2013年04月05日

4月4日現在の上海のH7N9型鳥インフルエンザ感染者情報

 上海で新たに3例のH7N9型鳥インフルエンザ感染者が4日に発生しています。以下は新華社の報道です。

 52歳女性、上海人。退職者。3月27日に微熱、3月29日に長寧区中心医院の救急センターで治療を受ける。重篤化して4月1日に華山医院に、4月2日に再度華山医院に再度行くも、4月3日に救急処置を受けるも死亡。この患者と接触していた1人が発熱・咳の症状を訴え、上海公共衛生臨床中心で隔離治療中。

 67歳女性、上海人。退職者。3月22日に喉の痛み、咳、痰、身震いをともなう発熱。3月24日に東方医院で診察を受け、3月25日〜27日の3日間は仁済医院で診察を受ける。3月27日に瑞金医院の救急で診察を受け、ICUへ。症状は重篤化。

 4歳男男児、上海人・3月31日に発熱39℃・鼻水。4月1日に第六人民病院金山分院で治療を受け、4月2日に児科病院に転院、現在状態は良好。体温は36℃に。

 また、上海市松江区の瀘準卸売市場のハトサンプルからH7N9鳥インフルエンザが検出され、この市場の家禽類がすべて処分され、消毒された模様。また、中国農業部からの緊急通知により、H7型鳥インフルエンザを検出した閔行区景川菜市場、鳳庄市場を一旦閉鎖して消毒したほか、活きた家禽類の交易を中止しました。

 4日現在、中国では14人がH7N9型鳥インフルエンザに感染し、5人が死亡。いずれも長江デルタエリア。このうち6人が上海で、4人死亡しています。また、子供は軽くすんでいるようでしたが、中高年は概ね重篤化しています。今のところ、人から人への感染は確認されておりません。

 ただ、タイミングが悪く、現在は清明節の休みで、地方に出かけている人も多いはず。田舎に行くと、必然的に家禽類に接触するチャンスが増えるし、また上海人は活きた鶏・アヒルなどを料理して食べる食文化。食文化を根本的に変えてしまわないと難しい問題ですね。


posted by 藤田 康介 at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

『人感染H7N9型鳥インフルエンザ治療診療方案』(2013年第1版)から

 中国の衛生当局から中医治療の診療方案が発表されました。参考のためにご紹介します。この診療方案は、西洋医学の部分と中医学の部分の両方から書かれています。以下はその治療方案からの情報です。

 鳥インフルエンザウイルスは寒さには強いが、熱には弱いという特性があります。そのため、65℃以上で30分の加熱、100℃以上で2分間の加熱で対策できるということですが、寒さには強いので、糞便の中では1週間、4℃の水の中では1ヶ月も活きていることが確認されているようです。さらに、PH4.0の酸性の環境でも生存できるとか。

 また、潜伏期間は1週間程度で、発熱・咳・痰・頭痛・筋肉痛・身体のだるさなどをともない、39℃以上の体温となり、呼吸困難・喀血・血痰が確認され、呼吸窮迫症候群となり、縦隔気腫、膿毒証、ショック状態、意識障害、急性腎不全など重篤化します。

 そのため、1.腋窩体温が38℃以上 2.胸部レントゲンで肺炎の特徴 3.早期でWBCが正常もしくは低下、リンパ球が低下、4.症状から通常の肺炎とは診断できない場合など以上の4点が満たされた場合、中国では監測症例となります。

 治療は、西洋医学の部分と中医学の部分に分かれていますが、酸素吸入、隔離を行った後、解熱や咳止めなど対処療法を行い、早めに抗ウイルス剤の使用を行うようにとしています。

 西洋医薬では、H5N1型、H1N1型で有効だったオセルタミビル(奥司他韦・oseltamivir・いわゆるタミフル)、ゼナミビル(扎那米韦・Zanamivir・いわゆるリレンザ)が有効であるとされ、成人の場合のタミフルは75mgを1日2回、重症患者は量を倍増して1クール5〜7日間、リレンザは成人の場合10mgを1日2回吸入するということです。


 ただし、A型インフルエンザの治療に使われることもあるアマンタジン(金刚烷胺)とリマンタジン(金刚乙胺)にかんしては、過去にアメリカのCDCが使用停止を勧告しているように、今回のH7N9型鳥インフルエンザでも耐薬性があるということです。


 一方で、中医学的治療に関しては、2つの証に分けて処方が紹介されています。


1.疫毒犯肺・肺失宣降
  症状:発熱・咳・少量の痰・頭痛・筋肉の痛み
  治法:清熱宣肺
  参考処方:桑叶・金銀花・連翹・炒杏仁・生石膏・知母・芦根・青蒿・黄芩・生甘草
  煎じ薬で1日1〜2回、4〜6時間に1回服用。
  加減:咳がひどい場合は枇杷葉・浙貝母
  中成薬:疏風解毒カプセル、連花清瘟カプセル、清開霊注射剤


2.疫毒壅肺・内閉外脱
  症状:高熱・咳・痰が出せない・息苦しい・息を切らす・喀血・四肢の冷え・冷汗・不安感・意識が確りとせず、ろれつがまわらない
  治法:清肺解毒・扶正固脱
  参考処方:炙麻黄・炒杏仁・生石膏・知母・魚腥草・黄芩・炒梔子・虎杖・山茱萸・太子参
  煎じ薬で1日1〜2回、4〜6時間に1回服用もしくは鼻腔栄養法
  加減:高熱が続き、意識が朦朧とし、ろれつがまわらない場合は安宮牛黄丸、四肢が冷えて汗が大量に出る場合は人参・炮附子・煅竜骨・煅牡蠣、喀血のある場合は、赤芍・仙鶴草・側柏葉、チアノーゼの場合は、三七・益母草・黄耆・当帰尾。
  中成薬:生脈注射剤・参麦注射剤

 参考までに。

posted by 藤田 康介 at 07:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う