2011年05月31日

きっと、なんとかなるものである

 5月も今日で最後です。

 患者さんの症状が改善され、いよいよ生薬を服用しなくてもよくなった、という瞬間は、私にとっても非常に嬉しい限りです。

 先日も、すこし鬱気味の女性で、しばらく仕事にも行けなかったのですが、やっと仕事に復帰できる状態にまで改善されました。一時は、針灸治療と生薬を一緒に使ったのですが、最終的には生薬だけになり、きっとあとしばらくしたら生薬も止めることが出来るようになる思います。
 精神的な疾患に関しては、実に様々なパターンがあり、単に弁証だけで解決できないことも少なくないのですが、中医学や漢方では確かに効果が出せる分野ではないかと思います。私も16年間上海におります。大学の学部を卒業してもう10年になりました。私の上海生活のノウハウでもすこしお伝えすることができれば、きっと気分も楽になるのではと思っています。

 そして、その同じ日に妊娠しましたという嬉しい知らせがもいただきました。ただ、これからは流産しないようにケアが正念場です。今度こそうまく行きますように!と心底願っています。

 さらに、中医学を知ってから、ご自身が非常に健康に気をつけるようになり、これではダメだと減量に力を入れられ、毎週着実に体重を減らしてこられている方も、喜ばしい顔を見せに来てくださいました。

 すべてがうまくいくほど人体は単純ではありません。ただ、少しでも患者さんが前に進むことができたら、私が中医学をやってきてよかったと思うのです。

 私も日々コツコツと勉強を進めます。
posted by 藤田 康介 at 18:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年05月30日

健康医学 2011年6月号「今年も湿の季節がやってきました」を掲載

0000-1-47.jpg

 今年(2011年)の上海は138年ぶりに降水量が少ない異常気象となっていますが、6月に入るとムシムシ度は着実に増しています。初夏から夏にむけて季節は着実にスイッチしていることが分かります。

 そのため、身体に湿邪を取り込みやすくなり、身体のだるさが突出してきます。

 ただ、湿邪は外からの自然環境の影響以外にも、お酒などの食品のほかに不規則な生活から、体内からも発生します。意外と見過ごされてしまうのは、やはりこの体内で発生する湿の問題だと思います。そのあたりの予防法を解説しました。
posted by 藤田 康介 at 07:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2011年05月26日

5月26日は中医健康セミナーでお話してきました

 今回もまたふとしたご縁です。
 2011年は人前でおはなしするチャンスが多く、「中医学の裾野を広めたい」と思っている私にとっても願ってもいないことです。

 5月26日は、上海浦東新区の陸家嘴金融街にあるキャストコンサルティングで、そちらの日中のスタッフの皆さま向けに、中医漢方セミナーにお呼びいただき、2時間ほどお話させていただきました。

 今回は、回線を通じて上海以外にも、東京・大阪・香港のオフィスとも同時中継され。この忙しい現代のビジネス社会で、中医学や漢方をつかって身体のために何ができるか?ということをお話ししました。

 講演後、今回も沢山の御質問をいただき、大変ありがとうございます。お話をするほうとして、いろいろ関心をもっていただけたことは、大変嬉しい限りです。

 健康に身体を保ち、未病治し、病気にならないようにするには、昔の人たちの貴重な経験が活きてきます。私自身、自分の専門分野として今後も色々研究を進めていきたいとおもっています。
posted by 藤田 康介 at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2011年05月21日

中医薬局で香袋を買い求める市民の列

 今年2011年は6月6日が端午の節句になります。

 日本ではすっかり旧暦で端午の節句を迎えることはなくなりましたが、中国ではまだまだ健在です。菖蒲を飾ったり、粽を食べたりするわけですが、この時期、上海の中医薬局はにわかに忙しくなります。

 その一つが香袋。

0000-1-38.jpg

 うちの中医クリニックでも毎年作っていますが、巷の薬局でもいろいろな香袋が売られています。

0000.jpg

 そもそも、天気が暑くなって、ジメジメし出すこの時期、蚊などの虫たちも動きだし、伝染病なども気になります。そこで、生薬をつかって部屋を生薬の煙で蒸したり、香袋をぶら下げたりして、病気の原因となる「邪気」から身体を守るようにします。

 部屋を蒸すときによく使うのが、蒼朮や白芷などの生薬。また、香袋としてよく使うのが藿香・薄荷・丁香・白芷・竜脳などの生薬です。こうしたものは、上海市内の中医薬局で簡単に手に入ります。
posted by 藤田 康介 at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2011年05月19日

日本でいつもの歯科へ 歯と全身疾患

 年に何回は日本に戻ったときに歯医者に行くようにしています。

 歯医者だけは、医師とのフィーリングや考え方のマッチングが大切だし、一度削ったり埋めたりすると毎日使うものだけに一生関係があり、食生活に影響もでてきます。
 最近は、歯周ポケットの問題も日本ではいろいろ言われてきていますが、残念ながら上海ではまだ一般的にはそこまで意識は高まってきていないように思います。

 私がいつも行っている大阪柏原市にある杉本歯科院も、毎回予約が大変なのですが、歯の病気と体全体の疾患の関連性を強調されており、しかも自分の歯をどのように活かし続けるかもいろいろ研究されており、そういった観点から私は共感しています。
 また、インプラントなどをされる方が増えている一方で、失敗例も少なくなく、その不具合が場合によっては全身疾患を引き起こすこともあり、先生のところにも遠くから患者が来られていられました。改めて歯の重要性を実感させられます。

 先生も私が上海で中医学の医師をやっていることをご存じということもあり、そうした歯科のお話を伺うのは、非常に勉強になりました。

 歯周病も放っておくことができません。最近の研究では、歯周病菌が動脈硬化したところから見つかったり、また歯が出血することで、そうした細菌が血液内に入ってしまうことも分かってきています。さらに、歯周病で歯を失ってしまうと、心筋梗塞にかかりやすいというデータもあります。歯というのは、全身疾患とも非常に深い関係があることが分かります。

 ただ、年齢とともに免疫力(抵抗力)が弱ってきたら、歯周病や虫歯など歯のトラブルも増えてくる傾向にあるといいます。免疫力は日々の生活やストレスと密接に関係していますから、歯の変化は大切なからだのバロメータなのです。

 中国医学的整体概念も、歯科の分野で重視されてくるのは、今後の流なのではないかと思います。
posted by 藤田 康介 at 10:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年05月17日

日本薬膳研究会・特別講演会無事終了

 大阪で20数年の歴史を持つ、日本薬膳研究会の会員総会で、特別講演のご依頼があり、1時間半ほどお話させていただきました。

0000-1-3.jpg

 場所は、大阪城を望むことができる大阪城前シティホテル「シャトーテル大手前」です。京橋駅から歩いて行ける距離でした。ここの総料理長である、辻岡さんが国際薬膳指導師ということもあり、まずは中西会長をはじめ、会員の皆様と懇談しながら「春の食養生」のコースをいただきました。

0000.jpg
(真鯛の香り焼きエスゴラゴン風味・何首烏とバルサミコのソース)

 広くわかりやすく中医学の養生・薬膳の話をして欲しい、ということでしたので、そのあたりのお話を、私の中国での実体験をもとにご紹介しました。私は妻が上海人でもあり、私同様に中医の医師でもあり、中国での日常の食生活が、薬膳と非常に関係深いということを毎日実感しています。義母もそういったことをよく教えてくれますしね。

 中医学の養生ということが、非常に身近なものであり、我々自身が実践できることであることを少しでも知って頂けたらと思いました。1時間半もしゃべると、さすがに汗だくになります。

 しかし、90歳を超えられた中西会長は、まだまだお元気ですが、もと陸軍大尉であり、壮絶な戦争体験をされているということを伺いました。

 私の地元関西ですし、またの機会にお目にかかれたらとおもいます。
posted by 藤田 康介 at 09:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2011年05月11日

陰性エイズ事件の結末

 2011年5月6日に、SARS期にその研究で一躍有名になった広州の鐘南山院士が、中国各地でウワサされた陰性エイズ問題について、自分が感染したと思い込んでいる60人の患者を対象に行った検査結果を公表し、その結果33人がEBウイルスに感染し、12人がクラミジア・トラコマティスに感染、淋病に7人感染、Ureaplasma urealyticum(UU)感染症に9人、サイトメガロウイルス感染症に8人などの性病に感染していたことなどがわかり、さらにHIV検査に関しては全員で陰性であったようです。

 今回、「陰性エイズ事件」として取り上げられた患者の症状として、共通していたのは発熱や湿疹、頭痛や関節の痛み・腫れなどの諸症状で、ポイントとなったのはそれぞれ不特定多数と性交渉があったという点です。そのために、心理的なストレスをずっと抱えていたのではないか、とも考えられています。さらに、発病してもちゃんとした検査を受けておらず、知識もないことから恐怖心だけが先走りしたのではないかとも考えられています。

 ところで、最も多くみられたEBウイルス感染に関しては、広東省で多発している鼻腔癌とも菅家が深く、咳のほか、唾液からも感染することから、キスや箸の使い回しは避けるように呼びかけています。少なくとも、会食するときは箸は使い分ける習慣が大切です。

 とりあえず、今のところは新型の病気であることは否定された形になっています。いずれにしろ、一般市民もよく知っている影響力の強い専門家のコメントは、衛生当局のコメントよりも、はるかにインパクトがあるのが中国の実情でもあります。
posted by 藤田 康介 at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情

2011年05月09日

「のぼせ」の中医学的なある考え方

 この時期の上海は、温度の浮き沈みが激しく、30℃を超えるような日もあれば、20℃前後というようなことも多々あります。それとともに、もともと冷え性であるのに、天気が暑いときに体がのぼせるような症状を訴える患者さんが少なくありません。

 「のぼせ」について、中医学・漢方では歴代からいろいろな処方があります。陰を補ったり、虚熱をとったりする方法以外にも、李東垣の「火鬱発之」というのも検討してみる必要がありそうです。とくに、昨今の現代人の冷えと関係のある夏の「のぼせ」の症状には使えそうな気がします。

 この「火鬱発之」というのは、陽気を発散させることによって、体の熱(火)を取り払おうという考え方です。主に、四肢に疲れがあり、体がだるく、皮膚の表面や筋・骨も熱く感じ、体を触ってみても、実際熱い、といったパターンです。外からの邪気が体を襲うパターンとことなり、体の中が不足している状態、すなわち虚であるときに発症するわけです。主に、夏前後のジメジメした暑い季節によくみられます。

 では、原因はなにか?ということになります。李東垣は消化器にあたる脾胃を重視した医学者であり、たとえば胃腸の働きが弱っているときに、冷たい食べ物や胃にもたれるような食べ物を食べたときに、脾の陽気が妨げられ、それが中で滞ってしまったときが考えられます。陽気が妨げられると、それが火となって「のぼせ」の症状を作り出すわけです。同様に、体内に「冷え」の状態があるときも、陽気の動きが妨げられます。

 陽気が妨げられると、気も妨げられるので、その結果血の生成に障害が出てきます。これが血虚につながり、これがまた虚熱の原因になったりします。

 李東垣といえば、代表的な処方に補中益気湯があります。これは脾胃の気を補って、気虚の状態を改善しようというものです。一方で、『各家学説』の教科書にも登場する昇陽散火湯という処方もあります。(升麻・葛根・独活・羌活・白芍・人参・生甘草・炙甘草・柴胡・防風)処方からみて明らかなように、補中益気湯とひかくしても、処方全体が軽い性質の生薬で構成されていて、陽気の上昇に重きを置いていることがわかります。一方で、人参で気を補い、さらに白芍で陰をおさえ、さらに生甘草で虚の火をさげます。そのため、皮膚表面の熱さやのぼせには有効的であるというわけです。

 小さな処方かもしれませんが、いろいろ考えられていることが分かりますね。これぞ、中医学の醍醐味だと私は思います。
posted by 藤田 康介 at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2011年05月07日

健康医学 2011年5月号「中医学で考える不眠症」

0000-1-1.jpg
 
 東日本大震災以降、上海でも不眠を訴える患者さんが少なくありません。
 4月24日・28日の防災セミナーでもお話しましたが、中医学を使って、睡眠の質を少しでも改善できないものか、検討してみました。

 実際、古代から不眠の問題は人類を悩ませているようで、中医学や漢方の医学書にもいろいろな処方が登場します。
posted by 藤田 康介 at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2011年05月06日

「立夏」を過ぎての中医学的養生

 2011年は5月6日に立夏を迎えました。上海でもなぜか、この日を境に連日のように最高気温が30℃を超えています。これより先に、4月20日に「谷雨」を迎えました。雨がこれから増えてきますよということですが、立夏に入ると、これまで以上に雨が多くなります。まさに、ここ中国でも田植えのシーズン最盛期となります。(しかし、本当に今日は蒸し暑い上海です。)

 立夏から徐々に夏に突入していくわけですが、夏と言えば五臓六腑で、「心」とのつながりを考えます。中医学の心臓は、西洋医学のいわゆる循環器としての心臓ではなく、人間の精神的活動を司るものとして重要視します。天気が熱くなってくるわけですから、当然この心臓の陽気が盛んになりやすくなります。

 暑さが増してくると、不快指数も急増し、イライラすることも多くなります。イライラは、交感神経の刺激とともに免疫力を低下させ、様々な疾患の原因となることは現代医学でもよくいわれることですが、夏こそ精神的な落ち着きを必要とする季節でもあります。

 そのほか、これから夏至にかけて日照時間が長くなっていきます。夜寝る時間は遅くなる一方で、朝はいつもより早く目が覚めます。これは、自然界の陽気が盛んになっている状態と、身体のリズムが合致してきていることを意味し、決して不眠症というわけではありません。

 そのため、夏こそ昼寝を重視したいこところです。元々夜の睡眠時間が短めなわけですから、30分以内の昼寝は疲れをとるのに有効ですし、汗を発散させるために血が体表に集まり安く、脳への血が減少して、眠気や疲労感へとつながります。

 よく、「夏こそはスタミナ!」といって、夏にコッテリしたものを食べる人が多いですが、中医学・漢方的には、むしろあっさりがいいとされています。脂っこいものは、身体の「火」をより盛んにしますし、なにより脾・胃の働きを弱めてしまい、食欲不振へとつながります。

 そのため、この時期は一般的にビタミンを豊富に含む果物や野菜類を食べるように心がけます。タンパク質類では、魚類がお勧めで、土用の丑にウナギをたべる日本の習慣とも関係がありそうですね。タマネギやニガウリ、冬瓜、豆類、胡麻、サツマイモ、胡桃、トウモロコシ、粟、などがよいとされています。益気養心・清熱解暑などの作用のある食べ物が効果的だということになります。
posted by 藤田 康介 at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2011年05月05日

上海で年々増え始めている癌患者

 経済の発展とともに、人々の食生活や生活リズムが変わり、上海市でも癌患者が増える傾向にあることが、上海市疾病予防コントロールセンターの発表で明らかになっています。

 現在、毎年上海市民10000人に3人に新たに癌が発見されており、癌患者の数は累計で21万人。結果、人口100人につき1人は癌であるという割合になっています。年間3万人が癌で死亡し、死因としては循環器疾患に次いで、第2位。割合では、新たに発見された癌患者の55%が男性で、45%が女性、癌で亡くなった人の割合でも、61%が男性で39%が女性ということです。やはり、男性の方が癌リスクが高いようです。

 2007年のデータでは、上海市で新たに発見された癌の部位では、男性が肺癌・胃癌・大腸癌・肝臓癌・前立腺癌となり、女性では乳癌・大腸癌・肺癌・胃癌・肝臓癌となります。とくに乳がんに関しては、女性で新たに発見された癌の17%を占めています。

 また、2007年になくなった癌患者3万人のうち、最も多かったのが、男女ともに肺癌でした。男性の場合、そのあとに胃癌・肝臓癌・大腸癌・食道癌と続き、女性の場合は大腸癌・胃癌・肝臓癌・乳癌と続くようです。

 また、上海市では現在21万人が癌をかかえながら生活していますが、こうした人たちのうち、癌の種類では乳癌が最も多く、全体の16%を占め、続いて大腸癌・胃癌・肺癌・甲状腺癌と続きます。
 しかし、癌患者の5年間生存率は、35.54%で、10年前より8ポイント上昇したものの、先進国と比較して20ポイントの開きがあるということでした。

 いずれにしろ、先進国(特に欧米)と同じような癌患者の傾向に、ここ数年での上海での食生活の変化、高齢化などが関係していると考えられています。特に致命的なのは、中医学や西洋医学に関しても、健康に関する知識が一般市民の間で大きく欠乏し、もう少し飲食や運動に関する教育ができておれば、上海市だけでも年間1.5万人の市民が癌の発生を遅らせたり、予防できたりできるとしています。

 中国全体でみても、癌患者の発生が多い上海。まだまだ我々が日ごと気を付けないといけないことがたくさんあるように思います。
posted by 藤田 康介 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2011年05月04日

鍼灸を使って癌患者の化学療法後の口・舌の乾きを改善する研究

 頭頸部に癌ができて、化学療法を行った場合、副作用として「口・舌の乾き」がよくみられ、この治療が難しいとされていたのですが、復旦大学付属腫瘤医院中西医結合科が針治療が効果的であることを突き止め、米国国立がん研究所(NCI)から276万米ドルの研究資金を獲得したというニュースが上海で紹介されました。

 これまでの研究で、90例を対象に行ったランダム化比較試験で、化学療法を行った6〜7週間のうち、毎週3回、1回20分の体3カ所の針治療と耳4カ所の耳針を行ったところ、針治療を行ったグループは、唾液量が増加し、その後も良好な唾液の分泌量が観察されたということです。

 そこで、今度は4年の時間をかけて300〜360名の頭頸部の癌患者を対象に、唾液量や粘度、PH値、タンパク質含有量などの針治療における変化を調べてみるとのことです。

 針灸治療は、器具も手に入れやすく、安全性が比較的高く、何よりも人体への副作用が非常に少ないという特徴があります。また、末期癌でよくみられる癌性の痛みや腸麻痺などの合併症に対しても有効であり、腫瘤病院では、膵臓癌の痛みや、経穴注射による末期膵臓癌の治療などで、鍼灸の理論を取り入れた研究を行っていくということです。

 私も、臨床で針灸を使いますが、時には思わぬ効果が出てくることもあり、生薬(中医薬・漢方薬9と是非併用させて活用していきたいと思っています。
posted by 藤田 康介 at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2011年05月03日

とは言っても、辛いモノは食べたくなるわけで

0000-1.jpg

 中医学にせよ、漢方にせよ、生薬を服用するときは、患者さんに辛いモノなどの刺激物や、脂っぽいモノをはせるようにお願いします。中医学的な観点から、脾・胃を守るために必要不可欠なことなのですが、健康な人からすれば、やはり辛いモノは食べたくなるものです。

 もちろん、食べ過ぎはよくありませんが、そんなときどうすればよいのか、いろいろな秘訣があります。

 たとえば、トウガラシを使うときでも、乾燥したものは性質的にきつくなるので、生のものを使うと比較的穏やかになります。さらに、中華料理では炒めることが多いのですが、高温で炒めることが熱性の性質を和らげることができます。

 辛いモノを食べるときは、水分は大切です。四川料理を食べるときに、菊茶などが好まれるのにも、上亢した陽気を、下げる働きがあるからです。ヨーグルトや牛乳も清熱作用があるのでいいでしょう。酸っぱいものも辛いモノを食べたときにおすすめで、消化酵素の働きを高め、胃腸の運動を盛んにします。代表的なものには、山査子のほかに、柚子などの柑橘類もいいわけです。辛い料理に、お酢を調味料として組み合わせるのも、辛さをコントロールするためには重要です。

 辛く感じる熱性の食べ物に対して、それを冷やす食べ物の組み合わせも大切です。野菜系ではニガウリや豆腐、ヘチマ、レンコンなどがそうです。ニガウリはその苦さから、体を冷やす性質であることが分かります。(言い換えると、食べ過ぎに注意する必要があります。)さらに、アヒルの肉も陰を補う作用があるといわれています。魚の肉もいいですが、逆に牛肉はダメです。

 辛いモノを食べ過ぎると、便通にも影響を与えます。人によっては下痢をすることもあるでしょうし、逆に便秘の原因になったりもします。よって、胃の熱を順当に排出するためにも、サツマイモ類もぜひ食べたいところですし、辛さにより湿熱が気になるの場合は、ハトムギなどもいいことになります。

 そういう意味では、伝統的な食べ物の組み合わせは大切ですよね。それが薬膳に繋がるのです。
posted by 藤田 康介 at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界

2011年05月02日

過度なきれい好きも問題あると思う

 中国で生活して気がつくこと。それは「消毒」という言葉が、特に裕福な家庭ほどよく耳にします。確かに、日本と比べて明らかに衛生に関する考え方がテキトーなのに、妙なところに衛生にこだわっているような気もします。

 果たしてきれい好きは、本当に身体にいいのか?

 これには諸説があると思います。

 最近よく言われているのが、きれいにしすぎると、人体の免疫システムを弱め、喘息やアレルギーの発生を増加させるといいます。細菌自身が、人体の免疫システムを強化し、身体を丈夫にするのだというわけです。

 一方、きれいにしすぎることがうつ病の原因にもなるという実験も読んだことがあります。
脳科学の研究が進み、きれいにしすぎることが、大脳から分泌されるセロトニンに影響をあたえ、うつ病のリスクが高まるというもの。

 教育でもそうですが、人間の身体も細菌や寄生虫に多少は曝されることで、さまざまな炎症に対して身体が鍛え上げられ、それが精神的な問題にもいい影響を与えていくようです。
posted by 藤田 康介 at 07:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2011年05月01日

金銀花が咲いていました

 植木を買いに、浦東新区孫橋にある花木市場までいったのですが、そこで立派な金銀花の鉢植えがありました。

104929392090-1.jpg

 金銀花(きんぎんか)はスイカズラ科(Caprifoliaceae)のスイカズラで、花が咲ききる前のものを使います。中医薬だけでなく、日本でも漢方薬として重宝されています。

104929392090-2.jpg

 主な効能は、清熱解毒作用で、炎症を抑制する作用や、黄色ブドウ球菌や肺炎双球菌、大腸菌、赤痢菌、コレラ菌、インフルエンザウイルスなどを抑制する働きがあることが知られています。熱が出たときなど、お茶としても使えます。有名な処方では、銀翹散と呼ばれる温病学の処方があります。

 金銀花の茎・枝は忍冬藤(にんとうふじ)と呼ばれ、皮膚の痒みや、関節リウマチなどの熱性の痛みの治療に使います。

 しかし、白いきれいな花を咲かせますね。
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬