2010年10月30日

100%ジュース隆盛の裏側で

 いま、上海で、食べ物に注意する市民が増えているように思います。たとえば、「素食」といったベジタリアンや、有機野菜を買ってみたり、健康にお金を投資する人が少なくありません。中医学の外来で、未病に関する質問が多いのも、そのためでしょう。

 そんな中、日本人にも中国人にも共通して言えることが、野菜不足をどうにか解消しようと対策に取り組んでいる方が多いという点です。その代表選手が、野菜ジュースや果物ジュースでお馴染みの100%系のジュースだと思います。これ一本飲めば、1日に摂取しなければいけない野菜・果物を摂取できるとなると、なんとなく魅力に映りますよね。ついつい手を出してしまいます。

 昔から、缶入りの飲料水は、糖分も多いので体によくない、ということはよく言われてきました。毎日飲むと糖尿病などのリスクが高まるというのも有名な話です。飲料水が痛風の発病とも関係があることも分かってきました。

 だったら、100%ジュースなら大丈夫なのか?といえば決してそうではないようです。

 近年、アメリカで研究されたデータでも、やはり純粋な果汁や野菜ジュースを飲み続けた人とあまり飲まない人を比較した場合、カロリーの摂取が同じ程度でも、ジュースを飲み続けたグループの方が、2型糖尿病になるリスクは30%程度高まるということです。

 結局、固形物として摂取する場合と、液体として摂取する場合とでは、胃腸における吸収の速度も変わってきますし、血糖値の上がり方も変わってくるということですね。また、固形物だったら、結構、満腹感があるのに、液体だったらぐいぐい行けてしまうことも関係があります。

 いずれにしろ、どんな食品でもほどほどに摂取しましょう、ということが非常に大切です。たまに飲む程度なら大丈夫ですが、くれぐれも野菜ジュースや果物ジュースで、毎日の野菜や果物の摂取を補おうということはやめておいた方が良さそうです。両者はまったく違うものと認識したいものですね。

 中医学でも何でも「ほどほど」に、という中庸の思想を大切にします。
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2010年10月27日

『健康医学』10月号が届きました

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 日本向けに書いている『健康医学』10月号が手元に届きました。この号では、「陰と陽の不思議な関係」ということで、中医学や漢方医学と切っても切れない関係にある「陰と陽」について、あらためて考えてみました。

 自然界のすべてのものを陰陽に分けるという発想から、人体の生理的・病理的状態を分析する大切な考え方です。複雑な人間の状態を、より簡潔に考えるには威力を発揮する「陰と陽」ですが、男女にしてもそうだし、DNAの二重螺旋構造に関してもやはり二つが対になっているし、自然界には対のことが多いです。

 この『健康医学』という雑誌ですが、ムツゴロウの畑 正憲さんも連載を書いておられ、私も結構執筆をするのも読むのもを楽しみにしています。来週11月6日〜10日は、この雑誌主催の学術会議で発表してきます。
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2010年10月25日

上海人で5人に1人が脂肪肝という事実

 日頃うちの中医クリニックで診察していて、日本人で脂肪肝の患者さんに巡り会うことはまだ少ないのですが、これが台湾人や上海人となると、かなり多いのです。飲食や健康管理のやり方に違いがあるのかもしれませんが、華人の間で脂肪肝が多いことは、我々中国にいる日本人にとっても要注意です。

 上海を例にとった場合、5人に1人は脂肪肝だと言われています。脂肪肝は、肝臓だけでなく、血糖値や血圧にも大きな影響を与え、最悪肝硬変になることもあります。

 B型肝炎を含む、ウイルス性肝炎が非常に多い中国で、今や脂肪肝が肝臓病の第2位になっています。いまの中華料理の食べ方が改善されない限り、あと20年もすれば脂肪肝が第1位になることは間違いないとも言われています。

 脂肪肝は、栄養過多でもありえますし、無理なダイエットや栄養不良でもなります。決して、太っている人だけの病気ではなく、急にダイエットをすることで、脂肪から分解された遊離脂肪酸が飢餓状態に急上昇することで、脂肪肝になることもあります。そのため、朝ご飯を抜くとか、良くない食習慣がもたらす影響も忘れてはなりません。

 中国の統計では、50歳以下で脂肪肝が発見されたら、寿命が10年縮まるそうで、また50歳以上での脂肪肝でも、寿命が4年縮まるとか。そういった意味で、30〜40代での脂肪肝の体への影響は大きいですね。

 一番よく見かける単純性脂肪肝の場合、5-10年以内に17%の脂肪肝患者が脂肪性肝炎になり、そのうち20%が10-15年以内に肝硬変となるというデータも。もちろん、糖尿病や高血圧になるリスクも高まります。

 上海で働く日本人の皆さんでも、日本では問題なかったのに、こちらに来て悪玉コレステロールや中性脂肪が急に高くなってきた人が少なくありません。こういった変化には、やはり要注意です。「忙しい」を理由にせず、しっかりと運動したいものですね。

 脂肪肝に有効と言われる生薬(漢方薬)も少なくありません。そのあたりと併用するのも一つの作戦だと思います。
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2010年10月23日

骨粗鬆症に山査子

 中国上海の華東師範大学で、山査子やオリーブに含まれるマスリン酸(Maslinic acid)は、癌を抑える作用があるとして有名ですが、この成分が骨粗鬆症の抑制に効果があることが分かり、2010年9月の『Journal of Bone and Mineral Research』で発表されています。

 山査子は、私もよく処方する生薬(漢方薬)ですが、非常に酸っぱい味がします。リンゴのような歯ごたえもありますが、私も山査子を想像するだけで、口の中の唾液が出てきそうです。

 主な効能は、胃の酵素の働きを高め、肉類など脂っぽいものの食べ過ぎ時の消化吸収を高める作用や、腹部膨満感、下痢の治療にも使います。また、赤い実から想像できるように、中医学の「血」と非常に関係があり、子宮を収縮させる作用があることから、産後の腹痛や月経痛などの治療にも使います。近年では、高血圧や高脂血症や高尿酸症の治療でも威力を発揮しています。とくに、メタボの治療には欠かせません。

 研究では、閉経後など更年期の女性に多い骨粗忽症での破骨細胞の活動の活発化に対して抑制する働きがあるとしています。骨粗鬆症を治療する西洋薬には副作用も多いため、こうした生薬の活用が期待されています。

 中医学(漢方)の世界では、極めてよく使う生薬の一つだけに、食用や飲用されることも多く、今後の研究成果が期待されます。
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2010年10月16日

盲人按摩の資格制度が上海で始まる

 上海市内でよく見かける「盲人按摩」の看板。行かれた方も多いかと思います。
 上海市内には、公式発表として127カ所の盲人按摩の施設が登録されているようですが、ここに1000人あまりの盲人マッサージ師が働いています。

 しかし、上海全体で、視覚障害者は15.8万人おり、彼らの就職と自活の問題がネックになっていました。

 中国では、視力に障害があれば、医師国家試験を受けることができないため、こうした視覚障害者に、いかに合法的な按摩の免許を与えるかが検討されていました。
 そこで、2009年に『盲人医療按摩管理弁法』が制定され、視覚障害者を対象とした資格試験が実施されることになりました。それが、10月16日から行われた試験となるわけです。

 受験資格者は、盲学校で中医推拿を専攻したり、すでに2〜15年程度実際に按摩の仕事に従事している人たちを対象としています。

 こうした視覚障害者が、医療の現場だけでなく、様々な分野で技術が発揮できるチャンスが生まれるとして、今後の発展が期待されています。
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2010年10月15日

広がる上海の公的医療保険のネットワーク

 上海や広州、北京などの大都市では、早くから公的医療保険制度、いわゆる「医保」が実施されていて、多くの市民が恩恵を受けています。ただ、この制度は各省・市など限定的にしか使えないので、たとえば上海の公的医療保険に加入している人が、北京などにいっても医療機関で保険適用されません。その逆もまた然りです。

 しかし、これだけ人口の移動が激しい中国では不便です。そこで、各地の市・省がお互いに公的保険が使えるように協力関係を結んでいます。

 その結果、上海でも浙江省杭州・嘉興・湖州・寧波・安吉・江蘇省鎮江・常州・南通・揚州・大豊・安徽省の馬鞍山・河南省洛陽などの地区で相互に公的保険が使えるようになりました。

 そのほか、青海省や貴州省貴陽市でも上海市の公的保険が使えるようになっています。青海省は、省単位としてははじめて上海市と公的保険が相互に使えるところになりました。

 中国では、日本全国どこでも使える日本の健康保険とは制度がまったく違いますが、中国でも大都市の公的医療保険を中心にネットワークが広がってきます。

 この上海市の「医保」ですが、今では外国人も加入できるようになりました。まだ任意の状態ですが、制限が一部緩和されています。
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2010年10月14日

上海で低年齢化している乳がんの実体

 今年9月、上海中医薬大学付属岳陽病院で行われた研修会でテーマとなった乳がんの問題について、私も学生時代に指導を受けたことがある、中医外科の陸徳銘教授のお話を伺いました。

 この中で、上海地区での乳がん発症について、発病率の上昇と低年齢化、そして発病ピークとなる年齢幅の広がりが大きな特徴となっていることが指摘されていました。

 さらに、中国全体的に経済的に豊かになっている沿岸エリアでの発症も増えており、農村エリアより都市部で、さらに学歴が高くキャリアでばりばり働いている女性にも増えているというようなことも紹介されていました。

 これは、中国だけでなく、日本でも同様の傾向があるのではないかと思われます。

 また、乳がんと女性ホルモンとの関係も深いため、中国ではスッポンやタウナギ、ツバメの巣や一部の鶏肉類は食べ過ぎないようにということも以前から言われています。

 最近の上海の報告を見てみても、どうやら上海エリアでの乳がん発症患者の低年齢化が進んでいて、黄浦区中心医院が行った最近3年間の乳がん患者3000人の年齢分布を見てみると、30歳以下の患者が43例もあり、中には19歳で乳がんを発症したという例も出ているようです。まだ大学生だとか。40歳以下まで範囲を広げると、全体の3割以上になるのだそうです。

 乳がんの発症率の増加が著しいのは、北京・上海・広州・深センなどの大都市。毎年、3.97%の割合で増加しています。

 生活環境の改善により、初潮が早まったり、更年期が遅れたり、独身であったり、初産が30歳を越えてしまったりすると、やはり乳がんリスクは高まります。また、上海でここ近年多い、高タンパク・高カロリーの飲食も、乳がん増加と深く関係があります。そして、意外に忘れられているのが、美容や化粧品などで女性ホルモンを含む製品が増えており、これも大きな問題です。また、中国に少なくない避妊薬の濫用も関係があります。

 中国都市部での現代人の生活は、精神的・肉体的にも負担が非常に大きく、内分泌のトラブルを容易に引き起こします。大気汚染や水質汚濁、騒音もそうです。

 では、中医学ではなにが出来るか?という点ですが、上海では広く一般的に西洋医学の治療と共同で治療にあたっています。特に、放射線治療が原因となる肺炎や口内炎、肝臓や肺への転移、骨への転移などがあったときに、生薬(漢方薬)と組み合わせることが多く行われます。

 とはいえ、一番いいのは薬に頼ることなく、食事などできっちりと乳がんを予防することです。精神的な問題を抱えず、肥満など体重の増加を極力抑え、植物繊維をしっかりととって、動物性脂肪の摂取を抑えることは、皆さんもご存じだと思います。とくに、穀物や豆類の摂取は大切です。
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2010年10月12日

戸籍医師制度

 上海で新しい末端医療をサポートする制度が始まります。ある意味、社会主義であるからこそできる医療サービスであるかもしれません。

 あたらしい医療サービスは、「戸籍医師制度」と呼ばれています。すでに、長寧区で行われていたようで、今回、上海市中心部の浦東新区・閔行区・閘北区でも実施されるようになります。

 末端医療として、「ホームドクター制度」となにが違うのか?ということになりますが、ホームドクターは、医師とその家庭が契約する必要がありますが、「戸籍医師制度」は、契約する必要がなく、一定の範囲の住民に対して、決められた医師が健康管理を行うというものです。社区衛生センターの医師がこの任務にあたります。

 中医学・西洋医学の医師にかかわらず、これまでも高齢者を対処に「戸籍医師制度」は行われていましたが、今回はその範囲を広めたように思われます。そして、住宅地単位で市民の慢性病や伝染病の管理、妊娠時のサポート、中医学なら未病を治す知識の普及などを行い、医師だけでなく、いわゆる民生委員のような任務を行う人たちと共同で医療活動を行っていくという仕組みになっています。

 慢性的に老人ホームが不足している上海では、むしろ家庭で介護をする方針をすすめており、高齢化のはげしいエリアでは、「戸籍医師制度」が一定の役割を果たすに違いありません。

 ちなみに、2010年10月16日は重陽節(菊の節句)で、上海市では敬老の日として、高齢者を敬う日として指定されていますが、2010年からは10月全体を「敬老月」と指定して、市民の高齢者への関心を高めようという取り組みを行っています。
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2010年10月11日

上海でも増える精神疾患と中医薬(漢方薬)

 10月10日は世界メンタルヘルス・デー です。

 経済の発展の発展により、上海の人々の生活は物質的にも豊かになりましたが、精神疾患を患う市民が増えているのもまた事実です。上海市衛生局が行った上海市民2万人を対象とした調査では、なんとその五分の一で何らかの心理的障害があるということが分かっています。

 私も、臨床でストレス障害、うつ病、パニック障害、睡眠障害などの患者さんを診察してきました。上海市の調査にもあるように、罹患するのは女性よりも男性のほうが多く、とくに男性の場合は、アルコール依存症などお酒と関係のあるケースが少なくありません。もちろん、中には全くアルコールを飲まない人でも精神疾患を煩っている場合もあります。一方で、うつ病や心の焦りなどを感じて、精神的につらいと感じるのは、女性に多いと上海市のデータではありますが、臨床の現場では男女ともにみられます。

 さらに、慢性的な疾患を持っていて、それにこうした精神疾患とが合併してしまったケースも多く、そうなると発生リスクが2倍以上になるということも分かっています。

 精神疾患の分野でも、昔から中医薬(漢方薬)は広く使われています。そもそも鬱証という言葉は、中医学から来ているもので、気血が滞ってしまって、通じなくなってしまっているということを指します。生薬でも、精神を落ち着ける「安神」系の漢方薬として、珍珠母や磁石、生鉄落のほかに、様々な鬱証に対応する越鞠丸や四磨湯、さらに有名なところでは柴胡疏肝散といった処方もあります。そういったところからも、昔から人々を悩ませてきた症状であることには間違いありません。

 季節的な要因も多いと思います。秋口から冬にかけては、精神的に不安定になりやすく、コントロールが難しくなります。西洋医学の薬とも併用するケースもありますが、それでもなんとか精神的に安定した毎日をおくれるようにしたいものですね。
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2010年10月09日

10月8日は中国の高血圧予防デー

 10月8日は、暦の上では「寒露」になります。秋が深まり、中医学的にはますます「陰」を補うことが大切になります。昔の人は、蜂蜜水などで体を潤し、昼間もしっかりと水分を摂取し、辛い刺激物を避けました。

 また、10月8日は、中国では高血圧予防デーでもあります。ニュースなのでも報道されていましたが、上海市の18歳以上の成人で、高血圧をもっている人は23.6%に達し、なんと4人に一人が高血圧であるということが上海市衛生局から発表されています。

 この原因に、このブログでもたびたび紹介していますが、中華料理の塩分の取りすぎ、運動不足に栄養過剰、タバコにお酒などお馴染みの問題が考えられますが、実際には食生活全般を変える必要があるため、対策が難しいのも事実です。

 一般的に、血圧の高い患者さんは、降圧剤を服用して140/90mmHgの血圧をキープする必要があり、もしこれに糖尿病や腎臓疾患などの合併症がある場合、130/80mmHg程度にまで血圧をコントロールする必要があります。しかし、実際にはなかなか難しく、総合病院で治療を受けている患者さんでも、この数値を達成できている人は中国で30%程度しかいないと言われています。

 高血圧の原因は様々あり、まずはその原因をはっきりとさせる必要があります。

 もちろん、中医薬(漢方薬)も血圧のコントロールには一役買うことが出来ますが、忘れてはならないのは血圧のコントロールには、患者さんご自身の努力も不可欠であり、決して降圧剤を飲んだら大丈夫と言うことではないということです。
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2010年10月08日

中医学的ドライアイ対策

 秋が深まるに従って、乾燥を感じることが多いかと思います。皮膚の乾燥や、鼻の乾燥、さらに喉が渇きやすかったり、咳をしやすくなったりします。

 その中で、眼の乾き、すなわちドライアイの症状を訴える患者さんも少なくありません。特に、眼をパソコンなどでよく使うサラリーマンやOLなどにも多いわけで、中医学では津液の不足と関係があると考えます。アレルギー結膜炎など慢性的な結膜炎やウイルス性結膜炎などの原因が排除されるのなら、季節的な影響でドライアイになることは十分に考えられます。

 となると、この秋の「燥邪」対策として、中医学的な治療も効果を発揮できます。例えば、梨やブドウなどの果物の摂取も、陰を補うという観点から効果がありますし、ビタミンAやビタミンEの摂取も効果的でしょう。中医薬(漢方薬)では、白菊花や決明子、麦冬などを使いますが、lこういう場合は煎じるよりも、むしろお茶パックにしてしまうのもいいと思います。

 こうしたお茶パックは、もちろん症状にあわせて処方されていくのですが、いずれも、眼の疲れやドライアイにいいとされています。

 もう一つ、うちのクリニックなどでもやっているのが温めたタオルで、眼を温めてあげるという方法です。血液の循環を促進し、眼の周りのむくみや充血を改善させることができます。また、涙の分泌を促進できますので、眼の乾燥や不快感に有効です。自宅でも、寝る前に足湯と一緒にすれば気持ちいいと思います。ちなみに、このタオルは熱すぎないこと。40〜50℃が理想です。

 ちょっとしたことですが、工夫次第でいろいろ改善されると思います。
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2010年10月06日

中国で最近流行し始めている風疹

 2010年は、中国では風疹の流行がしていると言われていますが、通常春に多発している風疹が、秋のこの時期にも増えているという報告があり、注意が必要です。

 風疹ウイルスによって、飛沫感染で発症する風疹ですが、初期の症状が風邪と非常によく似ているため、見過ごされやすいともいわれています。アメリカなどと違って、日本人では予防接種をしていない人も多いのが現状です。

 風疹の症状は、咳や喉の痒みをとともに赤っぽいブツブツが出てきます。これまで、中国では5〜10歳程度の子供の発病が多かったのですが、今年の特徴として、20〜30歳前後の大人で、しかも妊婦の感染が多いと言われています。妊婦が感染すると、胎児への白内障や心臓の奇形、難聴などのリスクが高まります。

 中国での風疹の予防接種は、子供に対しては行われていますが、大人に対しては今のところ任意となっています。そのため、風疹の予防接種が必要だといわれていますが、妊娠の予定のある人は、接種後2〜3ヶ月間はしっかりと避妊しなければいけません。また、妊娠している人は予防接種を基本的に受けられません。

 中国では大人への風疹の予防接種が完全でないため、今後の流行が心配されています。

 ちなみに、中医学では風疹のことを風痧(やまいだれに沙)とよんでいます。銀翹散や透疹涼解湯などの加減を使います。
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2010年10月05日

ブロッコリーの思わぬ力

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 イギリスのイースト・アングリア(East Anglia)大学の研究で、ブロッコリーが骨格や関節の保護に有効で、関節炎や関節の老化を予防するのに有効であるという研究結果を発表しています。

抗癌作用などもあり、ブロッコリーなどに多く含まれているSulforaphane (スルフォラファン)が、関節炎での、関節の退化に予防効果があるとされ、軟骨の損傷を緩和させる働きがあることが分かっています。そこで、関節置換術の前に、患者さんにブロッコリーを食べさせ、手術後に関節内にスルフォラファンが含まれるか、という実験も行っているようです。もし、これが可能だったら、高齢者に多い関節の痛みの治療に使われる可能性もあります。

 私も、うちの中医クリニックで様々な理由で関節の痛みや不具合を訴える患者さんを診察していますが、こうした研究成果が少しでも役に立てばと思います。
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界