2012年04月05日

中国語でよく耳にする「上火」という言葉

 中国での日常生活で、何気なく使われている中医学の用語に、「上火」という言葉があります。一般的に、天気が暑くなってくると、喉が渇いたり、口の中が苦く感じたり、口が臭く感じたり、さらに口内炎なんかの症状もこの言葉の中に含まれます。そのほか、気候と関係がなくても、若者は「上火」になりやすいですし、女性と男性なら、やはり男性のほうが「上火」になりやすい傾向にあります。そして、それの対応策として、「清火」という言葉もあります。食べ物で火を冷ます方法や、場合によっては生薬を使ったりします。

 五臓六腑の観点から行くと、よく「上火」が出てくる臓腑というのがあります。

 例えば、胃だったら、お酒の飲み過ぎ、甘いものや味の濃いもの、辛いもののの食べ過ぎは上火となり、便秘や口の渇き、腹痛や歯茎の痛みになどになります。この場合、牛肉や羊肉など熱性が強い食材はさけ、野菜中心にして、薬膳なら緑豆などを食材として使いますし、生薬では石膏や黄連といった胃の火を取り去るモノを使います。イライラしたときに出やすい肝の火は、情緒と密接に関係がありますし、それは頭痛や目の腫れなどとも関係があります。中医学では、菊花や夏枯草なんかも使います。不眠や舌の先の痛み、色の濃い尿などの症状は、心火となるので、蓮子芯や黄連を使います。乾燥した気候とも関係ある肺火の場合なら、喉の痛みや咳、高熱、血の混じる痰などの症状がみられ、やはり冷やし系の生薬・食べ物を使います。白キクラゲ・大根・梨・リンゴ・百合根なんかが代表選手です。生薬では桑白皮やドクダミ、黄芩なんかをよく使います。

 ここから分かることは、「上火」とは、決して実際の火が出ているわけではなく、ある種の症状を、体内に火が出ている状態だとまとめて解釈している点です。日常生活の中でも、比較的実感できやすい現象ではないかと思います。

 中医学(漢方でも)では、複雑な症状を分かりやすく分析するために、様々な分類がされていて、そこから治療のプロセスが考え出されるのです。
posted by 藤田 康介 at 07:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力