2013年04月01日

孟河医派の常州を訪ねて

 4月1日〜2日と江蘇省常州を訪れてきました。

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 妻の親戚が常州にいて、体調がよくないので診てくれないかという要望もあったので、クルマを運転して行ってきました。片道200キロ強の道のりです。さらに、常州といえば、今の上海の中医学を引っ張っているといっても過言ではない孟河医派が誕生した場所でもあります。

 上海からは常州まで高速道路でつながっていて、そこからさらに北上して到着する小さな街が孟河です。4月の初めだけに沿線の菜の花はとってもきれいでした。今では、様々な工場が増えていますが、それでも旧市街は残されています。

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 私自身も恩師から教わった中医学は、先の先をたどっていくと、一応孟河医派の流れをくむことになります。私の恩師の竜華医院腎臓内科の陳以平教授の師匠は、徐嵩年先生となり、その先は丁氏系列にまでつながります。手元に、徐嵩年先生の臨床経験をまとめた本がありますが、恩師がよく使う処方の片鱗が沢山出て来ます。

 そもそも、丁氏系列の中医学が上海の中医学教育に貢献した業績は大きく、孟河医派の4大系列(費氏・馬氏・丁氏・巣氏)のうち最も歴史が最近となる丁氏系列の丁甘仁先生は、1917年に上海で現代中医学としてはじめての上海中医専門学校を開設し、1926年〜1948年にかけては上海中医学院として継続され、ここで教わった人材は、中国各地で中医学の普及に尽力しました。

 近年、孟河医派の研究が進み、その保存への動きも高まりつつあります。常州市には、常州孟河医派伝承学会などもあり、臨床を実践する場所として孟河医派名医堂なども作られました。また、私が訪問した日には閉まっていましたが、常州市非物質文化遺産展示館にも資料が展示されています。

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 孟河医派の中医学的特徴は、なんといっても、内科・婦人科・小児科・外科・整形外科と各分野で系統が存在していて、とても実践的な中医学であるということです。これは、費氏系列の費伯雄の書いた『医醇賸義』などを読んでみてもよく分かります。この序文にも書かれていますが、「世間には秘方は存在せず、平凡な治法があるにすぎないが、その平凡な治法が極まることで、驚くべき効能を発揮する」とあるように、基本に立ち返った治療法の重要性を説いています。

 孟河医派の特徴として、内服も煎じ薬だけでなく、丸薬や散剤などを使いこなし、外用薬も外貼や外敷なども積極的に活用しています。古いものにとらわれず、臨床効果を重んじた理論には、現在の中医学でも十分に活用できます。また、多くの孟河医派の医師たちが、上海にやってきて医院を開き、沢山の患者を診察してその名声を高めました。

 上海を含む、江南エリアでの孟河医派の果たした役割は非常に大きいです。そうした経験をぜひ継承していきたいと思っています。中医学はそもそも地域色が非常に豊かな医学ですから。


posted by 藤田 康介 at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力