2011年03月26日

胃潰瘍と鍼灸療法

 胃潰瘍の治療で、鍼灸が有効であることは臨床で実践されてきましたが、果たしてそれがどのように作用しているのか、あまりはっきり分かっていませんでした。が、最近、湖南中医薬大学が、足陽明胃経のツボにお灸をすることで、胃の粘膜を修復するメカニズムを研究し、2010年度中国鍼灸学会で技術奨2等賞を受けました。

 足陽明胃経のツボに鍼灸をすることで、熱ショックタンパク質(HSP)を誘導し、アポトーシスを抑制して胃粘膜の細胞を増殖させ、保護するというもの。

 動物実験では、ラットの足三里(下腿前面、犢鼻と解溪を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に取る)や梁門(上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線の外方2寸)に対して灸法を使って、ツボを刺激することで、熱ショックタンパク質の合成を促進させたわけですが、興味深いことにツボを刺激したときと、ツボ以外を刺激したときとでは、熱ショックタンパク質の合成に差が出たと言うことでした。

 さらに、お灸だけでなく鍼治療においても同様の効果が得られるようで、電気針を使って足陽明胃経に刺激を与えるとよいと言うことです。中国の臨床では、胃潰瘍の予防だけでなく、治療にも活用されています。

 科学的な裏付けで鍼灸の効果が証明されたことは意義あるわけで、今後他分野での応用も期待されています。これに中医薬(漢方薬・生薬)を組み合わせると、さらなる効果が期待できるはずです。
posted by 藤田 康介 at 16:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察