2010年09月25日

中医臨床 2010年9月 連載「今年も大忙し 猛暑の三伏貼」

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「未病を治す知恵」というシリーズで『中医臨床』で連載している記事ですが、今回は「三伏貼」について書いてみました。

 「三伏貼」は、以前はそれほど上海でも熱心ではなかったのですが、最近はかなり熱心です。とくに、台湾や香港系の華人の間でも、子供たちに「三伏貼」とやらせる親御さんがおおく、夏と冬になるとうちのクリニックは大忙しです。

 季節とともに変化する中医学の大切な文化の一つで、また喘息やアレルギー、咳の発作の予防、虚弱体質の改善などなどさまざまな効能があるほか、発熱時の解熱作用など緊急時にも敷貼を使うことができます。経穴をうまく活用するのがポイントです。

 この膏薬ですが、基本的にうちの中医クリニックのオリジナルで、夏用と冬用を毎年作っています。

 ちなみに、この記事の背中、私自身です。私も毎年そのときの膏薬の出来を確認するために背中にはってチェックしています。
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2010年09月23日

中医臨床 2010年9月号 中医学 Q&A

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 日本向けの中医学の雑誌『中医臨床』で、2010年9月号では原稿を2本書きました。そのうちの1本は、「中国の中医薬にはどんな剤型があるのか?」というテーマでした。
 
 うちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックでもそうですが、中医学の薬効を高めるために、優秀な中医学の薬剤師と良質な中医薬は非常に大切です。私は、その最も基本は煎じ薬にあると思います。良質の生薬を提供できる環境は、うちのクリニックでもかなりこだわっています。もちろん、漢方薬を煎じるときの水についてもそうです。上海のように水環境のよくない場合は、十分に考慮されなくてはいけません。

 それと、中成薬と呼ばれるエキス剤も含めた市販されている中医薬もよく使います。煎じ薬の不足を補うだけでなく、より便利に服用できるものが多くなってきました。患者の症状にあわせて、散剤や丸剤、膏剤に顆粒剤(エキス剤)、カプセルなどに分類し、さらに生薬をうまく配合して生薬茶も作ることができます。

 いずれにしろ、中医学の伝統に基づいた薬局が、この世界ではいかに大切かを実感できます。
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2010年09月20日

『健康医学』2010年9月号が届きました

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 毎月連載を書いている『健康医学』の9月号が届きました。この号では、「秋に向けて体を動かす」というテーマで、季節の変わり目に、如何に体を対応させるか、ということを中医学的な観点から紹介してみました。

 最近、上海ではインフルエンザもはやりはじめています。某幼稚園では、学級閉鎖もあったようです。また、ウイルス性の流行結膜炎も上海で増えていますので、手洗いをしっかりして予防したいところです。
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2010年09月08日

上海でも始まるはしか(麻疹)の免疫強化

 国の政策にのっとり、上海でも9月11日〜20日にかけて、市内児童生徒200万人を対象とした麻疹ワクチンの予防接種(生ワクチン)が始まります。対照となるのは、1995年9月1日〜2009年12月に生まれた今年8ヶ月〜14歳となる子供たちです。

 予防接種は、8ヶ月の子供は麻疹ワクチンを、また18ヶ月と4歳の子供は3種混合(はしか・おたふくかぜ・風疹)、それ以外に関しては基本的に麻疹ワクチンとなります。上海市では2008年以降、小中学生には無料で3種混合ワクチンを接種していましたが、それ以前では任意だったため、今回の免疫強化に踏み切ったということです。

 なお、ほかのワクチンの予防接種を受けた場合、1ヶ月以上の間隔をあけるようにし、予防接種直後は30分は体調を観察するようにしなければなりません。

 WHOによると、一度麻疹ワクチンを接種した場合、25年は保持されるといわれています。今回の予防接種で、免疫強化をはかることになります。

 学校・幼稚園などでは、集団で予防接種が行われますが、まだ学校などに通っていない子供たちは、上海市内の各地区に設置されている社区衛生サービスセンターで予防接種を行います。

 今回の予防接種は、中国全体で行われるので、対象となる子供たちは1億人にもなります。もともと、予防接種に対して、抵抗感を感じる父兄が多いため、中国衛生部もメディアを通じてのPRにかなり本腰をいれています。
posted by 藤田 康介 at 07:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2010年09月06日

9月8日の白露と中医学

 まもなくやってくる9月8日は、暦の上では白露といいます。どんなに猛暑の夏でも、白露がやってくると間違いなく秋到来です。中医学や漢方の上でも、非常に意味ある節気です。

 農作物では、この時期の前後に露が降りれば稲作の収穫時期になります。朝夕と昼間との気温の差も非常に大きくなるのも特徴です。ここ上海でも、夕方はめっきりと涼しくなりました。

 昔は処暑のころは、まだ裸で寝ることができても、白露になるとさすがに冷えてくるので辞めなければいけないといわれています。

 秋になってくると、病気の種類も変わってきます。徐々に空気が乾燥しだしてくるので、喘息や気管支炎、さらに皮膚疾患も多くなります。湿疹などのほかにも、アトピー性皮膚炎の方にとっても乾燥対策が大切になります。

 アレルギーの症状を訴える方も多くなります。この時期、エビやカニ、生ものや刺激物はなるべく避けたいところです。

 とくに、中国の北方エリアでは乾燥が顕著になります。そうなると、潤してくれる食べ物が大切です。

 ご存じ、中医学の五行説では秋は金に属し、五臓では肺が関係します。従って、肺を乾燥から守ってあげることが、皮膚や呼吸器の疾患を予防する対策になります。

 このとき、よく使われる食べ物は梨。そして、人参や沙参なんかもいいですね。百合根なんかも活用したいところです。
posted by 藤田 康介 at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想

2010年09月05日

上海でマラリア対策強化

 WHOが貧困対策の一環として強化しているマラリアや血吸虫の問題について、中国ではまだ根絶できておらず、大きな問題となっていますが、中国疾病予防コントロールセンターで、9月から上海でも発熱患者に対して、マラリアの検査も行うことを決め、2020年までに全世界でマラリアを撲滅する行動目標に協力するということです。

 特に、中国から貧困エリアに働きに出る人たちも増えており、帰国後のマラリアの発症がみられていて、上海エリアでも毎年30例前後のマラリア患者が確認されています。

 いまだにワクチンがないので、感染エリアでは蚊に刺されないようにすることが何よりも大切で、高熱が続いたり、規則的に発生する高熱がある場合は、マラリア原虫の検査を行うことになります。

 マラリアの治療では、実は中医学も貢献していて、昔から使われているチンハオス系薬剤(青蒿素)は、まさに中医薬(漢方薬)から抽出された成分です。比較的副作用が少ないとして、臨床の第一線で活用されています。
posted by 藤田 康介 at 07:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2010年09月03日

乳がん、大腸がん予防のためにも歩こう!

 いつも何気なく歩いていますが、歩くと言うことは様々な病気の予防につながるというのは、よく知られています。中医学の世界でも、養生の中で、歩くことは強調されています。このブログでも、後ろ歩き健康法を紹介しました。

 8月31日に英国の世界癌症研究基金会が発表したところによると、毎日半時間でも早歩きをする習慣があれば、癌(大腸がん・乳がん)の発生率を10パーセント減らせることができるということを紹介しています。

 さらに、歩くことで癌(大腸がん・乳がん)による死亡率も減らすことができるということで、体を使った運動が如何に大切かがわかります。さらに、女性の場合、子宮内膜がんのリスクも軽減できるということです。

 肥満が癌の発生に関係があることは知られていますが、歩くことで脂肪を燃焼し、肥満を防ぐだけでなく、細胞の病気に対する抵抗力を高めることができるということです。さらに、消化の働きを高め、腸内部の細胞が、発がん性物質と接触するチャンスを減らせ、癌予防になるということです。

 ただ、無理して運動をしなさい、というわけではなく、日頃から車に乗ったりするチャンスを減らし、極力体を動かすようにしましょうということです。一種の習慣の問題だというわけです。
 癌の予防に関しては、借りに細切れであっても総和で1日30〜45分の運動は、意味があるとし、家事や自転車、水泳などでも同様であるとしています。

 というわけで、日頃からせっせとあるくように心がけたいですね。上海の夏の暑さも落ち着いてきましたからね。
posted by 藤田 康介 at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想