2011年08月27日

柴胡陥胸湯が効果的だった胃脘痛

 先日、7月初旬頃から胃脘部の不調を訴え、さらに中旬になると腹部膨満感が出てきて、食欲不振となった40代の女性がこられました。日頃、上海でお仕事をされています。

 とくに、米飯を食べると膨満感が著しくなり、麺類を主食とすると大丈夫だとか。鍼灸治療なども行っていて、一旦は症状がおさまり、他院では慢性胃炎と診断されていました。7月下旬になり、再び胃脘部に膨満感と痛みがあり、腹診を行うと、明らかに心下部が堅く痛みを少し伴い、脈は右は沈緊、左は弦細、舌質淡紅苔薄黄でした。便通は良好です。

 心下痞から、黄連と半夏さらに、胸隔を通すために天花粉を使うことを考えているうちに、一瞬小柴胡湯の加減を考えましたが、この患者さんの症状に近い柴胡陥胸湯があることを思い出しました。患者さんの主訴が、胸〜胃脘部にかけての膨満感だったので、柴胡陥胸湯の桔梗や枳実が有効だったのかもしれません。

 柴胡陥胸湯はほぼ加減なしで処方し、1週間で食後の胃脘部の不調は改善、食欲が戻り、そのあと2週間で全く症状がなくなりました。

 あまりにもすっきりと効果がでてきて、薬を停める段階までこれたので、記録に残しておきました。

 【連絡】日本出張のため9月2日午後2時から9月12日午前まで休診します。
 
posted by 藤田 康介 at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2011年08月25日

子供の高熱での白虎湯

 『傷寒論』に出てくる「白虎湯」ですが、子供の高熱の治療に処方してうまく行くことがあります。

 8月にうちに来られた1歳の子供の患者さんの例。

 3日ほど前から39-40℃の発熱があり、西洋医学の大学病院で診察を受ける。血液検査の結果、ウイルス感染症の感冒ではないかという診断で、解熱剤に抗生物質さらに中成薬などが処方されていました。解熱剤を使うと37-38℃程度までに数時間はさがるのですが、また39-40℃ぐらいの発熱にもどり、これが持続してしまうということでした。

 高熱で多少動きがだるそうでしたが、それ以外はとくに元気で、食欲が落ち込む程度。ミルクを飲ませると吐き出すとのこと。ただ、喉が渇き、便は硬め、汗をたくさんかくといういことでしたが、呼吸音は特に問題ありませんでした。問診中も咳・鼻水はなし。脈は数で力あり。

 大人の高熱だったら、針をつかって瀉血法も考えるのですが、1歳の子供なので今回は白虎湯のエキスを大人の量の三分の一処方し、1日三回、3日分処方しました。また、喉もよく渇くということなので、魚腥草の煎じる前の薬草も出し、お茶代わりに服用してもらうことに。

 その後2日後ぐらいには完全に熱はさがり、咳と透明な鼻水が残りましたが、それもすぐに収まり、今は軽快しています。

 白虎湯は、石膏、粳米、知母、甘草と非常にシンプルな処方で、陽明気分熱証で使います。君薬となる石膏が最大限の力を発揮できるようにバランスが取られているところがすごいと思います。特に子供の発熱では、こうしたシンプルな処方のほうが飲みやすいですし、効果があると思います。

【連絡】日本出張のため9月2日午後2時から9月12日午前まで休診します。
posted by 藤田 康介 at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2011年08月24日

「処暑」のあとの中医学的養生

 2011年8月23日は24節気では、処暑でした。偶然かそれとも計算されたからなのか、気温は見事にさがり、昨夜はこの夏初めて夜中に起き出して窓を閉めました。正直、寒かったです。

 とはいえ、本格的な秋の到来まではまだもうすこし時間が必要で、気温的に過ごしやすくなったとはいえ、何となく猛暑の疲れから身体がだるいという方も少なくないはずです。

 真夏のころは、私も患者さんには眠れないときには無理して長く寝ようと考えなくてもいいよ、と言っていたのですが、処暑を過ぎた頃から徐々に寝る時間を延ばしてあげてもいいといわれています。やはり夜は11時前ぐらいには眠りにつきたいです。

 さらに、上海エリアでは朝夕の気温の変化が大きくなります。残暑もあり、朝は涼しいと思ったら、昼はまだまだ汗ばむ陽気となり、空気も乾燥してきます。その結果、喉がイガイガしたり、鼻が乾燥したり、また下痢が多かった夏時期と比較して、便秘の症状を訴える方も増え始めます。

 そのため、「燥邪」を呼び込むような飲食はさけ、なるべく身体を潤す、陰の力が必要です。例えば、揚げ物とか焼き肉などの焼き物をさけ、蜂蜜や胡麻などの潤しの食品を取り入れることがよく言われます。また、肺を潤す百合根を使ってみたり、お粥などもお勧めです。

 暑さでばて気味の皆さんには、やはり脾胃を養うことが基本です。上海の市場でも、小豆や蓮の実、ハトムギなどは簡単に手に入りますので、生薬薬局などで茯苓を買ってきて料理に使ってみるのもまた一興です。

 一方で、乾燥シーズンに備えて、花胡椒や肉桂、唐辛子、酒類などは量を控えたいところ。いわゆる「上火」になりやすい季節ですので、身体を潤すことを徐々に考えてきたいところですね。

 「処暑」以降は、本格的な秋到来に備えて、夏ばてから身体を回復させる絶好のチャンスだと思います。
posted by 藤田 康介 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2011年08月17日

生薬「六月雪」

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 「六月雪」」もしくは「六月霜」と呼ばれる生薬「劉寄奴」。美しい別名を持っていますね。

 夏に白い花を咲かせ、上海・浙江省・江蘇省など江南エリアで収穫される薬草で、破瘀通経・止血消腫・消食化積といった作用があり、走散止痛の性質から、中医学の婦人科でよく使われます。私の師匠も、生理痛や生理不順、さらに打ち身などの外傷でもよく使っていました。また、『本草綱目』にあるように、子供の血尿にも使えるので、腎臓内科ではよく登場します。さらに、前立腺肥大や泌尿器の結石による排尿障害にも使うこともありました。

 先日、浙江省を旅したときに、ある食堂で出されたお茶がまさに、「六月雪」でした。地元の人も、そう読んでいます。そのとき、なぜここの人たちがお茶代わりにこれを飲むのか、直ぐには反応できませんでした。実は、生薬、もう一つ忘れられやすい性質がありました。

 食積瀉痢・脘腹脹痛に対して、消食化積という効能。 

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 なるほど!食堂のおばちゃんに劉寄奴の乾燥した薬草を見せてもらったのですが、結構いい香りがするのです。いわゆる、醒脾開胃作用ですね。夏場の食欲増進に使えるわけです。いろいろ調べてみると、山査子や麦芽、青皮などと一緒に、もしくは単味でも使えることが分かりました。

 なかなか興味深い劉寄奴。

 こんなところで出会うとは思いもしませんでした。
posted by 藤田 康介 at 07:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2011年08月05日

上海で脳梗塞で運ばれる患者が増えています

台風の影響で、今日あたりから気温が下がると見られている上海ですが、それでも気温の高い日が続いています。

 上海疾病予防コントロールセンターによると、脳梗塞で市内の病院に運び込まれる救急患者は前年比20%の増加で、1日のべ300人に達しているとのことです。

 市当局では高齢者を中心に、エアコンの温度調節に十分気をつけるように呼びかけており、設定温度は外との温度差が7℃以上にならないようにと注意を呼びかけています。

 いまさらながですが、暑さで発汗量が多く、血液が濃縮され、血流がゆっくりになり、身体の組織が獲得できる酸素や栄養素が減少、さらにエアコンなどによる外気の温度差で、血管の収縮が過度にすすむと、血栓も出来やすくなります。
 
 三伏もやっと中日を越え、上海の暑さももう少しの我慢です。元気に乗り越えたいものですね。
posted by 藤田 康介 at 06:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情