2010年07月30日

夏こそ痛風にご注意を

 上海の夏も、ようやくいつもの蒸し暑い夏になりつつあります。最近までの上海の夏は、あまりにも快適すぎでした。

 ところで、このところ痛風や腎臓結石でうちの中医クリニックに来られる方が多いです。また、エアコンにあたりすぎて、体の関節の痛みを訴える方もおられます。

 痛風は男性に多い病気ですが、冷えによる体の痛みは女性に多く、とくに関節リウマチを持病にもっておられる女性の方は、要注意です。

 上海市全体でも、この時期は痛風を訴える患者さんが増えているようで、それも30代前後からと低年齢化している傾向にあるようです。今年の夏は、サッカーのワールドカップによる騒ぎもあり、夜遅くまでビールを片手にテレビを見ているといった生活リズムや、上海で増えている高級中華料理に出てくる海鮮料理もこれまた問題があります。

 先日、ご招待いただいた中華レストランでも、料理は非常に美味しかったのですが、アワビなど海鮮をふんだんに使い、さらにこってりした中華スープもでてきて、プリン体たっぷりの料理が多かったです。とくに、尿酸値の値が高めの人は普段から意識してください。

 夏は暑く、食欲も落ちがちで、多少辛いものを食べたくなりますが、あっさりしたものを中心に、ほんの少しスパイシーなものという組み合わせが、中医学的にもベストといわれています。
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2010年07月25日

どんな症状でも話してください

 中医学や漢方など伝統医学で診察するとき、検査結果の数字も大切ですが、やはり大きなウエイトを占めるのが主訴をはじめとする患者さんの症状です。もちろん、医師がすぐ診てわかる場合もあれば、大抵の場合は患者さんご自身から言葉の形で表現されてくることが多いように思います。

 小さい頃から中医学に親しんでいる中国人や華僑、台湾人・香港人などの患者さんはそういった表現が結構特異なのですが、日本人の患者さんではなかなかどのように表現したらよいのか分からないという方が多いように思います。

 たとえば、皮膚疾患で来られた場合、皮膚の状態はいろいろお話してくださるのですが、皮膚とあまり関係ないと思われる症状に関しては、「え、先生ところではそういう症状も診るのですか?」と驚かれててしまうこともあるぐらいです。

 でも、実は主訴以外の症状に、その状態を解決する大きなキーワードがあったりして、ぽろりとおっしゃった言葉が、処方に大きく影響を与えることがたくさんあります。医学のなかでも、中医学や漢方医学が患者さんとの意思疎通を大事にする大きな理由がそこにあります。また、日本語のなかには、微妙な状態を表現できる言葉が結構多いため、いろいろお話してくださることが、処方の大きな助けになります。
 中国語で診察するときも同様で、例えば日頃上海語を使う人がやってくると、普通語にはない表現をお話してくださることがよくあります。おお!なるほど、と私が思うこともたびたびです。

 どんな小さな症状でも、話してくださることが我々中医師にとっては非常に貴重なことなのです。どんな小さな疾患でも、中医学は全身を診ますから。
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2010年07月21日

中医学流の車酔い対策

 面積の広い中国で生活していると乗り物による移動は欠かせません。長距離でバスに乗ったり、数時間も電車に揺られるということも多く、乗り物に弱い人にとってはものすごく苦痛です。旅行に限らず、出勤するときの移動にも体の不具合を感じる人もおられました。狭い空間に押し込まれて、渋滞に遭ってしまうと、体の調子が悪くなるというケースです。先日も、そういった症状でうちのクリニックにこられ、比較的うまくいった症例もありました。

 しかし、2〜12歳ぐらいの子どもでよく発生する車酔いに対して、抜本的な解決法があるかというと、西洋医学でもまだ完全とは言えません。一般的に、ニオイや情緒、睡眠不足に疲労、食べ過ぎや飲み過ぎ、過度な空腹なども関係があります。中国人の皆さんと車に乗ったとき、真冬でもよく窓を開ける人がいますが、これは車内の換気をよくして、車酔いを防ぎたいという観点からの行動が多いようです。
 そもそも、中国が車社会になったのはここ数年の話で、多くの大人は小さい頃に乗り物にのるチャンスが多くありませんでした。そのため、酔いやすい傾向にあるように私は思います。

 西洋医学の酔い止め以外に、中医学的な車酔い対策はないものでしょうか?

 一番メジャーな酔い止め(嘔吐止め)は、やはり生姜です。予防としては、中医整形外科でつかう様々な軟膏(上海では普通に薬局で市販されています)に生姜を一切れ貼り付け、さらにおへそに当てます。そして、腕にあるツボでもある内関穴にも軟膏を貼っておき、手で押さえます。もうだめだ!というときには、生姜を口に含むのもいいです。生姜は、中医薬のなかでも嘔吐を止める作用が最も強い生薬の一つなのです。

 もう一つの方法。これは、私の義母から教わったのですが、ミカンの皮を使います。車に乗る30分から1時間前から、ミカンの皮を外側が外にでるように折り曲げ、鼻にその香りをかかせます。ミカンの皮である陳皮は、薬膳でも使われる漢方薬・生薬ですが、お腹の気の巡りを整えてくれる作用があります。そういったことを含めて、鼻につけて香りを感じることは効果的だと思います。

 上海の著名な医学者である秦伯未先生が書かれた『中医臨証備要』という本は、私の愛読書の一つなのですが、ここにも、車酔いの処方があるのですが、そこには人丹が紹介されていました。(仁丹ではありません。。。)中には、丁香や小茴香、乾姜、陳皮、肉桂などが十数種類の生薬が使われています。

 そのほか、すっとするメンソレータムのような軟膏を使って、こめかみにある太陽穴、首にある風池穴などのツボに薄く塗り、頭をすっきりさせるのも車酔いの予防に効果があるといわれています。

 いろいろな方法があると思いますが、それなりの効果が期待されていますので、ぜひお試しを。
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2010年07月20日

今年の7月19日は「初伏」です

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 今年も、中医学の養生訓の中でも意味の大きい三伏の季節になりました。2009年にも記事にしましたが、いまうちのクリニックに子どもが多いのもそのためです。

 今年の7月19日は、三伏のうちの初伏になり、一年のうちで、最も暑い時期となります。折しも、上海でも梅雨がしっかりと明けましたし、日本でも連日35℃を超える猛暑です。昔の人の暦と気候との関係の正確さには、驚きますね。

 さて、この暑い時期の行う「冬病夏治」の思想は、中医学の中でも非常に大切なもので、冬に治しにくい疾患を、夏の間に治療・予防してしまおうというものです。例えば、気管支炎や喘息、子どもの虚弱体質、風邪をひきやすい人、冷え、さらに慢性の胃腸炎や腰痛・肩こりなども含まれます。これらの多くは、冬場の寒さが原因の寒邪が体に影響を与えるため、夏の暑い時期の陽気を十分に活用して、体内にたまった寒邪を飛ばしてしまおうというわけです。

 夏の間、暑くてエアコン室にこもりっぱなしという場合が多くなりますが、夏こそ陽気を体に浴びて、免疫力を高め、冬の疾患を予防しようと言うわけなのです。

 「冬病夏治」で、よく使われるのが敷貼と呼ばれる外用の膏薬で、今年も沢山作りました。もちろん、それ以外にも中医薬や漢方薬による内服の方法もあります。内服の場合は、春・夏は陽気を養うという観点から、膏方と呼ばれるペースト状の比較的飲みやすい薬を調合することもありますし、普通の煎じ薬で済ませることもあります。特に、中医学の五臓六腑のうち、肺・脾・腎の働きを高めることが重視されます。

 敷貼では、スパイスの効いた生薬を、体の表面にシップのように貼ります。症状にあったツボを上手に利用します。

 そのほか、しもやけの治療なんかも、夏の今からがお勧めです。しもやけができやすい体質の人は、陽虚の体質であることが多く、気や血の循環が滞りやすく、それがしもやけの原因になります。そこで、外用薬なども活用して予防にあたります。

 暑い夏は確かに体に応えますが、ぜひこの暑さを体のエネルギーとして活用してみたいものですね。
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2010年07月19日

悪玉コレステロールと主食の関係

 中国での生活が長くなると、どうしても油分の摂取の問題が心配になり、また体重が増加傾向となる人が多いように思います。私自身も気をつけていますが、正直言って上海で生活をするようになってから太りました。

 そんな中で、健康診断の結果をみせていただくと、悪玉コレステロールの数値に問題がある患者さんが少なくありません。これに関して、アメリカで興味深い研究があったのでご紹介します。

 ダイエットを考えるとき、一般に食べる量を減らしたらいいと思うわけですが、実はどうもそう単純ではないというのはご承知の通りです。

 コロラド州立大学の研究で、320人の肥満と判断された人たちを2つのグループにわけ、一つは毎日炭水化物を殆ど摂取させず、1日20グラム以下に抑え、一方のグループでは、炭水化物の摂取量を1日の総カロリーの55%程度にまで高めました。

 6週間後、双方のグループで6キロほど体重が減りました。このうち、主食をたくさん食べていたグループでは悪玉コレステロールが減ったのに、主食をあまり食べなかったグループでは逆にコレステロールが増加してしまったという結果でした。

 主食を十分に摂取しないと、人間の正常な新陳代謝に影響を与え、脂肪が分解したときに血液中の遊離脂肪酸が増え、糖尿病のリスクが高まると考えられています。よって、研究グループでは、1日100グラムは最低でも主食を摂取しなさいと結論づけています。

 中医学でも、以前ご紹介したように五穀と中医学というテーマで以前ブログを書きましたが、主食を非常に大切にします。

 中国人の皆さんも、ご飯をしっかりと食べる国民ですが、どう考えても食べ過ぎという人もよく見かけます。。。。
posted by 藤田 康介 at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界

2010年07月18日

この時期は蚊やウイルスにご注意を

 7月17日に梅雨明けとなり、上海でも本格的な夏に入りました。上海市衛生局も、7月〜9月にかけて注意しなければならない疾患について市民に呼びかけています。

 この時期、上海では蚊を媒体とする伝染病が毎年発生しています。日本脳炎やデング熱、マラリアなどです。ここ数年の状況は、大流行まではいきませんが、例年数例の症例は発表されています。そのため、上海市では蚊が発生しやすい地下室などに消毒液をまいて対策をとっていますが、やはり蚊に対しては要注意です。

 また、ウイルス・細菌性の伝染病も多数発生します。最近、上海の子供たちの間でも流行している手足口病、大人などでもよく見られる急性の下痢、症状の激しいものではチフスや赤痢なども上海ではあります。いつもの下痢と違って、粘液のような下痢や膿血便があれば要注意です。強烈な腹痛を伴うことが多いです。

 上海の一般的な日本人の生活ではまずないとは思いますが、旅行にいったときなど生水に要注意です。必ず、外出先では火の通った水を飲みましょう。
 また、手足口病は経口感染です。子どもも大人も手洗いをしっかりとし、生ものは極力食べない、部屋の風通しをよくして太陽に干す、という原則を忘れないでください。

 こうした伝染病は、昔から中国南方の中医学では大きな難題でした。西洋医学が発達し、死亡例は減りましたが、中医学の先人たちの経験を読みと、今でも参考になることがたくさんあります。きっと、日本の漢方も同じだと思います。
posted by 藤田 康介 at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2010年07月17日

蕁麻疹の抜罐治療

 最近、うちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックでちらほら蕁麻疹の患者さんを見かけます。西洋医学の病院にいかれて、薬を服用してもいっこうによくならないという慢性蕁麻疹のパターンが多く、長い場合だと数ヶ月から数年間も症状を抱えておられる場合があります。

 そうなると、中医学でどうにかならないか、ということになります。もちろん、生薬や漢方薬をつかっても一筋縄にいかないこともありますが、結構うまく行く場合もあります。

 そのなかで、私も時々使わせてもらう治療法が、吸い玉をつかった抜罐治療法です。吸引する場所は臍部の神闕穴。5分前後吸い玉を臍に吸い付かせ、外すという治療を1度に3回ほど行います。これを3〜4日間ほど連続して行います。

 慢性蕁麻疹には様々な分類がありますが、消化吸収が弱っている脾胃虚弱の証では、この治療法は結構有効みたいです。

 神闕穴は、経絡では任脈に属します。脾の陽を高めて、体全体の陽気を高めることができます。よって、お灸では非常によく使う経穴でもあるわけですが、ここを鬱血させることは、治療の上では非常に意味があるというわけです。

 といっても、すべての慢性蕁麻疹で使えるわけではありませんので、医師とご相談ください。
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2010年07月10日

原発性月経困難症とお灸

 中医学の分野では、婦人科というのは非常に大きなウエイトを占めます。中国各地に婦人科の中医学の流派がありますが、上海も有名な学派があり、私も朱南山先生の朱氏婦人科を勉強したことがあります。昔は産科も中医学にあったのですが、最近ではほとんど姿を消しました。

 夏になって、気温が上昇し、暑さに体が翻弄されることが多いのですが、この時期になってもうちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックで意外と少なくないのが生理痛の患者さんです。
 器質的原因が見つからない生理痛のことを、一般に原発性月経困難症といいますが、これは体質によって症状が異なり、痛みの程度も違います。人によっては、下腹部が痛くなったり、腰痛だったり、場合によってはむかつきや嘔吐、冷や汗がでたり、中には気を失ってしまう場合もあります。そうなると、とても仕事などが手につかなくなります。特に未婚の方や、結婚されていても子どもがない方に多いです。

 西洋医学では原因がはっきりしない生理痛でも、中医学ではいろいろ原因が検討できます。一般的なのは、気血の流れが滞ったり、気血を正常に循環させるエネルギーがなかったりするのに関係があります。気血の流れを滞らせる原因としては、寒さなどの冷えもありますし、肝や腎が弱っていたりすることとも関係があります。特に、症状が激しい生理痛では、冷えとは大いに関係があり、温めてあげることで痛みが緩和することも多いです。この冷えタイプの生理痛の治療にお勧めなのが、お灸と煎じ薬(生薬)との併用です。ポイントは、生理が始まるであろう1週間ぐらい前から、お灸をしてあげたり、生薬の服用を開始すると、効果的です。

 お灸はお手軽にできて、かつ安価なので、中国では自宅でやる人もおられます。生理痛に使えるツボとしては、ヘソ部にあたる神闕穴や、そこから指4本分したの下腹部に位置する関元穴を使います。この2つのツボは、中医学でいう胞宮(いわゆる子宮のこと)と関係があり、温めることで熱を伝えやすくします。

 お灸のモグサは上海市内の薬局でも手に入ります。直径1センチ程度のお灸を1センチぐらいの高さで切り、厚さ0.5センチ程度に切った直径4〜5センチ程度の生姜のうえに置きます。このとき、生姜には針で小さな穴をあけておきます。そして、穴の上において点火します。

 しばらくすると熱く感じてきます。やけどしないけれど、皮膚が少々赤くなるぐらいまで置いておき、熱くなってきたら場所を少しずつ移動させてみてください。これを毎回5〜6個のモグサで行います。

 生理がはじまる1週間前というのはなにかと大切です。中国の女性の方で、中医学的知識がすこしでもある方なら、この1週間前はどうやってからだの調子を整えるかよく知っています。そうした心がけが、女性の体の養生という意味で非常に大切だと思います。

 以前、製薬会社の方から、皮膚科・婦人科・小児科というのは、西洋医薬でいい薬がなかなか開発されてこないという話を聞きました。身近な症状だけど、意外と治療が難しい分野なのです。
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2010年07月09日

夏にふと辛いものが食べたくなるわけ

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 中医学や漢方的な立場から夏の食べ物の問題を考えるときに、高温や湿気の問題が大きいので、必然的にヨクイニン(米仁)・冬瓜・黒ごまなど性質が比較的穏やかで、健脾去湿利水作用のある食べ物が浮かびますが、中医学の五行説的に考察すると、また違った見方もでてきます。

 『黄帝内経』にもあるように、人の体は四季の陰陽の変化と大きく関係があり、春は「生」、夏は「長」、秋は「収」、冬は「蔵」といった性質があることを知っておく必要があります。特に、夏はこの暑さからもわかるように、五行説では火に属し、五臓では心と関係があることになります。そこで、五行の相克の関係からみると、火は金に克つことができるので、火が強すぎなくなるように、金をサポートしてあげる必要があります。

 となると、五行説から金と関係の深い肺を補う必要があり、肺といえば五味の関係から「辛」がキーワードになってきます。そういった観点から、夏場に辛い物を食べるというのは意味があるということになります。特に、猛暑の季節では心火が強くなりすぎるので、金がしっかりと後ろ盾になってあげなければなりません。夏場は、空調にあたったり、冷たい物を食べ過ぎたりすることが多いわけで、そういった意味で寒気を防ぐ辛い物が役立つというわけですが、中庸を重んじる中医学で、四川料理のような辛い物を食べなさい、といっているのではなく、マイルドな辛い物を食べましょう、ということです。

 代表的な食べ物には、香菜とかニラ、生姜、タマネギ、ニンニクといったものになります。こういった食物は夏の食欲を増進させますし、発汗作用や血の巡りをよくする性質が多かったりします。そのほか、情緒の問題も大切です。五行説では、肺の五志は「笑う」になっています。喜ぶことで、肺の活動を活発にしてあげる必要もあります。

 さらに、肺を補うという観点からいうと、果物も大切です。梨なんかは肺を潤わせる代表的な果物ですし、咳止めの作用もあります。この上海の酷暑を乗り切るためにも、脾・胃以外にも、心・肺を考えた生活にもチャレンジしてみたいものです。

 中医学は本当に色々な考え方のつながりを大切にしますね。
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2010年07月08日

シコン(紫根)の写真

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 なぜか日本で話題になっているシコン(紫根)のお話の続きです。昨日のお話は、こちらからご覧ください。 

 お約束通り、シコン(紫根・中医学や漢方では紫草・紫草根)をうちの上海鼎瀚(ていかん)クリニックの生薬薬局から分けてもらいました。

 色は、非常に濃い紫。あまり香りはしません。
 ところが、少しお湯に溶かしてみると。。。

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 このように、しっかりと色が出てきます。茶色と紫を混ぜたような感じです。予想通り味は苦くありませんが、まさに生薬の味でした。お湯に溶かしただけででもこれだけ色が出るわけですから、煎じるともっと出てくることでしょう。

 この色からも「血」に効能が入り込むことが分かります。
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2010年07月07日

シコン(紫根)

 今日のクリニックで、3人もの患者さんにシコン(紫草)について聞かれました。えらい専門的な質問だと思ったら、どうやらテレビで紹介されたようです。

 せっかくなので、皆さんにお見せしようと思い、うちの薬局にお願いして中医学としてのシコンの写真を後ほど掲載しますね。日本名ではムラサキともいいます。

 シコンは、中医学・漢方の世界では紫草根もしくは紫草といいます。なんてことない、うちの皮膚疾患の患者さんにはよく使わせてもらっています。とくに、アトピー性皮膚炎や湿疹の皮膚が多少赤みがかった場合、皮膚の痒みや解毒などに一定の効果があり、うちの薬局でも外用薬や内服薬によく使います。

 外用薬の代表的な薬としては、紫雲膏があります。皮膚の潤しにも使える、中医学・漢方の世界では常用される外用薬の一つです。

 中医学的な効能は、涼血活血透疹・解毒療瘡です。外用にする場合は、ごま油やワセリンを使ってつくります。内服では、はしかの治療にも使ったりしますし、泌尿器関係では、血尿の治療に白茅根などと一緒につかいます。

 ただし、性質が甘・寒ので、胃腸が弱い方は内服時は要注意。とくに下痢気味の方は注意が必要です。
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2010年07月06日

上海日本人医師会の会食

 7月9日は、虹橋開発区の日本料理屋「柚」で、上海日本人医師会の会食がありました。今回は、日本国駐上海総領事館の平松医務官の送別会と、新しく着任された糸矢医務官の歓迎会も行いました。幹事の担当は、浦東でお馴染みの浦南医院で、本日は本当にお疲れ様でした。

 思えば、10年以上前だと思いますが、この会は領事館の元医務官だったファミリークリニックの小林先生が当初始められ、日本人の診察に関わっている医師たちの交流の輪は広がっており、今回は最近日本のメディアでも紹介された大阪北野病院のスタッフの方もいらっしゃいました。
 今日も20人以上の先生方が集まり、上海の日本人を取り巻く医療事情について、広く交流を深めました。

 上海で、医療活動を行っているドクターの先生方はそれぞれのご専門でご活躍されており、私も先輩諸氏の先生方からも色々学ばせていただいており、貴重なチャンスでもあります。私の専門は漢方や中医学とはいえ、医療としていま何ができるか日々考える毎日です。
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2010年07月05日

『中医臨床』2010年6月号

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 昨日、ポストを覗いたら日本から『中医臨床』2010年6月号(Vol.31-No.2・121号)が届きました。日本で数少ない中医学をテーマにした臨床家も読める雑誌です。

 日本向けの季刊誌連載記事なのですが、うちの鼎瀚(ていかん)クリニックの待合室にも置いてありますので、ぜひご覧ください。

 テーマは、「上海万博にみる未来の中医学」です。上海万博で賑わっている上海ですが、中国伝統の中医学もちゃんとその役割を果たしています。実際に私も会場にいってきて、そのあたりの様子と最近の動向を執筆しました。
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2010年07月04日

『体への湿気対策』

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 こちら、日本向けの『健康医学』7月号に執筆したものですが、中医学・漢方の夏対策としてご紹介しました。一般的に、冷たい物を食べ過ぎないとか、エアコンの使いすぎないとか、色々なことが言われますが、中医学的にいろいろ考察してみました。

 といっても、そんなに難しいことではありません。私自身も実行でてきますので。クリニックの待合室に置いてありますので、良かったらご覧ください。
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2010年07月03日

補陽還五湯と脳梗塞(脳卒中)

  清代に王清任(おうせいれん)という著名な中医学者がいるのですが、中医学や漢方の世界では、益気活血という血の巡りや気の巡りをよくする治療法の研究で大きな成果をあげています。

 その王清任が作った有名な処方に「補陽還五湯」というのがあります。中風(いわゆる脳梗塞)の後遺症に使うのですが、この方剤の組み方には非常に大きな特徴があります。気を補う黄耆(オウギ)という生薬を120gも使い、当尾(当帰の先の部分)が6g、赤芍(セキシャク)が6g 地龍(ミミズです)が3g、桃仁(トウニン)が3g、紅花が3gとなっています。黄耆(オウギ)の使用量が、他の5つの使用量総和の5倍という構造です。
 
 気や血を補う代表処方に当帰補血湯という処方もあるのですが、こちらは黄耆(オウギ):当帰が5:1で、黄耆を使う量が30g程度なので、補陽還五湯における黄耆の量の多さは際立っています。

 ここには、「気」をしっかりと補うことで、血の流れを促進させるという王清任の思想があると思います。単に血の流れを促進させるだけでは、意味がないわけで、血の滞りを通すには、まずは血の問題を解決するべきであるということです。

 この処方の適用範囲としては、半身不随や手足のしびれ、言語障害、口角からよだれが流れる、半身不随、頻尿や失禁の治療に使います。

 前置きが長くなりました。

 実は、上海市でこの補陽還五湯を使った処方で、初回の脳卒中の予防に対して、西洋医学で広く使われているアスピリンよりも効果が高いというデータが発表されていました。その結果、補陽還五湯が脳梗塞の発生率を50%さげることができるとし、The Cochrane Libraryの電子版に紹介された模様。

 上海市では、1999年〜2001年にかけて市内南匯区の70万人の住民を対処に実験を行ったところ補陽還五湯が脳梗塞に効果があることが分かり、さらに2003年〜2006年にかけて上海脳血管病防治研究所と復旦大学と共同でRCTを行い、その効果を再確認したようです。

 補陽還五湯は、EBM(Evidence-Based Medicine)によって、脳梗塞の予防が可能であると証明された初めての処方とも言われています。

 名処方だけに、今後もいろいろな研究成果が期待されると思います。
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2010年07月02日

改めてアトピー性皮膚炎をいろいろ考えてみた

 アトピー性皮膚炎の中医学的治療法について、文章を書くことがあり、ここ数日改めていろいろ考察しています。改めて、非常に奥が深い治療であり、患者さんが100人おれば100人とも症状も異なっており、私も日々試行錯誤しています。とくに、皮膚の状態に関して言えば、一人として同じ方はいらっしゃいません。

 うちのクリニックでも、春の終わりからまた徐々にアトピー性皮膚炎の患者さんが増えてきているように思います。春は様々なアレルゲンが飛び交っていて、それが中医学でいう「風邪」の様な外邪となり、アレルギー性鼻炎だけでなく、アトピーの症状も悪化させたりします。
そして、今度は夏に入ると、汗の問題や紫外線の問題も顕著に。汗に関しては、エアコンの使いすぎによる自律神経とも関係のある気持ちの悪い汗が多くなってくるように思います。一方で、発汗が正常に行われないことも厄介で、中医学での治療では発汗を促せるように考えます。

 アトピー性皮膚炎では、うちの中医クリニックに来られる前からステロイド(副腎皮質ホルモン)や免疫抑制剤を使ってらっしゃる方が多いため、こういった薬と中医学・漢方がどうやって併用できるかが大きなポイントになると思います。

 話は変わりますが、腎疾患のネフローゼ症候群同様、アトピー性皮膚炎も活動期と非活動期があり、その違いで治療方法も変えていく必要があります。でも、ネフローゼの治療で経験してきたように、やはり生薬や食べ物の養生・ライフスタイルの問題を同時に考えることで、再発の回数を減らしたり、ステロイドの総量を減らすことが可能でした。ネフローゼの場合、一旦ステロイドの量を増やすと、今度減量して離脱するまでにまた多量の時間を必要としますから、如何に再発の回数を減らすかが大命題です。

 一方で、アトピーの場合でも、問題となるのがいわゆるリバウンド現象で、せっかくステロイドで症状が緩和されていたのに、突然の中止や減量で皮膚が悪化し、皮膚炎の面積が拡大してしまうといったケースです。

 さらに、ステロイドを長期に使用し、すでにステロイドの副作用として皮膚自体に皮膚の萎縮や赤みが出ていたのに、急にステロイドを中止すると、今度は皮膚のさらなる悪化につながります。いわゆるステロイドの離脱皮膚炎です。
 もしアトピーの活動期にステロイドを中止をしてしまうと、症状が非常に悪化してしまうのですが、一般に離脱皮膚炎とリバウンドが重なってしまうからです。

 となると、アトピーの活動期に、いかにそのアトピーそのものの症状を改善できるかというのがポイントで、ネフローゼの治療時に、尿タンパクの量をいかに減らすかという考え方と似ているようにも思います。そうすることで、結果的にステロイドの使用量を減らすことができ、副作用の心配がないレベルまで到達できれば、QOLも高まるはずです。

 そういった観点からみると、中医薬や漢方を使った治療は、体本来の自然治癒力を高めるのに何ができるか?という根本的な問題に大きく関係していると思っています。
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2010年07月01日

忍冬藤

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 7月に入りました。7月こそ、『我が愛しの上海へ・2』の毎日更新がんばります!書きたい中医学や漢方のネタは沢山あるのですが、なんせ原稿の締め切りに追われていて。。。。

 私も、日頃の臨床で補助的治療の目的で、様々な生薬茶の飲み方をお勧めしていますが、私自身も夏に入ると、色々なお茶を試しています。この時期、我が家で登場するのが「忍冬藤」です。早速、うちの薬局から分けてもらいました。

 忍冬藤(にんとうとう)は、金銀花(スイカズラ)の茎・葉っぱで、日本では忍冬(にんとう)とも呼ばれています。金銀花は、最近、値段が高騰している生薬の一つなのですが、清熱解毒作用のある生薬で、各種皮膚疾患の腫れや解毒、急性の下痢、インフルエンザの治療などでも使います。忍冬藤の成分は、金銀花とほぼ同じなのですが、茎類の特徴として、関節リウマチや膠原病の「熱性」の痛みなどにも使います。
 あまり知られていませんが、実は皮膚の痒みをとる作用もあり、汗疹やアトピー性皮膚炎の治療などにも私は使うこともあります。

 苦い、苦いといわれる生薬ですが、この忍冬藤は、決して苦すぎることはなく、ほのかな苦みとちょっとした甘みがあり、夏にはぴったりの味だと思います。
 
 もちろん、冷蔵庫に入れずに常温で飲んでいます。 
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