2011年10月15日

「白露身不露、寒露足不露出」

 先日、この時期にしては珍しくかなりしっかりと雷がなり、すっかり気温が下がってしまった上海です。
 
 うちの家には、時々義母、義父が子守の救援に来てくれるのですが、そんなとき、中国ならではの生活習慣をいろいろ教えてもらい、私も中医学的内容と組み合わせて考えると、興味深いことが多いです。

 そんな中、最近、とくに娘へ「靴下をはきなさい!」と言っています。上海人の妻もそうですが、特に足の冷えには敏感で、私のようによく裸足でぺたぺた歩いているのは信じられないらしい。

 よく中国の民間で言われている言葉に、「白露身不露、寒露足不露出」という言葉があります。「暦の上で、白露になると、夏場によく見かける上半身裸はやめなさい、寒露になるとはだしをやめなさい」という意味です。中医学でも、寒邪は、足の裏から身体を襲ってくるといった表現がありますが、なにより足裏は心臓から最も遠い位置にあるので、血液の循環が悪く、脂肪も少ないので寒さの刺激を受けやすいはずです。

 さらに、足裏が冷えると、呼吸器の粘膜にある毛細血管が収縮し、気道の内側の繊毛運動が弱くなり、風邪を引きやすくなるという研究もあります。抵抗力を高めるためにも、やはり足は温めた方がいいのでしょね。

 中国ではこれから足湯をする人が増えます。冷え性の人に限らず、下半身の保温は、しっかりとしておきたいところですね。
posted by 藤田 康介 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2011年10月12日

「電脳中医学」実用化へチャレンジ

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 2010年に開催された上海万博で一般公開された「中医四診儀」が話題を集めましたが、上海市浦東新区の上鋼社区衛生サービスセンター(末端医療を担当する病院)に導入され、地域の患者を対象に使用がはじまっています。10月11日付けの上海紙『東方早報』が報道しています。

 この「中医四診儀」は、上海中医薬大学と上海道生医療科技有限公司が共同開発してもので、中医学の専門家たちの経験を集め、脈診・舌診・問診・面診などのデーターが整理されていて、パソコンを使って分析する仕組みです。その後、中医弁証や中医学的な体質の分析などが行われ、臨床医に対して参考情報を提供するということです。舌や顔色はデジタル技術を応用した画像診断で、また脈診はセンサーを使って患者の情報を収集します。脈診だけでも、浮、中、沈など20種類を弁別できるということです。

 問診なども含めると、1人の患者に費やす時間は約20分程度。最後に、患者に体質の状況や、養生方法などがプリントアウトされます。

 上鋼社区衛生サービスセンターでは、この器機をつかって、管轄地区2万人の65歳以上の高齢者の健康診断に使いたいと考えており、将来は年1回の中医学的健康診断の中核になるようです。ただ、今のところ1台しかなく、1人20分では年間4000人ほどしか検査を受けることができないため、他地区の住民は受け入れていないということです。

 上海浦東新区衛生局中医科教処では今後浦東新区でこの「中医四診儀」を普及させていきたい考えで、中医学の新しい活用方法として注目が集まっています。

 ただ、器械で1人20分かかるのなら、実際に医師が診察しても同程度の時間がかかると思いますが、より誤差の少ない中医学的データを取るのには、便利かもしれません。
posted by 藤田 康介 at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の魅力

2011年10月08日

2011年10月8日は「寒露」

 先日9月8日「白露」を迎えたと思ったら、あっという間に「寒露」になってしまいました。文字通り上海の気候もすっかり寒くなり。。。と言いたいところですが、このあたりではまだまだ日中は汗ばむ陽気です。

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 この時期、時々雨の天気もありますが、気候は総じて乾燥です。中医学で言う「燥邪」の季節です。また、乾燥しているのでウイルスや細菌も繁殖しやすく、呼吸器疾患や下痢などが増えます。折しも、日本ではRSウイルスが流行っているようです。以前、「秋凍」でも紹介しましたが、そのために部屋の換気をよくして、多少寒くても我慢できる身体作りが必要です。

 白露のころに比べると、明らかに露の量が増え、さらに寒さが増すと、やがて霜になっていきます。まさに、秋本番と言える時期です。
 先日の江西省の旅でも見つけましたが、まさに大豆の収穫時期です。レンコンなども収穫され始めます。まるまる肥えた淡水魚も、今が食べ時。上海蟹の便りも聞かれるようになりました。

 秋も深まってくると、潤す生薬を使うことが多くなります。薬膳の世界で同じで、食卓には秋の味覚が並びます。一方で、乾燥を助長する生姜やネギ、ニンニク、唐辛子類は控えめにしたいところです。

 蜂蜜や胡麻、胡桃、クリ、モチ米、棗などがお勧め。そろそろ、家鴨や鶏、牛肉類もいいかもしれません。多少胃腸に負担にならない程度にこってり気味のものがいいといわれています。

 よく知られていますが、身体を冷やす上海蟹を食べるときは、紫蘇や生姜など身体を温めるものを忘れずに。日本人が刺身や鮓を食べるときと同じ感覚です。
posted by 藤田 康介 at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想