2010年12月04日

健康医学連載『冬に胃脾の働きを整える重要性』

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 月刊『健康医学』への連載執筆も、かれこれ11本目になりました。
 
 今回12月号では、脾胃にターゲットをあててみて、「冬に胃脾の働きを整える重要性」を書いてみました。

 過敏性大腸炎など、近年ストレスなどの原因で脾胃の調子がよくない方が多いように思います。中医薬や漢方薬は内服系のものが多いので、直に薬が到達する消化器系には、結構有利です。また、医食同源の思想も、結局は脾や胃と関係があり、中国でも古来から様々な養生訓が伝わっています。

 例えば、落花生は、この時期よく口にすることが多いかもしれませんが、中医学的にも脾胃の寒さを解消し、脾の働きを高めます。落花生は、薄い皮ごと食べるとビタミンEやビタミンK、さらに記憶力を助ける亜鉛などを補え、お肌の乾燥にもよいとも言われています。

 これから年末にかけて、日本では暴飲暴食することもあるかもしれませんし、中国での春節前は忘年会(年夜飯)が一気に増えてきます。

 いろいろな食材をうまく活用して、脾胃の働きを整えたいですね。
posted by 藤田 康介 at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動

2010年12月03日

益母草と脳梗塞

 復旦大学薬学院の朱依諄教授らのグループが、生薬(漢方薬)でもよく使われる益母草(ヤクモソウ)という生薬から、SCM-198と呼ばれる、将来脳梗塞の治療薬にも使うことが可能かもしれない物質を発見し、結構大きなニュースになっていました。

 益母草は、中医学の臨床でも婦人科を中心に応用範囲が広く、生薬の中では血の巡りをよくする活血作用と利尿作用を両方もち、あまり知られていないのですが、外用で使うと皮膚の痒みなどにも使われます。一般に、生理不順や高血圧、心臓病や腎炎による浮腫などにも使い、さらにこの益母草の種子である充蔚子(ジュウイシ)も、生薬として使われ、生理不順や月経痛、産後の腹痛、偏頭痛、目の腫れなどに使います。

 こういった観点からも、益母草が、血液循環に何らかの作用があることが分かりますが、ここから有効成分を抽出することが難しく、研究が続けられていました。

 今回発見されたSCM-198と呼ばれる物質は、病理状態における脳の酸素消費量を減らし、ミトコンドリアの酸化によるアポトーシス誘導を抑制し、ATPを活性させるさようがあるということです。こうして、脳細胞の死亡を食い止め、脳梗塞の治療に使える可能性が出てきました。

 このように、生薬全体での効能が分かっていても、その各々でははっきり分かっていない有効物質がまだまだあります。今後の研究が楽しみです。
posted by 藤田 康介 at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2010年12月02日

鼻炎・咳のちょっとした中医学的対策

 今日の上海は少しマシですが、ここ数日上海の大気汚染の状況が今ひとつよくなく、ノドの不調やくしゃみなどの症状を訴える患者さんが多いのですが、こういった症状は、肺の気、すなわち衛気などの働きの低下や、肺気の上逆と関係があると考えます。そこで、中医学では気功の分野でちょっとした予防方法があります。

 まずは、鼻を擦ること。親指の側面をお互い熱くなるまで擦ります。擦った部分を今度は鼻の両脇で上下擦ります。大体、50〜60回ぐらいが目安です。擦ったあと、鼻翼のわきにある「迎香」のツボを20〜30回ぐらい押してあげましょう。これをワンセットにして、1日2回朝晩やってみて下さい。鼻づまりや鼻水など鼻炎の症状に効果があるはずです。副鼻腔炎の治療にも使われます。

 そのあと、坐った状態で、首を多少後ろに傾け、喉から胸にかけて両手で交互に擦ります。1日朝晩2回、1回につき30回ぐらい擦ってあげます。喉の調子が悪いときや、咳や痰があるときなど効果的です。

 ちょっとしたことですが、こうした動作を上海の公園でやっているお年寄りを見たことがあるかもしれません。結構ポピュラーですね。

 免疫力は、中医学や漢方では肺の気と関係があることが多いです。しっかりとケアしてあげたいところですね。
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2010年12月01日

羚羊角

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 動物の角は、立派な生薬でして、鹿の角などは非常によく使われます。そんな中、上海ではまず手に入らない羚羊角(レイヨウカク)が、杭州の胡慶余堂にありました。

 羚羊角は、羚羊と呼ばれる牛科の動物の角なのですが、新疆ウイグル地区や甘粛省、青海省に生息していて、この角をスライスしたものです。生薬として使うときは、粉にして直接頓服(0.3-0.5g程度)することもあります。私も、水牛の角は時々使いましたが、羚羊角はなかなか使えません。

 羚羊角は、身体を冷やす力が強く、解熱や解毒の作用があり、高熱による痙攣や意識障害が出てきたときに使いました。以前は、白虎湯に羚羊角を入れることで、温病(熱性の伝染病)での高熱や意識障害の治療で使ったようですが、最近では羚羊角自体が手に入りにくく、そういう使い方はしなくなりました。

 ただ、肝陽上亢系の高血圧や、不眠症、眩暈(めまい)や目の腫れや痛みにも効果があり、黄芩や決明子、竜胆草など肝系の生薬と併用します。また、妊娠高血圧症候群(中医学では子癇といいます。)や癲癇(てんかん)の治療にも使われました。結局、肝に関係する証では、非常に大切な生薬だったようですが、上海では殆ど手に入らないので、実際に使うことは難しいです。
 こういった使えない生薬は最近増えていて、犀角(サイカク クロサイの角)なんかもそうです。動物の保護と、生薬の薬効の問題の解決は、永遠の課題でもあるのです。
posted by 藤田 康介 at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬