2011年06月28日

長江デルタエリアでの重金属による土壌汚染

 福島第一原子力発電所の問題で、日本でも放射線物質による土壌汚染の問題が大きく取りあげられていますが、中国の沿海部の経済発展エリアでは、重金属汚染の問題が相変わらず深刻です。

 南京農業大学の専門家が、江蘇省南部エリア(俗に言う蘇南エリア)で、工業汚染・農薬汚染・鉱山からの汚染水廃水により、農地のカドミウム、鉛、水銀、ヒ素、クロムなどの汚染が進んでいる警鐘を鳴らしていました。

 有機農業研究所の和文竜所長は、土壌調査を行った結果から、無錫・蘇州など蘇南エリアでは本当の意味での有機農業が出来る土壌がほとんどないと訴えています。同様の状態が、同じ長江デルタエリアの浙江省でも『食品薬品安全状況調研報告』で、都市郊外の農地や水田で重金属による汚染が進んでいる実態が報告されました。

 重金属汚染は、肉眼では見ることができませんし、少しずつ蓄積され、短期間では人体への影響を確認することが難しいといわれています。さらに、中国ではムギや米など穀物に対しての重金属の研究は進められていても、野菜類に関してはまだよく分かっていないことも多いのだそうです。

 一旦、重金属による汚染が発覚すると、その農地では耕作ができなくなり、大きな損失にもなりますし、農民自身に調査を行わせること自体、コスト的にも難しいのが現状です。

 2006年の中国環境保全部の調査では、中国の農地の1割ほどで重金属による汚染が進んでおり、直接的な経済損失は200億元にも及ぶとしています。これから数年の歳月が過ぎており、中国内陸部の工業化も年々拡大しています。

 工業化による農地の汚染は、将来起こるであろう世界的な食糧危機に対して、大きな足かせになる可能性は十分に考えられると思います。かといって、有機野菜だけでは人類を養っていけないこともまた事実です。
posted by 藤田 康介 at 16:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える