2012年06月27日

中薬注射剤の副作用問題

 大部分の中医薬や漢方薬は比較的副作用が少なく、また抗生物質と比較しても抗ウイルスや抗炎症作用は強く、耐薬性が出にくいというのが一般的な評価ですが、それでも一部の製剤で副作用報告が出ているので注意が必要です。

 それが、今回問題となっている中薬注射剤です。

 中国国家食品薬品監督管理局が6月26日に発表した通知では、喜炎平注射剤では2011年1年間で1476例の副作用報告があり、14歳以下の子供の副作用報告が1048例あったということです。また、脈絡寧では、年間1500例の副作用報告があり、重篤な症例は189例あったということです。主な症状は、呼吸器系・循環器系への影響ということです。いずれも、アレルギー反応が根底にあり、投与量が規定通りに守られていない、点滴処方の組み合わせに問題があったという問題が指摘されています。

 中医薬や漢方薬が経口では副作用が少ないというのはその通りですが、点滴で注射剤として使う場合は、アレルギーのリスクが当然高まります。2011年に副作用報告が多かった中医薬系の注射剤は、清開霊注射剤、双黄連注射剤、参麦注射剤でした。こうした問題に対応するため、2009年より中国では中医薬注射剤の安全性の再評価を行っているようですが、副作用問題は未だに発生しています。

 この中には、いくつかの問題も考えられています。まずは、他の注射剤を併用して中医薬注射剤を使っているケースで発生した副作用が全体の25%もあり、さらに中医学の知識の少ないこちらの西洋医師が、中医薬注射剤を処方して問題となったケースもあったようです。

 私自身は、中薬注射剤の一定の効能は認めますが、中医薬は伝統的な使い方を重視すべきだと思います。それが歴史的にみても安全であり、やはり血管に直接中医薬を点滴することには抵抗がありますし、私は使いません。

 これは個々の医師の考え方とも関係があるでしょうけど、やはり安全を第一に処方を考えるべきだと思います。しかし、中国の患者さんは点滴が大好きです。これにはちょっと困りますね。

【連絡】・6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。
    ・7月17日に上海で一般向け講演会を開催します。テーマは「中国伝統医学からみた上海の最新アレルギー事情」です。

posted by 藤田 康介 at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年06月25日

水蛭と腎疾患

 中医学の特色の一つに、私は活血化瘀があると思います。難治疾患に対して、治療効果が出ないとき、活血化瘀をうまく使うと、思わぬ効果がでることがあります。その中で、今回はFACEBOOKで御質問をいただいた水蛭について。少しでも臨床に役立てばと思い、ここに書かせて頂きます。

 中医学や漢方医学で使う水蛭は、一般に夏〜秋に捕獲され、乾燥させて使用します。活血剤のなかでも最も強い破血のグループに入ります。そのため、妊婦には使わないのが一般的です。

 水蛭そのものは非常に粉にしにくく、使いにくいので、製薬会社で粉にしてもらって、カプセルにした活血通脈膠嚢を使います。1日3回 0.5gの量です。この場合は、生薬とは別に頓服で服用することになります。IgA腎症以外にもネフローゼによる浮腫にも使います。中国では、膜性腎症の場合、ステロイドを使わないで生薬だけで治療することもありますが、高凝固状態での活血化瘀はかなり有効とされていて、仮に舌や脈で瘀血の証が見当たらなくても、血液分析・尿FDA・血液レオロジーなどの指標で投与することも多いです。一般的に、中国ではIgA腎症は気陰両虚で、滋陰清熱・祛瘀止血の治療原則で考えますが、水蛭以外にも、丹参・川芎・益母草・蒲黄・桃仁・紅花を使います。

 さて、腎臓疾患といえば、蛋白尿の問題と向き合う必要があります。これは歴代の医学者によって様々な研究がされていますが、私の師匠の陳以平教授は、蛋白尿と腎虚よりもむしろ。風開腎門・熱擾腎竅・湿滞腎関・瘀塞腎隘と考えることの方が多かったように思います。そのため、治療には通因通用の発想から、久漏宜疏・久漏宜通の治療原則を使います。これは、まさに腎生検において、糸球体に免疫複合物が蓄積し、メサンギウム細胞や基底膜が厚くなったりする病理変化は、中医学的には「瘀血証」とみなすことができますし、サイトカインや炎症性因子の形勢や補体活性化などは、中医学的には湿熱や熱毒と捉えることもできます。これらは皆、尿蛋白形成と関係があるので、この通因通用法は広い意味で根拠があるとも言えそうです。あと、先生の経験で、精神的ダメージと尿蛋白との関係もあるとおっしゃっていました。私も同感です。

 腎生検において、crescent formation(半月体形成)が認められた場合、場合によっては急性進行性腎炎症候群(RPGN)となり、予後がよくないケースも多いのですが、中医学と西洋医学との併用は、中国ではかなり一般的になっています。第一段階では、ステロイドの使用が多いため、中医薬では清熱系の生薬を使います。代表的には、紫花地丁・忍冬藤・白花蛇舌草などです。これに、活血化瘀系の赤芍・生地・丹参・製大黄を加えます。第二段階では、健脾補腎泄濁法をとり、黄耆・当帰・黄精・杜仲・枸杞・白朮・党参・葛根・川芎・丹参・六月雪・製大黄などを使います。ステロイドを多用した場合、舌苔が膩になっていることが多いので、藿香・木瓜・梹榔・佩蘭などを加えます。一般的に、中医薬を併用した場合のほうが、ステロイドの使用を軽減できるとしています。
posted by 藤田 康介 at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2012年06月21日

夏至がすぎると陰にも注意を

 今年は6月21日が夏至でした。

 夏至とは、中医学の世界では陽気が最も盛んになる季節です。と同時に、この日から陰気が徐々に増えてきます。陰陽のバランスの中では、非常に大切な節目でもあります。興味深いのは、夏至を境にして、陰を好む植物が徐々に出てくるのです。代表的なのは、7月1日の「半夏生」で、漢方薬や中医薬でよく使われる半夏は沼地や湿地帯の日陰を好むのですが、暑い中でもそうした陰を好む植物が生えてくるのもこの時期です。

 夏至は五行説では「火」にあたります。これまで盛んだった肝気が徐々に弱まり、心気が盛んになってきます。そのため、睡眠が相対的に短くなったり、イライラしたりすることが多いのも理解できます。肝から心に変わったことで、食べ物も、酸っぱいものから苦いものに移ってきます。代表的なのは瓜類。我が家でも食卓にいろいろな瓜類が出てくるようになりました。代表的なのは、ゴーヤやヘチマ、ヒョウタン、冬瓜、西瓜類ですが、そのほかにも日本ではあまりみかけない瓜類が市場に沢山並んでいます。

 さらに中国では、「冬には餃子をたべて、夏には麺を食べる」という言葉もあります。夏至に麺を食べると言うことは、麦の収穫が終わり、美味しい麺が食べられるということを意味しています。新米ならぬ、新麦ですよね。

 汗がかきやすくなると、体の疲れも増してきます。汗が出るときは、体の毛細血管が拡張し、血液の分布が変わってきます。そのため、もともと血圧が低い人は、さらに体の不調を訴えるようになります。また、水分の流出により循環血液量が減少し、これもまた体調不調の原因になりますが、中医学では一般的に、「虚」の状態になるといわれます。

 そういうときは、上海近郊の奉賢や金山ではあっさりと調理した羊肉を食べる習慣があります。これが非常に美味しいのです。また、浙江省では立夏を過ぎたら、補う習慣があるのもそのためで、特にトマトや鶏、ネギうあ瓜類をつかったスープを作ったりします。何れも「清補」とよばれるような、軽く補うことを指します。もちろん、中医薬や漢方薬をつかって、夏の体調のバランスを整えることもできます。

 これからやってくる、恐怖の上海の夏。なんとか元気に乗り越えたいものですね。
posted by 藤田 康介 at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2012年06月18日

子供の偏頭痛

 子供の様々な疾患が抱える症状は、本当に多種多様です。私も、アトピー性皮膚炎の皮膚の痒みから、夜尿症まで毎日様々な疾患を診察していますが、どれとしてパターン化できるものがあるわけでもなく、中医学の基本に立ち返って、いろいろ作戦を練る毎日です。ただ、子供は生薬を飲むのが一般的に苦手。ごく一部で甘くしないと飲めない子供たちがいますが、大部分の子供たちは、最終的には煎じ薬でも自家製の丸薬でも処方できるようになっています。そのために、まず、子供自身に、この中医薬が効いているのだという実感をもってもらわなければなりません。同時に、医者も当然、各生薬の本来の味には精通しておかないといけないと思うんです。だから、私も、時間があれば、薬局から生薬を拝借してきて、味の確認をしています。そうすることで、生薬の品質も確認することができます。

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 というわけで、うちの台所はいつもこんな感じです。生薬をひとつひとつ煎じながら、味を確認していくのです。

 最近、時々診察しているのが、子供の偏頭痛です。それも、西洋の病院などにいって、いろいろな検査をしたのにも関わらず、原因がはっきり分からずに、痛みが襲ってくるというパターンです。先日も、国語の時間に教科書の文字を追うと痛み出してくるパターンの頭痛がありました。眼科の検査も受けていますが、こちらも異常なし。そこで、中医学での処方を考えました。

 最初はすこし時間を要しましたが、2ヶ月目ぐらいから痛みが治まりだし、教科書を読んでいても痛みがすぐに解消するようになりました。そして、最近では、殆ど痛まなくなっています。

 私も生薬の加減をいろいろ考えていたのですが、効果が出だしたと実感したのは、やはり虫類の生薬を使い始めてからです。その昔、上海中医薬大学附属竜華医院で、神経内科の故胡建華教授の外来に出たことがありましたが、教授が虫類の生薬を巧みに使っておられたのが非常に印象に残っていました。虫類は確かに生薬の味にはダメージを与えてしまうのですが(味がまずくなってしまう)、痛み止めに関してはその効能は確かだと私も実感しています。

 特に子供の場合、その生理的特徴から、中医学では『幼科発揮』にある「肝常有余、心常有余」といわれるように、肝陽上亢がしやすいとされています。子供が高熱の時に熱性けいれんを起こしやすいのも、そのことと関係があるとされています。よって、こうした頭痛の場合、肝から考えていくと、上手く行くことがあると思います。また、今回の子供のように、眼の使用と関連がある場合は、なおさら肝をうまくコントロールすることが大切だと思い、私も密蒙花(清肝・明目)、菟絲子(補陽益陰・明目・止瀉)を虫類の生薬と組み合わせながら処方してみました。

 痛みに対しては、生薬は様々なアプローチができます。痛みと言えば、鍼灸を思い出す方も多いかもしれませんが、生薬と組み合わせることで効果を高めることができます。この患者さんの場合は、補助的治療として耳鍼を使ってみました。
 今後は、生薬を減量しながら、再発しないようにアプローチしていこうと思っています。
posted by 藤田 康介 at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2012年06月11日

千葉でミニ講演会をしてきました

 今回も、シリーズとなっている千葉のカムクリニックでの講演会を6月11日に行ってきました。テーマは、「梅雨・夏に向けての中医学的対策」でした。

 夏も近くなってきたので、ジメジメした梅雨時期と夏を乗り越えるための中医学的な考え方を分かりやすくお話しました。私自身も日頃実践していることなのですが、知っていると知っていないとでは、かなり違うと思います、

 夏の養生のポイントは、決して「冷やす」のではなく、「熱でもって熱を制す」というのが近いと思います。また、夏は五行説では「火」に属し、「心火」が旺盛となり、何かとイライラしやすくなります。情緒を安定させることも、夏は非常に大切です。

 上海でのエアコンの普及は、ほんの10年ぐらいのことで、それまではエアコンなしで乗り越えていました。そのため、都市生活における夏を過ごすための様々な工夫が今でも残っています。節電が言われる昨今、こうした智恵も活用してみたいですね。
posted by 藤田 康介 at 11:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年06月10日

高濃度人工炭酸泉足浴における酸化ストレス及び免疫系への生体効果について

第77回温泉気候物理医学会の学術総会が秋田県田沢湖であり、私も東西中医学研究所の高橋薫先生や東京医療学院大学の武田淳史先生、東西中医学研究所の高橋日出雄先生らの共同研究の一人として、論文を発表させていただきました。テーマは、「高濃度人工炭酸泉足浴における酸化ストレス及び免疫系への生体効果について」というものですが、要は、炭酸泉の足浴が、体にどのような影響を与えるのかを調べました。

 ご存じの通り、日本では各地で天然の炭酸泉が出ています。九州の大分県竹田市にある長湯温泉は炭酸泉で全国的に有名で、私もそこにあるラムネ温泉に入ってきました。ブクブクの泡が皮膚に吸い付いてくる感じは最高でした。現在では、様々な方法で1000ppm程度の人工炭酸泉が作られるようになり、今回もアクト社の装置を使いました。

 その結果、初期段階の免疫機構として重要な働きを示すsIgA(唾液分泌型IgA)が紅潮反応をし、正常な範囲での推移をしたグループで上昇し、出浴後の腋窩体温が淡水足浴と比較して高く維持され、外気温に影響を受けやすい下腿頸骨前面の皮膚温が、淡水浴と比較して体温が高く維持されました。よって、炭酸泉による体温維持効果が確認されました。

 この前の実験で、生薬麻黄を使った足浴では、10歳以下のインフルエンザ罹患小児に対して、唾液分泌型IgAが上昇し、発熱や罹患期間が短縮することを発表しましたが、足浴が何らかに免疫システムに影響を与えるようです。特に、激しい運動をすると、唾液分泌型IgAが減少し、スポーツ選手などが風邪にかかりやすいといった報告があるので、やはり足浴を活用することは意義があるかと思います。

 足浴文化は、中国では今でも根強く残っていますが、生薬などを組み合わせながら、臨床で活用していきたいと思います。
posted by 藤田 康介 at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝統医学と温泉

2012年06月09日

第77回温泉気候物理医学会学術総会で発表してきました

 東日本大震災の影響で、会場が急遽変更となったため、秋田県仙北市立生保内小学校の体育館をかりての第77回温泉気候物理医学会学術総会となりました。そのため、本来の一般演題は、今回はポスター発表型式となりましたが、1つ演題を発表してきました。くわしくは、こちらです。

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 地元のボランティアの皆様にも支えられ、学会は大成功のうちに終わりました。また、小学生達の元気な挨拶の声にも励まされ、なんとか私も無事発表できました。

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 また、私はその後の新玉川温泉で開催された温泉療法医教育研修会にも参加出来、大変有意義な秋田での4日間を過ごすことができました。

 秋田県は本当に自然が豊かですね。仙北市長のお話によると、毎年秋田県の人口は1万人前後減り続けているのだそうですが、なんとかこの豊かな自然をうまく利用できないかと思うのです。
 
 ただ、韓流ドラマのロケ地として田沢湖周辺が有名に也、地震前はあれほど沢山来ていた韓国人観光客も、いまだに激減しているのだそうです。続きを読む
posted by 藤田 康介 at 19:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年06月06日

プラスチック容器の濫用と糖尿病の関係

 中国では確かに劣悪なプラスチックや発泡スチロール容器が散乱しています。以前は、油モノのアツアツを、平気で発泡スチロールの容器に入れていたのを目撃したことが多数ありました。さらに、近年禁止になったはずの発表スチロールの弁当箱もまだどことなく見かけます。

 問題となっているのは、こうしたプラスチック製品に使われている環境ホルモンと関係が深いとされるBPA(ビスフェノールA)とよばれる物質です。中国では、2011年6月1日よりプラスチック製のほ乳瓶の製造を禁止したほか、2011年9月1日より輸入・販売の禁止にしました。ただ、実際にはほ乳瓶以外の食器には使ってもよいため、BPAを使った製品に巡り会うことはゼロにはなっていません。


 いったい、このBPAが体にどのような影響を与えるのか、上海交通大学医学院付属瑞金病院の内分泌科が興味深い研究を発表しました。疫学的にも、かなりの数のサンプルを集めた研究でした。


 それによると、上海で40歳以上の3423人で、経口ブドウ糖負荷試験を行って2型糖尿病と確定し、尿中のBPAの量を測定しました。その結果、87.7%で尿中のBPAが検出され、平均濃度は0.81ng/mLでした。さらに、BPA検出量が多い場合、2型糖尿病のリスクは37%高まり、少ない場合は、未検出のグループとそのリスクは変わらないとしています。


 また、BPAが多いグループでは、全身肥満のリスクが50%高まり、IR(インスリン抵抗性)のリスクが37%高まるとしています。


 さらに、この研究では、BPA濃度と、尿タンパクとの関係を調べており、BPAの濃度と、尿タンパクや循環器系疾患、甲状腺機能亢進と関係があるとしています。


 よって、食器に関しては、極力プラスチック製のものをさけ、電子レンジなどで加熱する弁当箱もガラス系のものに変えたほうがよさそうです。また、ほ乳瓶はBPAが含まれていないものか、ガラス製のものを使うようにしたいところですね。

 とくに、中国のコンビニ弁当に使われているプラスチック容器。以前も問題になりましたが、やはり極力避けたいです。
posted by 藤田 康介 at 11:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情

2012年06月04日

中医薬(漢方薬)のオオヤモリ

 私は、中医薬局が大好きです。
 よく、うちのクリニック内の薬局にお邪魔して、中薬を扱う薬剤師と中医談義をしにいきます。

 生薬のさまざまな活用方法のアイデアを考えるのには、薬局にいって考えるのが一番だし、なによりもあの独特の香りが好きです。最近、クリニックに来られた方は感じたかもしれませんが、香ばしい香りがしていることがあると思います。これは、動物系の生薬をトースターで燻しているとくの香り。昨日は、ミミズを焼いていました。(^_^)

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 生薬棚のしたで見つけたのが写真。これから丸薬をつくるために準備されていた蛤蠏(ごうかい)です。オオヤモリのことですが、干乾しにされています。以前はしっぽと足には毒があるといわれていたのですが、最近の研究では、体全部を生薬として使えることが分かっています。煎じ薬として湯液に入れてもいいし、粉にして頓服する場合もあります。有名なところでは、お酒にいれて漬けることもあります。

 腎の陽気を補う働きがあるので、慢性の咳や喘息の治療、インポテツなどにも使いますので、場合によっては不妊症に治療にも登場することがあります。

 生薬は自然の恵みです。動物・昆虫類では、九香虫と呼ばれるカメムシも使うことがあります。昔の人の知恵ですからね。
posted by 藤田 康介 at 07:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年06月03日

中医薬用語の英訳の標準化の動き

 5月24日に上海師範大学が記者会見を開き、外国語学院の副委員長の李照国教授が、中国国家中医薬管理局の委託をうけて英語翻訳を進めてきた中国の1995年度版、1997年度版中医学用語の英語の国家基準が定まり、WHOに提出するための国際標準化の準備が整ったことを発表しました。

 中医学の国際化と標準化は、中国が国を挙げて取り組んでいるプロジェクトですが、その最大の障壁となるのが、やはり言葉の問題。特に、英語と中国語との翻訳は確かに難しい問題がいっぱいです。そこで、ISNTCM(International Standard Nomenclature of Traditional Chinese Medicine)という標準化のためのたたき台を作り、研究が進められてきました。

 以下は、上海の夕刊紙『新聞晩報』の記事からですが、今回の翻訳作業ではいくつかの点で工夫されたようです。

 まずは、すでに定番となっている訳については、従来の言い方を使うというもの。たとえば、五行の場合、英訳はfive elements、瀉法はpurgationとする翻訳です。混乱を避けるため、今まで通りそのまま使うことに。

 また、中医学が独特にもつ言葉に関しては中国語の発音をそのまま使うことになりました。代表的なのが「気」ですが、vital energyと訳さずに、そのまま「qi」とすることになりました。この「ちー」という中国語読みは、欧米では近年よく耳にするようになりました。

 一方で、難解な中医学の病名に関しては、そのまま西洋医学の名前を当てはめることに。たとえば、中医眼科で登場する「烏鳳内障」は、緑内障のことですが、そのままglaucomaと訳すことになりました。

 また弁証論治などを考えるときに使う専門用語に関しては、ネイティブが呼んでも違和感がない訳し方になりました。例えば、急性結膜炎の病名でもある風火眼は、wind-fire eyeと訳すと違和感があるもののacute conjunctivitisとするとその本来の語意が伝わりづらいので、結局wind-fire eyeの言葉が採用されることになりました。

 さらに、李照国教授は、1985年より進めてきた『黄帝内経』の英語訳がついに完成し、中国大陸では初めての訳本として出版されることになりました。今後、最も権威のある英訳本として活用されることが期待されています。これも、実は中国の『大中華文庫』プロジェクトの一環で、『素問』が3巻、『霊枢』が3巻の翻訳本となり、近々出版されます。

 日本も中国の中医学標準化に対抗するのなら、日本漢方の英訳について、真剣に考える時期に来ているのかもしれません。
posted by 藤田 康介 at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力

2012年06月01日

中国は源泉掛け流しより薬浴がお好き

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  つい先日、2日間の休日を利用して、蘇州市の呉中越渓旺山景区にある、天頤温泉に行ってきました。屋外の温泉では、蘇州市で最も大きな温泉と言うことです。上海からだとクルマで2時間弱で行けます。蘇州の中心部からは30分程度です。呉中大道から入ってくると便利です。

 さて、ここは掘削型の天然温泉で、泉質は硫酸カルシウムだそうですが、温度が低いので加温していました。中国の温泉と言えば、水着をきての入浴となるのですが、ここも同じで、更衣室(ロッカールーム)で水着に着替え、さらにシャワーで体を洗ってから浴場に行きます。この動線は、中国ではどこも同じです。そのため、浴場には体を洗うところもないし、もちろん頭を洗うことはできません。すべて、シャワーコーナーで済ませます。

 お風呂からあがったら、再度シャワーで体を洗い、施設備え付けのリラックス用の衣類を借りて、休憩室でゴロゴロするのが一般的な過ごし方で、食事コーナーもあったりします。

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 ところで、中国の温泉というのは、どこに行っても源泉掛け流しよりも、色々なものを混ぜたがるのが特徴。よく使われるのがやはり生薬で、上の写真のように霊芝や薄荷、陳皮や当帰、甘草など様々な生薬の袋がお湯の中に投げ入れられています。そして、中医薬の薬効を掲げることで、養生をできた気分になるのです。

 中医学を日頃から実践しているものからすると、確かに生薬を内服すれば相応の効能があると思いますが、外用ではそうも行かないだろうとは思うのですが、そこは気分的なものも大きいように思います。中国人の間では、温泉はリラックスするというよりも、なんかいろいろな効能を求める方に走っているように思います。温泉=中医学の養生的な発想です。

 じゃあ、源泉だけの場所はあるのだろうか?と捜してみたら、この日は運悪く清掃中。入ることが出来ませんでした。そして、何よりも残念なのは朝風呂がないこと。日本の温泉地だったら当たり前なのですが、中国では朝風呂は空腹時に入ることになるので、体によくないという発想につながるのだそうです。

 とはいえ、ここは人が非常に少なく、夜に入ったときは貸し切り状態でした。これが一番のサービスだと思います。
posted by 藤田 康介 at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝統医学と温泉