓は食べないようにする、植物繊維を食べるようにして排出に気をつけるなどが言われています。主食のお米も、米以外の雑穀も摂取するようにすることも大切だと思います。
