2013年04月27日

H7N9鳥インフルエンザでの中医学の活用法

 4月26日現在の中国と台湾でのH7N9型鳥インフルエンザ感染者数ですが、25日に江西省で1例、26日に福建省で1例新たにみつかり、累計感染者は115例に。北京・山東・台湾・福建・江西がそれぞれ1例、江蘇24例、上海33例、浙江45例、河南4例、安徽4例。中高年の感染が多く、死亡例は計23例になっています。 

 今晩は夜8時から金茂大厦で、日本領事館主催の医師向けの交流会があり、東北大学の感染症の専門家である賀来教授を囲んでのH5N7鳥インフルエンザに関する情報交換がありました。先生は、明日は蘇州での公演というご多忙の中、日本での取り組みなども含めて、様々な観点でのお話を伺うことができました。

 今回の鳥インフルエンザに関して、2003年に我々も経験したSARSと比較すればまだはるかに対応はしやすく、タミフルやリレンザも有効であるのですが、発熱外来の問題も含めて、日本と中国とではその対応が違うのもまた事実で、医療従事者として注意することはたくさんあります。また、一般的に、インフルエンザにかかって、早期にタミフルやリレンザを使用した場合、治癒しても抗体ができにくいということにも注意が必要です。

 巷では、一時期、板藍根がいいとか言って、薬局から姿を消す騒ぎがありましたが、これはちょっと理性のない行動です。たしかに、板藍根には清熱解毒の作用がありますが、これがインフルエンザウイルスに効果があるという確かな証明があるわけでもなく、ましてやそのメカニズムが分かっていません。我々、中医学を専門とするものは、まずそうした使い方はしません。また、仮に効果があることが分かっても、それを盲目的に服用すること自体が、すでに中医学の本質からずれてしまっていることを認識しなくてはいけません。

 まだあまりまとまったデータは出て来ていませんが、徐々に部分的にはH7N9鳥インフルエンザの治療に中医薬が活用されているような印象です。4月17日に行われた国家中医薬管理局の記者会見でも、当時発生していた77例の症例のうち、24例で中医学が使われたということです。

 先日このブログで紹介した、既に退院した北京の子供の感染者も、タミフルでは15時間発熱が収まらず、中医薬との併用で3時間で発汗して解熱し、すでに軽快しました。

 江蘇省中医医院に入院していた79歳の高齢患者は、内服の麻黄湯・白虎湯で、さらに痰熱清注射液(黄芩、熊胆粉、山羊角、金银花、连翘)・生脈注射液(红参、麦冬、五味子)を静脈点滴し、最終的には気管切開をせずにすみ、既に歩けるようになったということです。

 安徽省の症例では、10日間にわたるステロイドと抗生物質の治療により、腸内細菌のバランスが崩れ、便秘になってしまったところに、三仁湯を介入させて、脾・胃の動きを整えて、既に回復に向かっていると言うことです。

 中医学がどこまで力を発揮できるかは、これからの研究をまたないといけませんが、しかし歴史的に昔から伝染病と闘ってきたのもまた中医学だったので、今後も西洋医学とうまく活用していけたらいいのではないかと思います。

posted by 藤田 康介 at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う