2010年12月01日

羚羊角

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 動物の角は、立派な生薬でして、鹿の角などは非常によく使われます。そんな中、上海ではまず手に入らない羚羊角(レイヨウカク)が、杭州の胡慶余堂にありました。

 羚羊角は、羚羊と呼ばれる牛科の動物の角なのですが、新疆ウイグル地区や甘粛省、青海省に生息していて、この角をスライスしたものです。生薬として使うときは、粉にして直接頓服(0.3-0.5g程度)することもあります。私も、水牛の角は時々使いましたが、羚羊角はなかなか使えません。

 羚羊角は、身体を冷やす力が強く、解熱や解毒の作用があり、高熱による痙攣や意識障害が出てきたときに使いました。以前は、白虎湯に羚羊角を入れることで、温病(熱性の伝染病)での高熱や意識障害の治療で使ったようですが、最近では羚羊角自体が手に入りにくく、そういう使い方はしなくなりました。

 ただ、肝陽上亢系の高血圧や、不眠症、眩暈(めまい)や目の腫れや痛みにも効果があり、黄芩や決明子、竜胆草など肝系の生薬と併用します。また、妊娠高血圧症候群(中医学では子癇といいます。)や癲癇(てんかん)の治療にも使われました。結局、肝に関係する証では、非常に大切な生薬だったようですが、上海では殆ど手に入らないので、実際に使うことは難しいです。
 こういった使えない生薬は最近増えていて、犀角(サイカク クロサイの角)なんかもそうです。動物の保護と、生薬の薬効の問題の解決は、永遠の課題でもあるのです。
posted by 藤田 康介 at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬