中国の衛生当局から中医治療の診療方案が発表されました。参考のためにご紹介します。この診療方案は、西洋医学の部分と中医学の部分の両方から書かれています。以下はその治療方案からの情報です。
鳥インフルエンザウイルスは寒さには強いが、熱には弱いという特性があります。そのため、65℃以上で30分の加熱、100℃以上で2分間の加熱で対策できるということですが、寒さには強いので、糞便の中では1週間、4℃の水の中では1ヶ月も活きていることが確認されているようです。さらに、PH4.0の酸性の環境でも生存できるとか。
また、潜伏期間は1週間程度で、発熱・咳・痰・頭痛・筋肉痛・身体のだるさなどをともない、39℃以上の体温となり、呼吸困難・喀血・血痰が確認され、呼吸窮迫症候群となり、縦隔気腫、膿毒証、ショック状態、意識障害、急性腎不全など重篤化します。
そのため、1.腋窩体温が38℃以上 2.胸部レントゲンで肺炎の特徴 3.早期でWBCが正常もしくは低下、リンパ球が低下、4.症状から通常の肺炎とは診断できない場合など以上の4点が満たされた場合、中国では監測症例となります。
治療は、西洋医学の部分と中医学の部分に分かれていますが、酸素吸入、隔離を行った後、解熱や咳止めなど対処療法を行い、早めに抗ウイルス剤の使用を行うようにとしています。
西洋医薬では、H5N1型、H1N1型で有効だったオセルタミビル(奥司他韦・oseltamivir・いわゆるタミフル)、ゼナミビル(扎那米韦・Zanamivir・いわゆるリレンザ)が有効であるとされ、成人の場合のタミフルは75mgを1日2回、重症患者は量を倍増して1クール5〜7日間、リレンザは成人の場合10mgを1日2回吸入するということです。
ただし、A型インフルエンザの治療に使われることもあるアマンタジン(金刚烷胺)とリマンタジン(金刚乙胺)にかんしては、過去にアメリカのCDCが使用停止を勧告しているように、今回のH7N9型鳥インフルエンザでも耐薬性があるということです。
一方で、中医学的治療に関しては、2つの証に分けて処方が紹介されています。
1.疫毒犯肺・肺失宣降
症状:発熱・咳・少量の痰・頭痛・筋肉の痛み
治法:清熱宣肺
参考処方:桑叶・金銀花・連翹・炒杏仁・生石膏・知母・芦根・青蒿・黄芩・生甘草
煎じ薬で1日1〜2回、4〜6時間に1回服用。
加減:咳がひどい場合は枇杷葉・浙貝母
中成薬:疏風解毒カプセル、連花清瘟カプセル、清開霊注射剤
2.疫毒壅肺・内閉外脱
症状:高熱・咳・痰が出せない・息苦しい・息を切らす・喀血・四肢の冷え・冷汗・不安感・意識が確りとせず、ろれつがまわらない
治法:清肺解毒・扶正固脱
参考処方:炙麻黄・炒杏仁・生石膏・知母・魚腥草・黄芩・炒梔子・虎杖・山茱萸・太子参
煎じ薬で1日1〜2回、4〜6時間に1回服用もしくは鼻腔栄養法
加減:高熱が続き、意識が朦朧とし、ろれつがまわらない場合は安宮牛黄丸、四肢が冷えて汗が大量に出る場合は人参・炮附子・煅竜骨・煅牡蠣、喀血のある場合は、赤芍・仙鶴草・側柏葉、チアノーゼの場合は、三七・益母草・黄耆・当帰尾。
中成薬:生脈注射剤・参麦注射剤
参考までに。
posted by 藤田 康介 at 07:31|
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