2012年04月18日

中国の単味エキス剤

 いろいろ検討を重ねた結果、うちの中医クリニックでも4月からエキス剤を導入しています。これで、伝統的な煎じ薬に加えて、また新たに選択肢が増え、応用範囲が広がることになりました。日本では、葛根湯や柴苓湯など処方として複合処方のエキス剤が使われますが、中国ではもっぱら単味のエキス剤です。
 例えば、葛根湯だと葛根・麻黄・大棗・桂枝・芍薬・生姜・甘草のそれぞれのエキス剤を混ぜて組み立てて使います。病院によっては、それぞれの薬を別々の小袋に梱包して出すところもありますが、うちのクリニックでは薬剤師が調剤してから1回分を一つの袋に詰めて出す方法にしました。薬剤師の手間が増えますが、服用は明らかにラクになります。

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 服用方法は、沸騰したお湯250ミリリットルに一袋を入れてしっかりとかき混ぜます。私も幾度となく実験しましたが、30秒〜1分程度で混じります。

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 この方法だと、お湯さえあれば服用できるので、今までみたいに液体の煎じ薬を持ち歩く必要がありません。また、中国のエキス剤の特徴は、味もニオイも煎じ薬に近いものを再現できるという点です。溶かしたあとの色もなんとなくそれに近い。(厳密には違うでしょうけど。)そのため、煎じ薬を服用していた人も違和感があまりないと思います。この点は大きい。さらに、出張に持っていくときや郵送も飛躍的に便利になります。今まで、クリニックでは伝統的な丸薬も作っていましたが、この製造にもエキス剤は活用でき、メリットは大きいかと思います。

 エキス剤は、品質が安定しているという点でもメリットがあります。中国ではすでにいくつかの単味エキス剤のメーカーが出てきていますが、うちが使っているのは天江薬業のもので、江蘇省江陰に大きな工場があります。一時、薬が溶けにくいと不評でしたが、その後改善されて私自身のテストでもかなり飲みやすくなりました。写真は、2008年に工場見学にいったときのものです。江蘇省も産業として力をいれていて、このときは社長自らが案内して下さいました。(余談ですが、江陰はフグでも有名です。)
 伝統的な煎じ薬とコスト面で比較してもあまり変わらないというのも中国の単味エキス剤の強みだと思います。また、薬を煎じる時に注意する必要がある包煎・先煎じ・後煎じや頓服なども簡単に実現してしまいます。使用方法も内服以外に、外用や灌腸なども可能です。

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 私が上海中医薬大学付属竜華医院でネフローゼの研究をしていたときも、処方の均一性を図るために、ここのエキス剤を使いました。実験をするときはかなり使いやすい。その頃から、中国の中医病院でも中医薬局にエキス製剤のブースを設置することが徐々に普及してきました。おかげで中医薬局も整理整頓され、かなりスマートになってきました。

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 とはいえ、煎じ薬には煎じ薬そのものの良さがあります。伝統的な服用方法にもメリットがあり、私自身はこれからも両方をうまく組み合わせて処方していきたいと思っています。

 世の中がいくら発展してきても、煎じ薬そのものはなくならないと思います。
 
 

 
posted by 藤田 康介 at 08:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬