中国語の「舒缓疗护」という言葉。
日本語で言うホスピス(緩和)ケアのことです。患者さん自身の選択で、最期の時を少しでも快適に過ごすためにサポートすることなのですが、やっと上海でも本格的に取り組むことになりました。それも、大学の付属病院など大病院ではなく、プライマリーケアを目的とする、社区衛生サービスセンターに設置されるというのは、かなり本格的な取り組みの始まりと言えるでしょう。
上海では、年間3.6万人が癌で亡くなっています。このうち、70%が自宅での養療を必要としているなか、そうした末期癌患者への在宅サポートが必要とされています。
社区衛生サービスセンターは、日本で言うと町医者的な存在で、各地区に設定されていて、ちょっとした疾患の診察をしてもらうのには便利です。今回、上海市内18箇所の社区衛生サービスセンターに緩和ケア病棟を設置して、末期癌患者のケアにあたるというものです。上海では、すでに17年前から閘北区や楊浦区で試験的に設置されていて、様々な試みが行われてきました。例えば、自宅にいる末期癌患者に対しての訪問診療は無料で設定されていて、鎮痛剤も無料です。こうしたサポートを受けながら、2008年から2011年にかけて、925人が在宅での緩和ケアを受けることができたとしています。
新たに設置される緩和ケア病棟は、1施設あたり10床で、上海市内で18箇所設置される予定です。上海市政府・区政府のほかに、上海市自然基金会や赤十字からの財政的援助もあり、緩和ケア病棟に入院した患者には赤十字から月2000元の補助、在宅治療を行っている場合は、月1000元の補助が出され、鎮痛剤は無料という仕組みが導入されます。また、そのための病院の改装や人員のトレーニングも行われ、2012年度中には患者を受け入れられるようにするということです。
中国の場合、西洋医学と対等の地位に伝統医学である中医学もあります。病院にはごく普通に中医科があるので、おそらく緩和ケアでもごく普通に中医学が受け入れられると思います。なにか中国ならではのやり方が生まれるのではないかと、少し期待したいと思っています。
2012年03月26日
2012年03月24日
WHOのICD-11改定への中医学の動き
WHOがICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)のICD-11への改定作業を行っていますが、今回からは伝統医学の国際疾病分類が加わることになり、各国が制定作業を行ってきていました。近日、この分野に関しては、中国の報道ではついに初版ができたようで、伝統医学の標準化に関して、大きく前進することになるかと思います。
これまで使われてきたICD−10では、西洋医学の名称と定義、さらにコード名しか定められていませんでした。2008年にWHOがICD−11の制定作業を始めるにあたって、伝統医学も含まれることになり、日本・中国・韓国を中心に、中医学を起源とする伝統医学をもつ国々で作業が行われてきました。中国サイドでは、中国国家中医薬管理局が上海市中医薬発展弁公室に作業を委託され、中国全国の中医学の専門家が関わってきました。
こちらの報道では、日本漢方や韓医学の特徴も踏まえながら、中医学の理論体系をICDの要求にあわせて制定作業を行ったとされており、140の中医学でよくみられる疾患と253タイプの典型的な証に整理し、WHOに提出したと言うことです。
どういう過程で制定されてきたかは私は詳しくは分かりませんが、いずれにしろICDに整理されたことは、意義有ることだとはおもいます。
これまで使われてきたICD−10では、西洋医学の名称と定義、さらにコード名しか定められていませんでした。2008年にWHOがICD−11の制定作業を始めるにあたって、伝統医学も含まれることになり、日本・中国・韓国を中心に、中医学を起源とする伝統医学をもつ国々で作業が行われてきました。中国サイドでは、中国国家中医薬管理局が上海市中医薬発展弁公室に作業を委託され、中国全国の中医学の専門家が関わってきました。
こちらの報道では、日本漢方や韓医学の特徴も踏まえながら、中医学の理論体系をICDの要求にあわせて制定作業を行ったとされており、140の中医学でよくみられる疾患と253タイプの典型的な証に整理し、WHOに提出したと言うことです。
どういう過程で制定されてきたかは私は詳しくは分かりませんが、いずれにしろICDに整理されたことは、意義有ることだとはおもいます。
2012年03月23日
2月の上海での法定伝染病、トップは手足口病でした
上海では、日系の幼稚園や学校は春休みに入りましたが、春休みの直前までインフルエンザが流行していた幼稚園や学校があったようです。 最近、上海市衛生局が発表した、2月1日〜29日までの上海市で報告された法定伝染病の症例数は5000例で、このうち死亡例が6例だったようですが、トップは手足口病で、続いてインフルエンザ、おたふくかぜ、と続き、この3つだけで中国での丙類法定伝染病の約95%を占めたようです。やはり、手足口病が増加傾向にあるみたいですね。
衛生局は、3月は呼吸器疾患が多く、ウイルス性の肝炎にも注意する必要があります。特に、上海では貝類の摂取には気をつける必要があります。(個人的には汚染が気になるので、貝類は上海では食べません。)インフルエンザも、A型とB型両方に感染した子供も少なくありません。
また、部屋の換気にも気をつけるようにしていください。中国の人たちが、寒くてもやたらを窓をあける習慣があるのも、そのあたりと関係があります。
上海市衛生局では、3月から麻疹ワクチンの追加接種を行っています。とくに、上海にやってきた地方からの外来人口で、8ヶ月から16歳の子供を中心に、麻疹の発生率が高い地区を中心に接種を行っていると言うことです。
衛生局は、3月は呼吸器疾患が多く、ウイルス性の肝炎にも注意する必要があります。特に、上海では貝類の摂取には気をつける必要があります。(個人的には汚染が気になるので、貝類は上海では食べません。)インフルエンザも、A型とB型両方に感染した子供も少なくありません。
また、部屋の換気にも気をつけるようにしていください。中国の人たちが、寒くてもやたらを窓をあける習慣があるのも、そのあたりと関係があります。
上海市衛生局では、3月から麻疹ワクチンの追加接種を行っています。とくに、上海にやってきた地方からの外来人口で、8ヶ月から16歳の子供を中心に、麻疹の発生率が高い地区を中心に接種を行っていると言うことです。
2012年03月05日
日本温泉学会 第16回島根・奥出雲大会 シンポジウム

3月5日〜6日に開催された、温泉学会第16回島根・奥出雲大会のシンポジウムにパネリストとしてお話してきました。シンポジウムのテーマは、「温泉と健康・長寿 〜天然の恵みを生かしたい〜」で、コーディネーターは温泉学会理事の松田十泊先生、パネリストには私のほかに、堀 泰典先生(昭和大学医学部 客員教授)、宇田川和義先生(奥出雲多根自然博物館副理事長)、大川哲治先生(温泉学会 副会長)が参加されました。会場は、奥出雲町のカルチャープラザ仁多で、200名を越える出席者がありました。
私は、中医学のおける温泉の役割についてお話しました。伝統医学では、継承することを大切にしますが、日本の温泉でも同じことが言えます。この奥出雲地方でも、温泉を飲用したり、外用したりすることで、昔の人たちは沢山の病気を治してきました。しかし、そうした経験がうまく伝わってきていないという現実があり、非常に残念な話です。
島根県の奥出雲地方は、全国でも有数の長寿エリアです。こうしたお年寄りの智恵を、ぜひ継承していただき、新しい温泉の活用方法を見つけていきたいと思いました。