2012年04月28日

1日2杯の紅茶が妊娠率を高める?!

 米国・ボストン大学のProfessor Elizabeth Hatchらのグループによると、1日2杯程度の紅茶を飲んでいると、妊娠しやすくなるのでは?という研究がこちらの記事にありました。ちょっと興味深いので、紹介しておきます。

 この研究では、デンマークで、これから妊娠する計画がある、平均年齢28歳の女性、約3600人を対象に行われました。もともとはカフェインの妊娠に対する影響をしらべるのが目的でした。そこで、1年間にわたって、どういう飲み物を飲んでいたか、記録してもらうことにしました。その結果、紅茶を1日2〜3杯飲んでいた人の妊娠率が、飲んでない人よりも27%く高くなっていることが分かりました。
 一方で、コーラなどの炭酸飲料を飲んでいた場合、逆に20%妊娠率が下がりました。興味深いことに、コーヒーを飲んでいるグループは変わりませんでした。どうやら、紅茶を飲むことは、妊娠することに対して有利な可能性があるようです。紅茶内に含まれている、抗酸化物質などが、男性と女性の生殖能力を高めるのかもしれません。


 さらに調べてみると、Professor Elizabeth Hatchの研究でCaffeinated beverage and soda consumption and time to pregnancyというのもありました。ここでも、やはり炭酸飲料は妊娠には不利なようです。


 中医学や漢方医学を活用した不妊治療は、西洋医学と比較して、日常生活云々についていろいろきめ細かな注意点があったりします。中医学の食養でも、紅茶と言えば体を温めるお茶の代表的なもの。やはりそういったものが女性にとって大切なんだろうということは想像に難くないと思います。

posted by 藤田 康介 at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界

2012年04月25日

今年も端午の節句の季節になりました。(6月23日)

04296.jpg

 2012年は6月23日が端午の節句になります。粽を食べたりする以外にも、様々な風習が中国では残っています。地域によって、いろいろと違いがあるのも興味深いです。

 その中でも、上海で派香りのある生薬を袋詰めにした香り袋や、部屋を生薬で蒸す蒼朮白芷を袋につめた煙薫剤が中医薬局に並ぶようになってきました。もともとは、部屋の空気を殺菌したり、伝染病が増える季節に子供を病気から守るためも習慣の一つでした。

 写真は、淮海路で見つけた中医薬局の店先です。

 鮮やかな袋が並んでいますね。
posted by 藤田 康介 at 15:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2012年04月24日

癌予防のためにもちょっと早歩きを

 上海の朝。

 公園などを散歩していると、お年寄り達が思い思いのスタイルでジョギングや散歩をしているのを見かけます。私も以前、ここでうしろ歩き健康法が中国で人気がある理由を紹介しましたが、やはり日頃適度な運動もしないで、マッサージや鍼治療で肩こり対策をしようというのは、時間もお金も勿体ない。

 いろいろ調べてみると、興味深い研究を見つけました。
 オーストラリアのConcord Hospitalで、70歳以上の1700人の男性が歩くスピードを5年間にわたって追跡しました。その結果、実験期間中に266人が死亡しましたが、生存率が一番高かったのが、時速4.8キロ以上で歩いていた人のグループでした。また、時速2.95キロ以上で歩いている人はそれ以下で歩いている人よりも、死亡率が20%さがったということです。

 日頃、患者さんに歩くことを口うるさく言っていますが、万歩計の記録を見せてもらうと、同じ時間歩いているのに、個人差が結構あったりするのです。歩く速度の違いというのは、注意すべき点だと思います。

 また、癌予防のためにも、歩くことが大切だとイギリスのWorld Cancer Research Fundが提唱しています。毎日最低30分でも歩くことで、脂肪を燃焼させ、免疫を強化し、消化吸収を助けることが癌予防に欠かせないと。WCRFの分析では、毎日45分程度体を動かすだけで、イギリスの乳がん患者を毎年5500人減らすことができ、毎日30分の運動で、イギリスの大腸癌患者を毎年4600例減らせるとし、毎日30〜45分の運動は継続すべきだとしています。

 上海の便利な生活。ここではバスやタクシー、地下鉄で移動できてしまうし、人によってはドアツードアで送り迎え付きというのが少なくありません。これでは、全然運動になっていないわけで、運動するための時間確保は、仕事をするための時間確保と同じぐらい大事であるという認識を持つ必要があると思います。記録を見ていると、一日8000歩以上歩けたら、体調はかなりよい方向に行くことが感じられますし、一万歩以上あるけたら、着実にダイエットできるはずです。

 もう一度歩くことを見直したいですね。
posted by 藤田 康介 at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2012年04月23日

上海中医薬大学の薬草園

 最近、日本人観光客もコースの中に、上海中医薬大学附属の中医博物館が含まれていることが多いようですが、実はそのうらに薬草園があることはあまり知られていません。最近いろいろと整備されて、ちょっとした温室もあります。

 さすがに、生薬そのものに興味がないと見に来ることはないかもしれません。ただ、そこそこ充実しているので一度ぜひ訪れてみてください。入場は無料です。

04241.jpg

 いくつかお馴染みの生薬をご紹介。

04243.jpg

 芍薬です。蕾はかなり大きくなっていて、もう少ししたら開花すると思います。生薬では根っこを使います。

04244.jpg

 こちらは魚腥草(ドクダミ・十薬)です。根っこも葉っぱも使います。四川人は料理にも使うほどポピュラーな生薬です。

04242.jpg

 成人病対策や脂肪肝の治療でよく使われる山査子の木です。

 さて、中医博物館のとなりは大学の図書館です。
 1階には中医学の専門書が買える本屋があり、母校に行く時は、必ず寄っています。

04245.jpg

 誰が買っても1割引きですので、少しお得感があります。

04246.jpg
 
 私も色々買いましたが、興味深かったのがこの本。私が住んでいる浦東新区の有名な医師達の処方集。近年、上海中医薬大学付属曙光医院と浦東新区医学会が合同で、その地域に伝わる効果が高い処方を集めてきています。現地の新聞でも話題になった一冊です。

04247.jpg

 ついでに少林功と易筋経のDVDもゲット。いずれも、学部時代に推拿(中医学式マッサージ)の授業で練習しました。ちなみに、手前味噌で恐縮なのですが、母校の武道大会で、少林功の馬歩の部で優勝したことがあるんです。賞品に洗剤をもらったっけ。。。。



posted by 藤田 康介 at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年04月22日

上海市科技奨の1等奨を獲得した、中医薬による肝硬変の治療

 2011年度の上海市科学技術奨の中で、上海中医薬大学附属曙光医院肝臓病研究所が長年研究を続けている肝炎後の肝硬変の中医学的治療の研究が1等奨を受賞しました。中医学系の研究で、1等奨を受賞したのは、かなりの快挙だと思います。

  上海中医薬大学の劉平教授らのグループが行った研究では、肝硬変の病因病機を「虚損生積」ととらえ、益気生精・補益虚損法による治療を考え出しました。今まで、中医内科の分野では、肝硬変が「本虚標実」であることは言われていましたが、この研究では、虚損と癥積との関係を古代の文献から分析し、慢性B型肝炎と肝硬変の証候タイプと、肝臓組織の病理学変化の相関点を分析し、肝線維化と肝硬変の中医学的な特徴をとらえていきました。

 私が興味深いと思ったのは、効能の違う方剤に対して、中医学の証の違いを組み合わせて治療すると、その働きも違ってくると言う点です。肝炎後の肝硬変では、気虚・血瘀がベースにあり、さらに肝腎陰虚・湿熱内蘊の証がよくでてくることを突き止め、肝臓病でよく使われる小柴胡湯と、伝統的な処方の中から、益気の黄耆湯・養陰の一貫煎・祛瘀の下瘀血湯・清熱利湿の茵陳蒿湯を比較し、その違いを炎症の抑制、ECM(細胞外マトリスク)への働き、肝シヌソイドへの作用を分析していました。

 さらに、ランダム化比較試験など現代医学の手法を使っての112例の肝硬変(ステージ4)患者を48周にわたって観察した結果、益気黄耆湯で肝機能を改善することもわかったようです。そこから、益気補虚作用のある生薬に、効能を高める組み合わせがあることも突き止めたようです。

 今回の研究成果のうち、肝硬変における「益気化瘀法」の治療方法は、すでに中医内科の治療ガイドラインに採用され、特許も6項目取得したとか。中国はB型肝炎の患者数やキャリア数が非常に多い国です。そのため、肝臓病にたいしても、かなり以前から中医学を科学的手段をつかっての検証がされてきています。今回の研究成果もその一環です。

 私も大学院に在籍していたころ、劉平教授の「科研思想と方法」という講座の講義を聴きました。日本留学の経験がある先生で、現代の科学的見地から中医学理論に切り込みをいれる様々な方法を提起されています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2012年04月21日

上海で増える大人と子供の睡眠・不眠の問題

 いつも東京に出張にいくと、ビックリすることがあります。
 それは、夜の10時も過ぎた頃でも、結構親に連れられた子供を見かけるのです。それも、ベビーカーにのせられた乳幼児も少なくない。
 「寝てるからいいのでは?」と言われそうですが、明らかにいい習慣ではないです。明るい状態で寝ると、体内時計を司るメラトニンの分泌に影響をもたらします。メラトニンは暗くなったら松果体から分泌されるホルモンで、明るくなると分泌がなくなり体が活発になります。この分泌リズムがおかしくなると、体内の他のホルモンバランスにも影響が出てくるのは容易に想像がつきます。

 子供の睡眠の問題は、上海でも大きな社会問題として取りあげられています。先日、中国の国家科技進歩奨の2等奨をとった研究で、『睡眠の子供の成長に対する影響とその応用』というのがありました。勉強などの負担が重い中国の子供たちにとって、睡眠時間の確保が大きな問題で、中国では近年、睡眠時間の不足は、子供の肥満や多動症の原因となっているということです。それによると、乳幼児の睡眠は、時間的に不足していないものの、睡眠のしかたに問題があるとしています。さらに、学校に行くようになると、小中学生の70%に睡眠不足の問題があり、その原因はやはり宿題だとしています。子供に食欲がなかったり、精神的に集中できなかったり、肥満気味であったりするのなら、睡眠をもういちど見直す必要があるようです。まとまったお昼寝は5歳ごろぐらいまでは必要ですが、それ以降は、45分程度の短い昼寝で十分で、それ以上になると、子供でも夜の睡眠の影響を与えることになるようです。

 一方で、成人の睡眠の問題も、上海ではあまり芳しくありません。上海市中医睡眠疾病研究所の疫学的調査によると、市内の5箇所の住宅地の20000人を調査したところ、何らかの不眠の症状を抱えている人が38.2%にも達したと言うことです。とくに女性の不眠は男性よりも多く、その数は1.5倍になるということです。
 また、夜更かしも不眠の原因になるようで、成人が半年間毎日6.5時間の睡眠を保つことができなければ、不眠となる可能性が高まり、週末と平日の睡眠時間の長さの違いも、1時間以内にする必要があるということです。
 疲労感をうまく取り除く睡眠は、まずは10時〜12時の間には寝ること。大人が一番眠りに入りやすい時間です。これ以降に寝る習慣をつけてしまうと、眠りが浅かったり、起きたときの疲労感が出やすいので、不眠にもなりやすいのだそうです。

 部屋を暗くして、決められた時間にはさっさと寝る。これが健康には欠かせないですよね。

 
posted by 藤田 康介 at 17:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情

2012年04月20日

膵臓癌の治療、中医学でなにができるのか

 前回、東京医科歯科大学で開催された統合医療学会国際シンポジウムでも講演された復旦大学附属腫瘤医院の劉魯明教授らのグループが10年来研究している中医学と西洋医学を併用した治療方法が、2011年度の中国中西医結合学会の科学技術奨の1等を獲得しました。

 膵臓癌といえば、5年生存率が2〜5%程度と低く、3年以上生存したというケースも非常に少ないのが現実です。Apple社のスティーブ・ジョブズもこの膵臓癌で亡くなりました。そのため、中国では以前から西洋医学の治療法に、中医学を併用するやり方が使われています。

 今回の研究のポイントでは、従来の症状から分析する弁証論治的なアプローチから、まずは弁病を行ってから弁証をおこなうという、近年中国でよく行われている治療方法の検証とも言えます。膵臓癌の場合、AJCC分類を活用し、早期(T/U期)の場合は、手術を最優先し、術後に中医薬を導入し、中期(V期)で、手術では切断できない場合は、胆嚢空腸吻合術を行って黄疸対策を行いつつ、中医薬の導入し、末期(W期)では、中医薬をメインにして、場合によっては化学療法を組み合わせるというものです。

 膵臓癌に関しての中医学アプローチは、これまでは「脾虚気滞」で考えれていましたが、劉魯明教授らのグループは、「湿熱蘊結」がその核心となる病因病機であり、そこで清熱解毒・化湿散積法の処方を研究の対象にしました。すでに、「清胰化積方」という処方が開発され、膵臓癌を治療するときの基本処方として活用されてきました。生薬の構成は、白花蛇舌草・半枝蓮・蛇六谷・絞股蘭・白豆蔲となっています。臨床では、この処方の後ろに、患者の症状にあわせて加減していくことになります。これが、ある意味近年の中国でよく行われている弁証と弁病の結合の処方方法ですね。

 これまで、1500例を対象にした臨床研究では、1年後の生存率が25%、3年後が14.1%、5年後では8.4%となっていて、中位数は7.6ヶ月となりました。また清胰化積方をつかった治療グループ64例のうち、7例が生存5年を越えており、最長で106ヶ月生存できたという報告でした。末期膵臓癌の5年生存率が、少しでも高められたことに評価を受けたとのことです。

 いずれにしろ、今後の研究成果が期待されます。
posted by 藤田 康介 at 07:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2012年04月19日

4月20日は二十四節気の「穀雨」、種まきのシーズンです

0419.jpg

 4月20日は旧暦の3月30日。二十四節気では穀雨になります。あっという間に、春の最後の節気になってしまいました。これで、寒さはほぼなくなることになります。

 つい先日、私も上海郊外の崇明島に行ってきましたが、農民達は畑に出て大忙しでした。(写真)

 気温が安定的に上昇し、雨が多くなり、農家では種まきのシーズンです。お茶摘みのシーズンでもあります。昔の人たちがこの時期のお茶を重視したのも、やはりこの時期の新茶は栄養価が高いと言うことも関係があるかも。

 このように気温が暖かくなってくると、「上火」と呼ばれる症状が出やすくなります。咽の調子が良くなかったり、顔にニキビなどが出やすくなります。(中医学での上火については、
中国語でよく耳にする「上火」という言葉
をご覧ください。)さらに、雨が増えてくると、湿邪が身体に入りやすくなり、関節が痛くなったり、身体や頭が重く感じたりします。

よって、食べ物は冬の時と違って薄味重視とし、揚げ物など油っぽいもの、味の濃い物は避ける必要があります。

 今年は、5月5日になると立夏です。ああ、上海の猛暑が刻々と近づいていますね。恐ろしや。
posted by 藤田 康介 at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2012年04月18日

中国の単味エキス剤

 いろいろ検討を重ねた結果、うちの中医クリニックでも4月からエキス剤を導入しています。これで、伝統的な煎じ薬に加えて、また新たに選択肢が増え、応用範囲が広がることになりました。日本では、葛根湯や柴苓湯など処方として複合処方のエキス剤が使われますが、中国ではもっぱら単味のエキス剤です。
 例えば、葛根湯だと葛根・麻黄・大棗・桂枝・芍薬・生姜・甘草のそれぞれのエキス剤を混ぜて組み立てて使います。病院によっては、それぞれの薬を別々の小袋に梱包して出すところもありますが、うちのクリニックでは薬剤師が調剤してから1回分を一つの袋に詰めて出す方法にしました。薬剤師の手間が増えますが、服用は明らかにラクになります。

04121.jpg

 服用方法は、沸騰したお湯250ミリリットルに一袋を入れてしっかりとかき混ぜます。私も幾度となく実験しましたが、30秒〜1分程度で混じります。

04123.jpg

04124.jpg

 この方法だと、お湯さえあれば服用できるので、今までみたいに液体の煎じ薬を持ち歩く必要がありません。また、中国のエキス剤の特徴は、味もニオイも煎じ薬に近いものを再現できるという点です。溶かしたあとの色もなんとなくそれに近い。(厳密には違うでしょうけど。)そのため、煎じ薬を服用していた人も違和感があまりないと思います。この点は大きい。さらに、出張に持っていくときや郵送も飛躍的に便利になります。今まで、クリニックでは伝統的な丸薬も作っていましたが、この製造にもエキス剤は活用でき、メリットは大きいかと思います。

 エキス剤は、品質が安定しているという点でもメリットがあります。中国ではすでにいくつかの単味エキス剤のメーカーが出てきていますが、うちが使っているのは天江薬業のもので、江蘇省江陰に大きな工場があります。一時、薬が溶けにくいと不評でしたが、その後改善されて私自身のテストでもかなり飲みやすくなりました。写真は、2008年に工場見学にいったときのものです。江蘇省も産業として力をいれていて、このときは社長自らが案内して下さいました。(余談ですが、江陰はフグでも有名です。)
 伝統的な煎じ薬とコスト面で比較してもあまり変わらないというのも中国の単味エキス剤の強みだと思います。また、薬を煎じる時に注意する必要がある包煎・先煎じ・後煎じや頓服なども簡単に実現してしまいます。使用方法も内服以外に、外用や灌腸なども可能です。

04168.jpg

 私が上海中医薬大学付属竜華医院でネフローゼの研究をしていたときも、処方の均一性を図るために、ここのエキス剤を使いました。実験をするときはかなり使いやすい。その頃から、中国の中医病院でも中医薬局にエキス製剤のブースを設置することが徐々に普及してきました。おかげで中医薬局も整理整頓され、かなりスマートになってきました。

0412.jpg

 とはいえ、煎じ薬には煎じ薬そのものの良さがあります。伝統的な服用方法にもメリットがあり、私自身はこれからも両方をうまく組み合わせて処方していきたいと思っています。

 世の中がいくら発展してきても、煎じ薬そのものはなくならないと思います。
 
 

 
posted by 藤田 康介 at 08:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年04月17日

痩せていても脂肪肝に注意を

 中医学の養生では、春は肝関係があるという話題をしますが、それ以上に気にして頂きたいのが西洋医学の脂肪肝の問題です。
 中国の食生活から十分に予想がつくかと思いますが、ここ20年来、上海では脂肪肝が増えています。

 中国に駐在にきている日本人も、数年後には体重が増えてしまって健康診断で脂肪肝と言われている方を多く発見します。比較的、中医学や漢方医学が改善に力を発揮できる分野でもありますが、その根本を治すにはやはり自分自身の生活を見直すことが最も大切です。薬を飲めば治せるというほど簡単ではありません。

 以前の中華料理と違って、今の外食での中華料理は、脂肪と動物性タンパク質のかたまりです。さらに、夜までカラオケなど不規則な生活も影響を与えています。決定的なのは運動している人が少ない。生活習慣を改善させず、脂肪肝を放っておくと、肝細胞が損傷し、肝臓の繊維化がはじまり、場合によっては肝硬変や肝臓癌に発展する可能性があります。

 現在、中国全体では、脂肪肝の発生率は30%前後といわれていますが、サラリーマンやOLなど、いわゆる「ホワイトカラー」になると、50%前後にまで上昇するようです。また、アルコールの過剰摂取によるアルコール性脂肪肝は、脂肪肝患者の6%前後占めると考えられています。また、アルコール性肝炎や肝硬変の70%以上は、脂肪肝があるといわれています。

 こうした脂肪肝の大部分は、食べ過ぎや運動不足、さらに体重の増加などが原因で、いわゆるメタボ的なアプローチとなりますが、近年時々見かけるのは、過剰なダイエットによる脂肪肝です。どんな方法であっても、急速で無理なダイエットは控えるべきなのですが、過度なダイエットは、一時的に体に栄養不良状態をもたらし、血液中の遊離脂肪酸が増加、これが肝臓に運ばれて脂肪肝になるというものです。

 肥満などが原因の単純性脂肪肝なら、食べ物を節制して禁酒し、毎日8000〜10000歩の運動をすれば半年〜1年で自然に治ることが多いといわれています。しかし、重度の脂肪肝の場合はそうは行かないので、病院で治療を受けて下さい。特に、体がだるいとか、お腹に膨満感がある場合は、エコーを受けてみて下さい。

 また、日々接待漬けで苦しんでいる方も、とにかく飲む量・食べる量は腹7分目にして、食べ過ぎないことは非常に大切です。
posted by 藤田 康介 at 06:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情

2012年04月16日

中国南方で手足口病が増加傾向、発疹以外の症状にも注意を

0417011.jpg

 中国衛生部では、天気が暖かくなるにつれて、子供の手足口病の患者が増えてきているとして注意するように呼びかけています。また広東省では、重篤患者の死亡例も出始めています。広東省の場合、2012年に入っての手足口病の報告症例数は3万例で、前年よりも明らかに多い状態です。また、重篤患者に関しては、手足に発疹がでる典型的な症状がはっきりしないこともあり、医療関係者や父兄に注意を呼びかけています。

 手足口病は一般的に、7歳以下の子供に多いのですが、重篤化しやすいのは3歳以下の場合で、5日間ほど発熱が続き、元気がなく、嘔吐や手足の震えに冷え・痙攣を伴うなど神経性の症状が出てきたら、必ず専門の病院で診察を受ける必要があります。発疹以外でも手足口病の重要な症状になることがあります。手足口病のウイルスは、複数の腸のウイルスによるものですが、その中でも今年はエンテロウイルス71型(EV71型)が多く、これが中継神経系合併症を起こしやすく、神経原性肺水腫や肺出血などの症状を引き起こし、重篤な場合は死亡してしまうということです。

 一般に、手足口病は2〜3年に一度のピークがあり、2008年と2010年に中国で大流行しました。2008年は、私は復旦大学附属児科医院で研究していましたが、患者さんが外来の待合室に入りきらず、道路まで行列ができていたのを覚えています。大部分の手足口病は軽く済むとはいえ、決して侮れない病気でもあるのです。

 手足口病の流行は、春と秋にありますが、特に5〜8月は中国では多く発生しており、より注意が必要です。また、今年は春先雨が多かったため、ウイルスが増殖しやすい環境がそろっていたとも言われています。さらに、子供に発病しやすいのですが、親がキャリアになっている場合もあり、親子共に予防に励む必要があります。

 人混みにあまり行かない、手洗いをしっかりとする、部屋の通気性をよくするなどが基本事項ですが予防には非常に重要です。
posted by 藤田 康介 at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年04月15日

『2012年度版B型インフルエンザ中医薬予防・治療案』にみる国家中医薬管理局の処方

 インフルエンザの治療で、中医学や漢方が有効であるという報道は国内外で少なくないですが、中国の国家中医薬管理局では、管理局政司組織局突発公共事件中医薬応急専門家委員会が、2012年度版の中医学によるインフルエンザ対策の処方を発表しました。

 2012年に入って、中国各地でインフルエンザ患者が増加傾向にあり、そのウイルスの大部分がB型であるというところから、今回の処方が考えられたとのことです。

 基本処方は、荊芥10g 蘇葉10g 羌活10g 黄芩10g 連翹15g 炒梔子10g 牛房子10g 桔梗6g 杏仁10g 芦根15g 生甘草5gとなっています。治法は解表宣肺・清熱透邪・止咳利咽。

 加減法は、頭痛があれば白芷、喉の痛みは錦灯籠、舌苔厚膩は生薏苡仁・佩蘭、高熱が3〜4日続く場合は石膏・知母、便秘の場合は虎杖、咳と痰があれば魚腥草・金蕎麦、胸悶時は蘇梗、といった組み合わせとなっています。

 中成薬として挙げられていたのが、疏風解毒膠嚢、連花清瘟膠嚢(連花清瘟顆粒)でした。
 
 注射剤は、柴胡注射剤・喜炎平注射剤・苦碟子注射液・熱毒寧注射剤・痰熱清注射剤。

 予防処方としては、桑葉6g、蘇葉6g、芦根15g、生甘草3gを煎じ薬として服用とありました。

 この連花清瘟膠嚢は、2011年の中国衛生部が示した『流行性感冒の診断と治療指南(ガイドライン)』にも収録されています。麻杏石甘湯と銀翹散をベースにしたもので、インフルエンザだけでなく、SARSをはじめ、手足口病など各種ウイルスの治療に効果があるとされています。効能は清瘟解毒・宣肺瀉熱で、咽の痛み・頭痛・体の節々の痛み・疲労感・発熱などの諸症状に使われます。

 インフルエンザの予防では、手洗い・うがいのほかに、天気の変化にあわせて衣類を加減し、食べ物は薄味をこころがけ、部屋の通気性をよくするなどが注意点としてあげられていました。
posted by 藤田 康介 at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年04月06日

中国国家食品薬品監管局による中薬製剤「雷公藤製剤」の副作用警告

 2012年4月4日に、中国国家食品薬品監管局が第46期『薬品不良反応信息通報』を出し、生薬製剤で慢性関節リウマチやネフローゼの治療で、免疫抑制剤として広く使われている「雷公藤製剤」について、使用を注意するように警告を出しています。

 雷公藤は、生薬そのものよりも、中成薬として製品化されたものを使い、抗リウマチ剤や尿蛋白の治療で使われることが多いが、以前から副作用の指摘があり、我々中国の臨床医の間でも、慎重に使われるべき中成薬として扱われています。中医学的には袪風除湿・活血通絡・消腫止痛作用があります。もともとは毒草として有名な薬草でした。

 今回の通報は、以前から中国国内でも指摘のあった内容だったですが、連続的に服用すると、肝・腎機能、生殖機能、血液系を損傷する可能性あるので、医師の指示に従って正しく服用するようにと呼びかけています。服用時は少量からスタートし、連続3ヶ月以上は服用しないようにし、服用中は血液検査・尿検査を定期的に行い、心電図や肝・腎機能のチェックを強化するようにとしています。

 一方で、肝・腎機能に問題がある場合、重度な貧血や白血球・血小板の値が低い場合、胃・十二指腸潰瘍の活動期や、不整脈があるときも使用禁止としています。

 雷公藤製剤として中国国内で発売されているのは、雷公藤片や雷公藤双層片、雷公藤多苷片など多数あります。臨床では、西洋医学の免疫抑制剤的な使われ方をすることが多いです。
posted by 藤田 康介 at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年04月05日

中国語でよく耳にする「上火」という言葉

 中国での日常生活で、何気なく使われている中医学の用語に、「上火」という言葉があります。一般的に、天気が暑くなってくると、喉が渇いたり、口の中が苦く感じたり、口が臭く感じたり、さらに口内炎なんかの症状もこの言葉の中に含まれます。そのほか、気候と関係がなくても、若者は「上火」になりやすいですし、女性と男性なら、やはり男性のほうが「上火」になりやすい傾向にあります。そして、それの対応策として、「清火」という言葉もあります。食べ物で火を冷ます方法や、場合によっては生薬を使ったりします。

 五臓六腑の観点から行くと、よく「上火」が出てくる臓腑というのがあります。

 例えば、胃だったら、お酒の飲み過ぎ、甘いものや味の濃いもの、辛いもののの食べ過ぎは上火となり、便秘や口の渇き、腹痛や歯茎の痛みになどになります。この場合、牛肉や羊肉など熱性が強い食材はさけ、野菜中心にして、薬膳なら緑豆などを食材として使いますし、生薬では石膏や黄連といった胃の火を取り去るモノを使います。イライラしたときに出やすい肝の火は、情緒と密接に関係がありますし、それは頭痛や目の腫れなどとも関係があります。中医学では、菊花や夏枯草なんかも使います。不眠や舌の先の痛み、色の濃い尿などの症状は、心火となるので、蓮子芯や黄連を使います。乾燥した気候とも関係ある肺火の場合なら、喉の痛みや咳、高熱、血の混じる痰などの症状がみられ、やはり冷やし系の生薬・食べ物を使います。白キクラゲ・大根・梨・リンゴ・百合根なんかが代表選手です。生薬では桑白皮やドクダミ、黄芩なんかをよく使います。

 ここから分かることは、「上火」とは、決して実際の火が出ているわけではなく、ある種の症状を、体内に火が出ている状態だとまとめて解釈している点です。日常生活の中でも、比較的実感できやすい現象ではないかと思います。

 中医学(漢方でも)では、複雑な症状を分かりやすく分析するために、様々な分類がされていて、そこから治療のプロセスが考え出されるのです。
posted by 藤田 康介 at 07:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力

2012年04月04日

乾燥系痰咳に使えるダイコン飴(萝卜糖汁)を作ってみて

04049.jpg 

ちょうど清明節連休の1日目に風邪を引いてしまい、熱を出してしまった娘。熱は1日で収まったのですが、咳が残ってしまい、夜も咳で苦しそうだったので、今回はダイコン飴(萝卜糖汁)を作ってみることにしました。

 作り方は簡単で、普通のダイコン(白いダイコン)に、水飴か氷砂糖をいれて24時間ほど浸けておきます。割合は、大根500グラムに対して、水飴が20CC程度。今日は、我が家に水飴がなかったので、氷砂糖約100グラムで代用しました。

 ここで使える大根は、辛ければ辛い方がよいとされていますが、味は出てくるシロップへの影響はそれほどありません。大根を1〜2センチ四方に切って、氷砂糖としっかりと混ぜると、1時間もすれば汁がどんどんと出てきます。

 大根は、中医学や漢方の世界では萊菔と呼び、その種の莱服子は生薬としてよく使います。種は消食降気化痰の作用があるのですが、大根そのものも気の巡りを整えて、痰をとる働きがあります。特に、春先は空気も乾燥しているので、燥邪による風邪がよく見受けられます。そんなときに、簡単に家でもできる方法ですので、ぜひ試してみてください。氷砂糖や水飴は、ここでは甘さをつけるだけでなく、肺を潤す働きがあるといわれています。よって、燥邪+痰系の慢性気管支炎にも使えます。

 ダイコン飴は、私も子供の頃に親が作ってくれたことを覚えています。まさに、中医学・漢方的なアプローチができる食療だったのです。

 味も非常にマイルドなので、子供でも気軽に服用できます。
posted by 藤田 康介 at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界

2012年04月03日

季刊『中医臨床』2012年3月号 巻頭特集と連載

041835.jpg

 2012年3月号の『中医臨床』では、連載の第10回では「未病を治す中医学」では、「市民のための中医養生はどこにいく」をテーマに書きました。近年、上海の街中であふれている美容・エステですが、そこでは本来は使用禁止の「中医学」など医学用語が使われていたり、実際に鍼灸治療をおこなったりすることなどが問題になっていて、当局も取締に入りました。どこまでが医療機関の範囲で、どこまでが一般の施設ができるのか、その区別は中国の法律でも決められています。

041835.jpg

 また、3月号の特集として、「文化としての中医学」が取りあげられていましたが、ここでは「上海で体感する中医学」ということで書きました。上海中医博物館以外にも、上海やその周辺で体験できる本物の文化としての中医学施設はいろいろあります。私の上海生活17年の経験から、いろいろご紹介させていただきました。薬膳やお茶だけが中医学の文化ではありません。
posted by 藤田 康介 at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年04月02日

上海日本人学校虹橋校PTA便り「プラタナス」

041855.jpg

 2011年11月29日に、上海日本人学校虹橋校で、PTAを対象とした文化講演会でお話しましたが、そのときの様子がPTA便り「プラタナス」に掲載されていました。

 子供の患者さんから、「先生、のっていたよ!」と言われると、わたしも思わずニコニコしてしまいました。
posted by 藤田 康介 at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2012年04月01日

『健康医学』3月号 Vol.801 「中国の大気汚染とアレルギー問題」

04182.jpg

 連載している『健康医学』の3月号は、「中国の大気汚染とアレルギー問題」について触れてみました。日本でスギ・ヒノキなどの花粉症があっても、中国では症状亜でないことが多いですが、花粉症などのアレルギーは、スギ・ヒノキに限ったことではありません。また、最近では重金属を含み、光化学スモッグとも関係があるPM2.5問題が、上海でも取りあげられるようになりました。こうした大気汚染の問題も、アレルギー反応と深く関係があります。中国ではこちらの方が深刻でしょう。

 鼻炎に関しては、中国でも古代から問題視されていて、なんと西周の時代から中医学の本に登場しています。気候や季節とも密接に関係しており、さまざまな治療法が考えられてきました。アトピー性皮膚炎も、中医学ではまた違ったとらえ方をしています。
posted by 藤田 康介 at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動