2012年03月26日

上海で末期癌患者への緩和ケア病棟設立へ

 中国語の「舒缓疗护」という言葉。

 日本語で言うホスピス(緩和)ケアのことです。患者さん自身の選択で、最期の時を少しでも快適に過ごすためにサポートすることなのですが、やっと上海でも本格的に取り組むことになりました。それも、大学の付属病院など大病院ではなく、プライマリーケアを目的とする、社区衛生サービスセンターに設置されるというのは、かなり本格的な取り組みの始まりと言えるでしょう。

 上海では、年間3.6万人が癌で亡くなっています。このうち、70%が自宅での養療を必要としているなか、そうした末期癌患者への在宅サポートが必要とされています。

 社区衛生サービスセンターは、日本で言うと町医者的な存在で、各地区に設定されていて、ちょっとした疾患の診察をしてもらうのには便利です。今回、上海市内18箇所の社区衛生サービスセンターに緩和ケア病棟を設置して、末期癌患者のケアにあたるというものです。上海では、すでに17年前から閘北区や楊浦区で試験的に設置されていて、様々な試みが行われてきました。例えば、自宅にいる末期癌患者に対しての訪問診療は無料で設定されていて、鎮痛剤も無料です。こうしたサポートを受けながら、2008年から2011年にかけて、925人が在宅での緩和ケアを受けることができたとしています。

 新たに設置される緩和ケア病棟は、1施設あたり10床で、上海市内で18箇所設置される予定です。上海市政府・区政府のほかに、上海市自然基金会や赤十字からの財政的援助もあり、緩和ケア病棟に入院した患者には赤十字から月2000元の補助、在宅治療を行っている場合は、月1000元の補助が出され、鎮痛剤は無料という仕組みが導入されます。また、そのための病院の改装や人員のトレーニングも行われ、2012年度中には患者を受け入れられるようにするということです。

 中国の場合、西洋医学と対等の地位に伝統医学である中医学もあります。病院にはごく普通に中医科があるので、おそらく緩和ケアでもごく普通に中医学が受け入れられると思います。なにか中国ならではのやり方が生まれるのではないかと、少し期待したいと思っています。
posted by 藤田 康介 at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情