2012年08月31日

飛行機頭痛について(「はるあきエア」寄稿)

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上海で航空券の販売を行っておられる「はるあきエア」の室伏さんからのご依頼で、飛行機頭痛について少し書いてみました。本文はこちらです。

 近年、飛行機頭痛について色々な研究が行われていて、その実態が徐々に解明されているような感じもしますが、降下するときに発生することが多いようです。上海で診察していると、航空機を利用している人が多く、頭や耳の不調を訴えて診察に来られる方も少なくありません。抜本的な解決法がない中、中医学でどういうことができるのか、少し考察してみました。少しでも症状緩和に役立てればと思います。



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posted by 藤田 康介 at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年08月30日

第16回国際小児腎臓病学会(IPAN)は上海です

第16回国際腎臓病学会(IPAN)が、なんと2013年8月31日〜9月4日まで上海で開催されることになりました。IPANの公式HPはこちらです。

 上海での窓口は、復旦大学附属児科医院と中華医学会児科学会の腎臓学グループで、これほどの大きな国際会議が上海で行われるというのは、本当にビックリしました。復旦大学附属児科医院は、私が博士課程のときに小児ネフローゼで共同研究をしていて、私も大変お世話になった腎臓内科の徐虹教授などが先頭となって活動されたのではないかと思います。中医学に理解のある先生で、西洋医学と中医学の両方の見解からの研究となりました。
 この学会は、3年に1度行われ、小児科の腎臓病の分野では世界で最高権威の学会の一つです。また、この学会が発展途上国の国で開催されるのは、初めてとのことだそうです。全世界から1000人を越える専門家が上海に集まってきます。

 いま、中国でも子供の腎臓病が増える傾向にあります。年間0〜14歳の子供のうち、1万人につき1.3 ~1.5人の慢性腎臓病の患者が発見されていて、その数年間1000人程度の増加といわれています。中国も、子供用の透析設備の拡充や、専門医を増やす努力が行われています。

 大都市に住んでいて、世界中から人が集まってくる国際会議というのは非常に意義があります。人々の交流が盛んになれば、当然学術的な交流も深まります。そして、街の経済も活性化する。上海がこうした国際会議の誘致に必死なのも理解出来ます。

 次の9月の日本温泉学会は鳥取の三朝温泉ですが、私もはるばる上海から行く予定で、地元の旅館に宿泊もするし、お土産も買う予定です。そうしたリアルな人やモノの流れが出来るような環境作りを急がないと、街の経済は活性化しませんよね。

 しかし、この時期は日本でも学会が多い季節。願わくば、日程が日本の他の学会とかぶりませんように。。。。
posted by 藤田 康介 at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年08月27日

如何に夫婦生活を高めるか

 中医学や漢方を使って、不妊治療を行っている方も多いと思います。男女問わず、一定の効果が確認されていることもこれまで幾度となく紹介させていただきました。

 一方で、私達の治療を難しくしているのは、やはり夫婦生活の回数が極端に少ないことです。未成年の望まない妊娠や、倫理的に問題のある性交渉は今回議論しませんが、根本的に夫婦生活の回数が少なすぎることに関して、もっと討論されるべきだと思います。


 特に、2人目の子供の妊娠に関して、夫婦生活の減少が顕著だと思います。確かに、排卵期の夫婦生活が大切なことは十分に理解はされていると思うのですが、だからといって排卵期だけに月に1回夫婦生活をすればいい、と合理的に割り切ってしまうのも問題だと私は考えています。

 なぜ夫婦生活が減ってしまうのか?これには本当にいろいろな理由があると思います。男性側の仕事が忙しく、毎日お酒を飲んで夜11時や12時に帰ってくるような生活では、夫婦生活どころか家庭生活的にも問題があります。また、女性側が望んでいるのに、うまく話を切り出せないというケースもありました。女性側の涙ぐましい努力には、頭が下がります。このように、妊娠にたどり着くまでに微妙な問題が沢山あるのです。

 中医学や漢方医学の歴史をみてみると、養生のなかに夫婦生活の過剰に関しては色々注意がでているのですが、現在のように少なすぎる夫婦生活に関しては、あまり記述がありません。昔の人は、過剰な夫婦生活による「虚労」を恐れていたのでしょうか。

 でも、現代社会においては、過剰よりも過小のほうがもっと問題があるように思います。

 社会が発展してきて、娯楽も増えてくると、夫婦生活よりももっと楽しいことが沢山あるのかもしれません。ただ、直面している日本の少子高齢化の問題に関しては、とにかくもっと積極的に夫婦生活が出来るような環境作りをするべきなのでしょう。そして、夫婦生活が十分でない状態で、現代医学の不妊治療に安易に子作りを頼ってしまうのは、私はいかがなものかなと思います。

 こうしてさまざまな症例を研究してみると、今医療として何ができるのかを考えさせられました。もう少し、夫婦生活も日常生活の一部として重視してもらえたらと思うのです。


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posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2012年08月26日

産地直送の生薬・肉蓯蓉(にくじゅよう)

 甘粛省の蘭州へ出かけていた友人から、生薬の肉蓯蓉をいただきました。なんとも奇妙な形をした生薬ですね。

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 内モンゴルや甘粛省、新疆ウイグル地区な乾燥したエリアが産地です。生薬として使うときは、紹興酒を加えて蒸して使うので、「酒蓯蓉」と呼ばれることもあります。インポテツや不妊症で使われることが多いでしょうが、私はむしろその便秘解消の力に着目しています。


 特に、近年よくみられる20〜30代の日本人女性にある、便秘+冷え性の場合には、ビックリするような効能を発揮してくれることもあります。センナや大黄を使ったときのような腹痛がないのが特徴で、すっと便が出てくるようになります。


 そもそもの中医学的な効能は、補腎陽益精血・潤腸通便。腎陽虚の場合に使われることが多いです。甘・温の性質から味も悪くないので、薬膳でも使われます。『薬性本草』という本には、肉蓯蓉に羊肉とお米を煮詰めて、お粥にする食べ方が紹介されていますし、『世医得効方』では男性の遺精や夢精などの治療として、鹿茸(ロクジョウ)・山薬・茯苓と組み合わせた四精丸があります。


 こういった感じの肉蓯蓉ですが、性質が穏やかなので、20gぐらいの量を使うことはよくあります。逆に、これぐらい使わないと効果が出にくいようです。

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posted by 藤田 康介 at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年08月19日

東京のTCMN15周年記念大会シンポジウム

 8月19日に東京品川区の「きゅりあん」(品川区総合区民会館)で開催された、TCMN15周年記念大会シンポジウムに参加して、発表させていただきました。

 TCMNとは、中医学を実践している鍼灸師の先生方の集まりで、実は日本中医学会よりも古い歴史を持っています。中国に留学した経験をもつ日本人鍼灸師の先生方も多くおられます。

 私は、事務局長の瀬尾先生からのご依頼で、「広がる中医学の世界」というテーマで、現代の中国における中医学の状況と、中医学を取り込んだ新しい医療システムについて、さらに特色有る治療法の紹介などをさせていただきました。日本で中医学を実践されている先生方の参考になればと思っています。

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 その後、兵頭明先生(学校法人後藤学園中医学研究所所長)、王財源先生(関西医療大学准教授)、平馬直樹先生(日本中医学会会長)、関口善太先生(中醫堂院長)、金子朝彦先生(さくら堂治療院院長・三旗塾)、山本勝司先生(東洋学術出版社会長)など、いずれも日本を代表する中医学の先生方と一緒に、シンポジウム形式で討論を行いました。こういった先生方と一同にお会いでき、活発に討論できるのも、TCMNの魅力です。

 若い先生方のご参加も多く、非常に充実した会になりました。こういった活動が、今後も継続されることを期待しております。

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 また、グループ討論にも入らせていただきました。いま鍼灸学校で勉強されている学生もおられました。いま日本の治療家たちが抱えている問題について、みんなで討論しました。

 日本の鍼灸の世界も、各派閥の問題があり、いろいろとややこしいようですが、それでも中医鍼灸は一つの流れになってきているような印象です。中医学を採り入れることで、全世界との交流も活発になるのではないかと思います。そう思うと、ワクワクしてきますね!私も色々と勉強させていただきました。



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posted by 藤田 康介 at 04:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年08月17日

上海での民間治療の発掘作業

 中医学歴史というのは、そもそもは一般庶民の健康をどうやって守ってくるか、というのが原点でした。それは、歴史上の医学者や専門家も沢山登場してきますが、そのヒントとなっているのは庶民の間で脈々と受け継がれてきた民間治療がベースにあるということも忘れてはなりません。それは、エビデンスの研究を必要とするものもあるでしょうが、でも効果があることを実感できるものが殆どです。さもなければ、現在まで残ってこないからです。

 上海市では、そうした民間治療法の発掘作業を行っています。今までは非合法なので摘発の対象になっていたような治療法も、発掘することでその有効性を確かめ、実際に臨床現場で活用使用というやり方は我々臨床家にとっても大変参考になると思います。今回、研究対象となった30あまりの治療法のうちの一部は下記の通りです。

王根発 針灸治療の代わりに膏薬を貼ることで便秘などを治療
姚忠元 掌の経穴で、気功循経診脈法による疾患の治療・診断
銭元祥 掌紋による疾患の診断
呉厚余 生薬「羅勒子」を使ったドライアイなどの眼科疾患の治療
柳国斌 「経絡功」による下肢静脈疾患の治療
趙春英 「六歩奶結疏通法」による乳腺炎の治療
施青春 外用「炎痛霊散」による外傷性感染の治療
王珠山 声顫法や竹筒法などで頚椎症や心房細動の治療
段晏明 「補化湯」による血小板容積異常や脳梗塞の治療

なにか宝探しをするようでワクワクしてきますね。


posted by 藤田 康介 at 07:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力

2012年08月12日

週刊「エコノミスト」8/7号 

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 先日うけたインタビューが、週刊「エコノミスト」の8/7号に少し掲載されました。中国・韓国現地リポートで、「伝統医療はいま」のコーナーに出ています。

 日本の場合、医療費削減に本当に漢方医学が貢献できるのかはよく分からないけど、中国ではそれを実現できるように動き出しています。ただ、そうした動きの背景には、中国や中医学の特別な事情があることも忘れてはいけません。

 お互いの状況を詳しく理解したうえで議論をしないといけないと思います。

 しかし、「エコノミスト」までが漢方を取りあげるとは。確かにいまちょっとしたブームが来ているのでしょうね。

posted by 藤田 康介 at 06:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年08月11日

立秋すぎたら西瓜は食べないという発想

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(朝の公園は、お年寄りの運動パラダイス)

 今年は8月7日が立秋でした。そのあと、上海では台風11号がやってくるなど、天気は結構荒れましたが、再び蒸し暑さが戻ってきています。考えてみれば、旧暦の七夕は今年は8月23日で、本来は立秋のあとにくるものなのですね。梅雨が終わるか終わらないかという時期よりも、こっちのほうが天気も安定していますし、実感がわいてくると思います。
 立秋以降、上海エリアでよく言われるのが、瓜類を食べるのを控えるように、ということです。西瓜を初めとした瓜類は、夏場には欠かせないものですが、立秋以降は生で食べることを控えるようにといいます。確かに、生で食べる瓜類は胃腸を冷やしますから、そろそろ予防線を張る必要があるということです。秋以降の下痢予防のためにも必要です。

 さらに、徐々に朝夕が涼しく感じられるようになってくると、陰を補うことが大切になってきます。今までのように、キュウリ・トマト・セロリなど生で食べて、熱をとるようなものから、徐々に滋陰できるものを採り入れるようにします。8月になると美味しくなるレンコンなんかもお勧めで、滋陰養血・清燥潤肺などの働きがあります。また、レンコンは鉄分が多く、鉄分の吸収を助けるビタミンCが多いのも特徴。上海では、生で食べることも多いです。
 
 そのほか、滋陰系の食べ物というと、苦みが少しありますが潤肺系の百合根やキクラゲ、山芋、クコの実などがそうです。また、夏の疲れを補うためには、カボチャ・ナツメ・蓮の実・胡桃なんかがよいとされます。このあたりは、色々な伝統食が重宝されます。

 夏場にエアコンなどで体を長期間冷やしてしまった場合、秋以降になると関節などに不快感が出やすくなります。肩こりや腰痛、関節の痛みなどを再発しやすくなるので、いつまでも夏と同じような体制で寝ているとよくありません。上海の街では、まだまだ上半身裸で歩いている人や、短いズボンやスカートを履いている女性を見かけますが、そろそろ控える必要があります。特に、寒さに冒されやすい足の裏や、背中には注意です。エアコンの温度も、外の気温と連動させながら、徐々に調節していかなければいけません。私も毎朝世紀公園へ運動に出ていますが、早朝外は涼しいのに室外機がまだ動いているお宅を見かけます。これはさすがに避けたいところ。

 また、今年はオリンピックの関係で、寝不足の患者さんが多かったのですが、秋にかけて、徐々に睡眠時間を確保するようにしましょう。夏と同じ睡眠時間では、陰を養うと言った観点でもよくなく、陽が盛んになりすぎて、ニキビや口内炎など上火になりやすいと考えます。

 季節の変わり目をいかに上手く乗り切るかは、早め早めの対策が大切だと思います。

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posted by 藤田 康介 at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2012年08月10日

値下がりはじめた中国の生薬

 中国でも日本でも生薬の値上がりがさまざまなところに影響を及ぼしてきましたが、ここに来て生薬が値下がりの兆しがでてきたということです。とくに、中国で最大の生薬市場である安徽省亳州の生薬市場。華佗の故郷として有名です。ここでは、中国全国の5000余りの卸売り業者が入っていますが、生薬全体の約8割で値下がりし出しているとのこと。ただ、三七や冬虫夏草などもともと値段の高い生薬に関しては、あまり変化はないようです。

 いろいろな情報が交錯していますが、その中でも白朮はもともと2009年でキロ60〜70元していたのが、今ではキロ20元前後にまで下落し、今ではキロあたり15元程度にまでなることも。白朮は、2005年はキロあたり14元程度だったのですが、2007年には56元になり、2008年にはまた14元前後にまで戻りました。同様に、白芷も2005年はキロあたり3元だったのが、2007年に16元になり、2008年には再び3元に下落、ところが2009年に再度17元程度にまで上昇し、2011年には11元程度に落ち着きました。このように、価格が年度によって大きく上下していることが分かります。



 こうした価格変動に関して、中国の農民はかなり敏感で、値段があがると一斉にその品種の栽培をはじめ、下落したときには過剰気味になってしまうというサイクルを繰り返しているという指摘もあります。とくに前述した白朮は比較的栽培がしやすい生薬と言われていますが、収穫してしまうと保存が難しく、一旦値段が下がりはじめるとたたき売り状態になってしまうのだそうです。



 中国での生薬のサイクルは、3年間値上がりすると、つぎの2年間では下落するといわれています。そのバロメーターとなるのが、種の価格で、種が値下がりし出すと、その生薬の値段が底をうち、近い将来に上昇に転じる可能性が高くなるようです。逆に、種の値段が高いままの生薬は、暴落する可能性があるということです。



 生薬の供給は自然が相手だけに、安定した量を提供できるようにするには至難のワザです。昨日のうちの中医クリニックでも白朮が底をつき始めていて、ちょっと厄介だなと思いました。



 安徽省亳州市によると、農民たちによる生薬の栽培面積自体は年々拡大傾向にあり、さらに製薬会社自身が標準化された栽培基地を年々拡大しています。安定生産が出来るようになってきたら、相場のぶれが少しでも改善されるのではないかと思います。



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2012年08月09日

「江蘇省連雲港で2例の皮膚炭疽」について

 江蘇省疾病予防コントロールセンターによると、8月3日に江蘇省連雲港で7例の皮膚炭疽の疑いのある症例が連雲港市第四人民病院に収容され、このうち2例が8月9日に皮膚炭疽であると診断されました。江蘇省で皮膚炭疽が発見されたのは、1989年以来23年ぶりということです。

 この2人の患者は、連雲港市贛楡県贛馬鎮半路村の農民で、発熱・紅斑・水疱・丘疹・潰瘍などの症状がみられました。また、残り5人についても医学観察の対象として隔離されています。

 皮膚炭疽は、炭疽菌による感染で発生する人獣共通感染症で、芽胞に汚染された土地に接触した草食動物などを通じて感染し、芽胞が発芽して増殖し、炭疽を発症します。炭疽菌は熱・乾燥・消毒薬などに強いのが特徴です。また芽胞が皮膚から入ってくると、皮膚炭疽になります。皮膚炭疽のほかにも、肺炭疽や腸炭疽などもあり、敗血症を併発します。潜伏期間は1〜5日と言われてます。

 今回の皮膚炭疽は、牛が原因とみられており、また江蘇省以外から流入された牛であることが分かっていますが、牛の標本は確保されていないとのことです。(どうやら、さきに処分されてしまったようです)

 中国では毎年皮膚炭疽の症例報告があり、最近2年間では300例ほどあるということです。そのため、病気になったり異常な死亡をしている家畜(牛・羊など)には近づかず、すぐに衛生監督機関に報告しなければいけません。

 8月10日付けの『東方早報』の報道では、村人10人が、外から運ばれた病死した牛を処理し、このうち7人で皮膚が腫れるなどの症状がみられ、残り3人に関しても予防としての薬を服用したということです。皮膚炭疽は、一般に人から人に感染する可能性は非常に低い病気ですが、汚染された土壌や家畜が問題になります。中国では内陸部を中心にまだ見られる感染症なので、注意が必要です。

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posted by 藤田 康介 at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年08月08日

夏場の長引く咳、中医学の「夏に生姜、冬に大根」の発想

 暑くなってきて、しつこい咳でうちの中医クリニックに来られる方が少なくありません。

 私のところに来られる咳の患者さんは、9割方は上海市内の各病院・クリニックを一通り巡回されてからの方が殆ど。胸部レントゲンを見てみても異常はないし、血液検査もとくに問題なし。さらに、どこの病院でも出される西洋薬の種類もそう変化はなく、中成薬やエキス剤も出されるも、これまたとくに効果なし。痙攣性咳嗽のような症状をともない、咳することで体力を消費してしまいます。そこで、煎じ薬を服用したいということで来られます。

 五行説でいうと、夏は火になります。相克の関係から、火は金を冒すから、肺が痛みやすいという話は中医学ではよく出て来ます。また、肺は大腸と表裏の関係にあるので、中には夏場の便秘などの症状を併発されている方もおられます。

 肺はその性質から、一般的に乾燥や冷えを嫌う一方で、鼻口で外気とつながっているので邪気を受けやすいという特徴があります。

 夏の暑さにより、熱が肺や大腸を襲うと、前身の津液の流れや量に影響を与え、口や舌の乾きを導き。甚だしくなると咽の痒みや乾燥といった症状が出来ています。この場合、痰の量が極めて少ないのが特徴です。さらに、時間が経過すると皮膚の痒みや発疹などにつながることもあります。

 一方で、夏には体の陽気をしっかりと蓄える必要があります。暑くなって、エアコンを使いすぎたり、扇風機の風を直接受けたりすると、体の表面にある毛穴(腠理)から寒涼の邪気が入りこみ、肺の衛気を傷つけ、免疫力が低下します。さらに、アイスクリームなど冷蔵庫や冷凍庫に入っている食品をパクパク食べることで、脾・胃の陽気を消耗させ、陽気を消耗させるというパターンもあります。


 その対策として、夏場の天気が暑いときこそ、肺を補うために、ちょっと辛めの食品を食べてみようという発想があります。それが、中国でよく言われる「夏に生姜、冬に大根」の発想です。発散・行気・活血・化湿作用のあるネギ・生姜・ニンニクなどを少々食べてみようというわけです。

 そのほか、夜寝る前にリラックスした姿勢で椅子に座り、意識を丹田に集中させ、胸に位置する膻中を軽く叩き、さらに背中の肩胛骨の間あたりを軽く叩いてもらって胸の気を通して上げるという方法が推拿にあります。

 話が変わりますが、上海の属する江南エリアは、その気候風土によって様々なパターンの感冒を見受けます。子供の場合、夏場の感冒はその症状の変化が比較的はっきりとしていて、初めは微熱程度で、悪寒がして、咽もあまり痛くない風寒感冒となり、1〜2日後には風熱感冒となって発熱や咽の痛み・充血などの症状になります。また、エアコンの使いすぎや冷えが原因で、頭やお腹が痛くなり、嘔吐・発熱する暑湿感冒もよくみられます。

 初期の段階である風寒感冒だったら、教科書的には荊防排毒散を使ったりしますが、それ以外にもネギの白い根っこの部分にあたる葱白や調味料にもよく使う豆豉なんかも使ってみることができます。中国だったら、簡単に自宅でできます。

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2012年08月07日

日中の方剤に関する考え方の違い

 今年は、東洋医学学会にも顔を出させてもらって、日本の漢方や中医学をやっておられる先生方との交流も少しずつ増えてきました。中国で、中国のやり方で伝統医学を勉強し、中国のライセンスで、中国で医療活動をしている私にとっては、日本のやり方というのが興味深く、大変参考になりましたし、私も自分の臨床でさっそく活用させてもらっています。良い物は貪欲に採り入れたいと思っています。

 色々な考え方があるかもしれませんが、日本でよく使われている漢方医学というのは、例えば、「傷寒論」のようにある決まった伝統的な処方があって、それをいかに活用するかということでエビデンスなどを考察しながら決めていくやり方。そのため、その処方が作られた歴史的背景や、文献などの考察なども含め、かなり緻密に討論されているような印象です。もし歴史的におかしい問題がみつかると、それを是正していく根拠を見つけていくような感じ。中国で言うと、中医薬大学の文献系の先生方がやられていることに近いような印象です。

 一方で、中国はというと、病院で使われる処方というのは、伝統的な処方ももちろんありますが、それぞれの専門家が得意とする疾患があり、古典的な流儀にあまりとらわれることなく、かなり自由に処方の思考方法を発揮しているような感じをうけます。つまり、いろいろな新しい処方や考え方があって、今でも作られているのです。そのため、古典的な処方に加えて、様々な新しい処方が発見されています。このことに対して、新しい処方が中医学や漢方のルールに正しいか、正しくないかという議論は置いておき、まずは如何に効果を出せるかということに重点を置いている、ある意味、実績重視の中国的なやり方ではないかと思います。そして、単に新しい処方を発見するだけでなく、研究者や大学院生がその処方に関してのエビデンスを、西洋医学的な立場から見つけてくる。これが今の流れのように思います。

 そのため、ある処方の使い方について、日中間では決定的な違いがあるように思います。日本では、たとえば五苓散だったらこういうケースでもつかえるぞ、など一つの処方に対する応用方法やエビデンスがいろいろ討論されますが、中国では古典処方に基づいても、結果的には臨床経験の基づいて新しい処方が作られるわけなのです。ところが、その効果が明らかになっても、具体的な処方の中身はなかなか表に出てこない。中医学の世界では、伝統的に昔から門外不出の「秘方」などが多いのも、そうした発想の違いと関係があるように思います。私の師匠が、膜性腎症の治療において、生薬蝉花の特許をもっているように、中医学に絶えず新しいページが足されていくようなイメージがあります。その全貌は、なかなかよく分からない、ある意味閉鎖的なところが多々見受けられます。

 どっちがいいかというと、私はどっちもどっちだと思います。ただ、東洋医学として伝統医学を発展させるには、両方のやり方をミックスさせないと時代に取り残されてしまうように思います。即ち、過去の伝統に基づいた処方も大切にしながら、さらに新しい処方を作り出し、効果を高め、できたら新しい生薬も発見したい。中医学には、そんなダイナミズムがあるように私は思います。

 中国の場合、新しい処方を発見できる土壌はあると思います。伝統医学の法制度も、世界的にかなり有利です。すでにいろいろな病院が様々な研究をしています。最近、成都中医薬大学で、2000床規模の中医学を活用した糖尿病の臨床基地が国主導で設立されたのもそうした一環だと思います。その新しい処方を作るときに大切なのが、中医学的な理論と医者のひらめきで、それがある程度公認されてくると、西洋医学的なエビデンスを求めるように研究が進められていきます。中医学の本当の意味での発揮は、これから様々な経験が整理されて、どんどんと表に出てくるのではないかと期待しています。

 とにかく「効果を出すこと!」

 これに尽きます。

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2012年08月06日

苦瓜(ゴーヤ)の汗疹での活用

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夏になると、うちの娘にも時々みられる汗疹(あせも)。お子さんがいらっしゃる皆さんもいろいろな対策をされているかと思います。

中医学や漢方の世界でも、昔から伝わっている方法が沢山有ります。中医学的な病因病気は暑湿が皮膚に蘊蒸(うんじょう)し、汗がうまく排泄されないからと考えます。『外科正宗・痤痱瘡』には、熱い身体に風があたることで毛竅が閉じてしまうからとあります。

 外用薬でよく使うのは、六一散や青黛散など。内服では緑豆や金銀花、忍冬藤、地骨皮などを使ったりしますが、上海近郊の田舎で活用されているのが苦瓜(ゴーヤ)。

 我が家では、苦瓜をみじん切りにして、薄荷を混ぜ、さらに水を少々足してその汁を皮膚に1日に2〜3回塗ります。苦みの強いゴーヤは、清解暑熱などの作用があり夏の瓜類の代表選手。塗ってもそれほど刺激がないので、子供でもまず大丈夫です。(ただし、ゴーヤでアレルギーがある方は避けて下さい。)これが結構いい感じで、赤みや痒みがラクになるかと思います。

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 そのほか、我が家では薬草風呂を作っています。この場合は、エキス剤などを使うよりも、煎じ薬のほうが圧倒的に有利です。ちょっとすっとした感じの清涼感があっていい感じです。

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2012年08月05日

中医学の香療/インタビュー(aromatopia 113号)

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 アロマテラピーの代表的な専門雑誌のひとつであるaromatopia(フレグランスジャーナル社)への原稿の依頼をうけ、さらに東京で編集部のインタビューを受けた第113号(2012年7月25日発売)が出版されました。特集のテーマが「日本における中医アロマセラピーの現状と課題」というわけで、私に声がかかったのもなるほどと思いました。
 私の基本路線は、あくまでの中国伝統医学(中医学)なのですが、この中医学のテリトリーが非常に広く、その中に生薬を使った「香り」を使った療法、即ち「香療」というのが入ってきます。うちの中医クリニックに来られた方なら、「香袋」をお見せしたことがあるかと思いますが、香りの活用について、中医学で結構以前からあるのです。

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 中医医学だから陰陽五行と組み合わせてうんぬんという話で思われる人が多いかもしれませんが、確かにそれも一部分です。しかし、理論的な討論以上に、患者さんが使ってみて気持ちよくて効果があると感じることがこの分野では最も大切です。

 やはり中医学的立場から考えると、生薬の内服薬や鍼灸など組み合わせる一つの手段として捉えてもらえたらいいのではないかと思います。広義では、中医学の外治法に入ってきますからね。

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 中医学の香療のなかでも、薬香法というのは、香道にも近いところがあるのではないかと思います。ただ、日本で隆盛しているアロマテラピーの精油と比較すると、精油は抽出されたものであるのに対して、中医学の薬香というのは、自然の成分をそのまま使います。なんとなく、エキス剤と煎じ薬の違いにも共通するような観点があるような気もします。

 しかし、アロマテラピーの精油というのは、とことんカタカナですね。漢字で生薬名を扱っている私からすると、そっちのほうが難解に感じます。(^▽^)

 私の文章のすぐ前に、日本統合医療学会でよくお会いする川嶋朗先生がご執筆されていました。先生は、漢方の観点から書かれておられます。

 ★aromatopia(フレグランスジャーナル社)のHP

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2012年08月04日

生薬のいい香りを楽しむ香療法

aromatopia(フレグランスジャーナル社)の7月25日号にも書きましたが、中医のアロマテラピーとか色々言われる前に、中医学ではとっくに伝統医学としての香療法をもっていました。 

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 やり方はとくに難しいわけではなく、香りの高い生薬をブレンドして粉末にして燃やすわけです。我が家では、写真のような道具を使っています。お風呂場に少し香りを漂わせるだけで、なんかちょっとリラックスした気分になります。精神的に忙しいときなどには、私も使うようにしています。

 よく使われる生薬は、藿香、甘松、白芷、艾、蒼朮などさまざま。そういった生薬のなかで、自分が一番気に入った生薬を使えばいいのです。

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